川原 亜矢子

AYAKO KAWAHARA

ニューリリース

SO NICE

2004.05.21

アルバム / VICL-61383

\3,045(税込) / \2,900(税抜)

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Victor

モデル、女優として多方面に活躍中で、ファッション・リーダーとして圧倒的支持を受けている川原亜矢子の初アルバム。フレンチ・ポップスの名曲やクラシックの小品を、初夏をイメージさせるフレンチ・ボサ・テイストのアコースティックなサウンドでカヴァーしています。アルバム中「男と女」他に同曲の作詞家でもあるピエール・バルーがデュエット・ヴォーカルで参加しているのも話題です。

01

ソー・ナイス

SO NICE(Paulo Sergio Valle - Norman Gimbel - Marcos Valle)
02

男と女<デュエット・ウィズ・ピエール・バルー>

着うたなど
UN HOMME ET UNE FEMME [Duet with Pierre Barouh](Pierre Barouh - Francis Lai)
03

さよならをおしえて

COMMENT TE DIRE ADIEU(Jack Gold - Serge Gainsbourg - Arnold Goland)
04

ウィル・ファインド・ザ・ウェイ(愛のあいさつ より)

WILL FIND THE WAY(〜 SALUT D AMOUR)(Ayako Kawahara - Edward Elgar)
05

エアー(G線上のアリア より)

AIR(Ayako Kawahara - J.S.Bach)
06

亡き王女のためのパヴァーヌ

PAVANE POUR UNE INFANTE DEFUNT [Inst.](M.Ravel)
07

消えぬ想い(ジムノペディ第1番 より)

DISPARAITRE… JAMAIS… (〜GYMNOPEDIE I)(Pierre Barouh - E.Satie)
08

夢のあとに

APRES UN REVE(R.Bussine - G.Faure)
09

ザ・シークレッツ・オヴ・ザ・ナイト

THE SECRETS OF THE NIGHT(Ayako Kawahara - Yoshiteru Ito)
10

ダッタン人の踊り

DANSES POLOVTSIENNES(A.P.Borodin)
11

愛は私たちより強く<デュエット・ウィズ・ピエール・バルー>

PLUS FORT QUE NOUS [Duet with Pierre Barouh](Pierre Barouh - Francis Lai)
12

ソー・ナイス 〜 La Nuit

SO NICE(Paulo Sergio Valle - Norman Gimbel - Marcos Valle)

 モデルとして、女優として、ファッション・リーダーとして人気の高い川原亜矢子がフレンチ・ボサ・テイストのアルバムを吹き込むと聞いてまず連想したのは、かつてスーパーモデルとして名を馳せながら、最近シンガー・ソングライターとして名作『ケルカン・マ・ディ』をフランスで大ヒットさせたカーラ・ブルーニのことだった。あんな感じの音楽性とアート性とファッション性が溶け合ったメランコリックなモノローグのような作品になるのではと想像したのだ。
 案の上、オープニング曲のイントロのギターが流れた瞬間から、本格的でアーティスティックなボサノヴァ・アルバム誕生の予感を抱かせる。ささやくように歌われるのは、マルコス・ヴァーリの名曲「ソー・ナイス」。すぐにワンダ・サーが歌ったセルジオ・メンデスのブラジル65の名演を思い出す。弦によるヨーロピアンな味つけも印象的だ。
 続くクロード・ルルーシュ監督のセピア色の名画『男と女』のテーマは、このアルバム最高のトピックだろう。なぜなら、映画にも出演して、この曲の作詞も手掛けたピエール・バルーがデュエットしているからだ。彼がこのフレンチ・ボサの金字塔と言える名曲を録音するのは、何と38年ぶりのことで、ダバダバ・スキャットを生かした上品で洒脱でノスタルジックな仕上がりはさすが。近年、やはりフランスのクレモンティーヌがカヴァー・ヒットさせたので、耳馴染みの方も多いだろう。
 ピエール・バルーはさらに、『男と女』からフランシス・レイらしい切々としたメロディーの「愛は私たちより強く」をデュエット。こちらも印象深い映画のシーンがフラッシュバックする出来映えだ。そして「消えぬ想い(ジムノペディ第1番)」では歌詞を書き下ろしているのも嬉しい驚き。エリック・サティのあの名作が淡くはかなげなボサ調に生まれ変わり、まるで夢の中で響いているようなサウンドが桃源郷へと誘ってくれる。
 セルジュ・ゲンスブールが書いた「さよならをおしえて」は、当然70年代のアコースティックなフランソワーズ・アルディが思い浮かぶ。メランコリックで切ない哀愁フレンチ・ポップの王道。21世紀のゲンスブールと言われるバンジャマン・ビオレーがプロデュースした妹のコラリー・クレモンにも通じるテイストだ。
 スパニッシュ風味でバッハを軽快に聴かせる「エアー(G線上のアリア)」は、やはりバッハを歌いバロック・コーラスで一世を風靡したスウィングル・シンガーズを思わずにいられない。他にもラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」をアコースティック・ギター中心に優雅に響かせたり、モーツァルトの交響曲40番を下敷きにしたと思われる「ザ・シークレッツ・オヴ・ザ・ナイト」をジプシー・フレイヴァーでアレンジしたりと、クラシックの調理法もアイディア豊か。木管や弦などの生楽器の奏でる音を大切にしたエレガントでクラシカルなアンサンブルの風合いが、アルバム全体を貫く通奏低音となっているのが何より心地よい。それはまるで、ヌーヴェル・ヴァーグの人気女優ジャンヌ・モローの歌を支えたシラス・バシアークのサウンドのようだ。
 そして最後に特筆すべきなのは、「ダッタン人の踊り」にフレンチ・サウダージとでも言うべき情感が漂っていること。メランコリーと爽やかさが溶け合った、そう、風を感じる音なのだ。フルートが印象的な素晴らしいアレンジメントと、彼女の声質の良さが際立つラララ・スキャット。ここでの柔らかく洗練されたフレンチ・ブラジリアン的情感の快さは、70年代のテカ&リカルドや現代のカチアにも匹敵するほどだ。
 彼女ならではの表現力を生かしたフランス語や英語の歌声、アコースティック楽器中心のアンサンブルの美しい響き、印象派的な選曲レパートリーが三位一体となったこのアルバム『ソー・ナイス』は、“シンプル・ビューティー”という川原亜矢子のライフスタイル・イメージに相応しい作品集になったと思う。


橋本 徹(SUBURBIA)

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