フランク永井
フランク、ジャズを歌う(DISC 1)

#1-CD
-
01
恋人よ我に帰れ
-
02
グッド・ナイト・スイートハート
-
03
ばらの刺青
-
04
16トン(シクスティーン・トン)
-
05
悲恋のワルツ I Don't Want To Be Hurt Anymore
-
06
戦場の恋 MY HEART BELONGS TO YOU
-
07
夜のストレンジャー STRANGER IN THE NIGHT
-
08
ゴッド・ファーザー SPEAK SOFTLY LOVE [THE GODFATHER]
-
09
セプテンバー・ソング SEPTEMBER SONG
-
10
二人でお茶を
-
11
ユー・ビロング・トゥ・ミー
-
12
ドリーム DREAM
-
13
テネシー・ワルツ TENNESSEE WALTZ
-
14
ハーバー・ライツ
-
15
ビコーズ・オブ・ユー BECAUSE OF YOU
-
16
フォー・センチメンタル・リーズンズ
-
17
ムーン・リバー MOON RIVER
-
18
酒とバラの日々
-
19
いそしぎ
-
20
ある愛の詩 WHERE DO I BEGIN LOVE STORY
-
21
テイクマイハート TAKE MY HEART
-
22
イッツ・ビーン・ア・ロング・ロング・タイム IT'S BEEN A LONG,LONG TIME
-
23
センチメンタル・ジャーニー SENTIMENTAL JOURNEY
-
24
ファイブ・ミニッツ・モア FIVE MINUTES MORE
-
25
(ポピュラー・メドレー)プリテンド~トゥー・ヤング~エニータイム~愛の讃歌~慕情(Popular Medley) Pretend, Too Young, Any Time, If You Love Me, Love Is A Many Splendored Thing
#2-CD
-
01
君恋し KIMI KOISHI
-
02
オール・オブ・ミー
-
03
ラブ・レター
-
04
ファイブ・ミニッツ・モア
-
05
時のたつまま AS TIME GOES BY
-
06
夕日に赤い帆
-
07
明るい表通りで
-
08
ワンス・イン・ナ・ホワイル
-
09
アイ・ドント・ノウ・ホワイ
-
10
国境の南
-
11
恋の気分で
-
12
わが心はむせび泣く My Heart Cries For You
-
13
嘆きのワルツ Let Me Go, Lover
-
14
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
-
15
チェンジング・パートナー
-
16
アイ・ワンダー・フーズ・キッシング・ハー・ナウ
-
17
ラモーナ
-
18
アンサー・ミー・マイ・ラブ
-
19
ムーラン・ルージュの歌
-
20
恋人と呼ばせて
-
21
テンダリー
-
22
ヴァイヤ・コン・ディオス
-
23
嘘は罪
-
24
枯葉 AUTUMN LEAVES
-
25
夜と昼の間(いつの日か君に)WHERE THE BLUE OF THE NIGHT MEETS THE GOLD OF THE DAY
CD1(21)~(25)、CD2(24)(25):ライブ録音
<演奏>
ニニ・ロッソ(tp): CD2(1)
ジョージ川口(ds), 秋満義孝(p), 横内章次(g), 稲葉国光(b), 松崎龍生(vib), 鈴木章治(cl), 与田輝雄(ts), 福原 彰(tp), 西村キジ(tb): CD2(2)(3)(7)(8)(9)(11)
前田憲男とミッドナイト・サウンズ CD2(4)(5)(6)(10)
「不世出の名歌手が、生涯、愛し憧憬した世界を歌った作品集」
解説:高橋正人(ライナーノーツより抜粋)
昭和30年代の歌謡界を、名作曲家、吉田正とともに歩み、都会調の歌謡曲という全く新しいジャンルを作り上げた不世出の名シンガー、フランク永井。彼が、昭和60年(1985年)にアクシデントに見舞われるまで、その歌声はブラウン管から消えることなく、決して、アウト・オブ・デイトになることはなかった。
昭和30年代に全盛期を迎えた人気歌手たち、そのすべてがその輝きを失ってしまった昭和50年代の後半、フランク永井の歌は、世代を超えて、私たちに大人の完成された歌の素晴らしさを教えてくれたものだ。そう、いぶし銀の魅力を、朝からゴールデン・タイム、そして、プライム・タイムから深夜番組へと披露し続けたのは彼だけだった。(中略)あの頃、テレビ番組の中のフランクは、いつもジャズの話をしていた。デビューから20数年を経て、彼は本当に好きな歌を好きなときに歌いたかったのかも知れないし、視聴者にも、そんな彼を待っていた、あるいは共有したいという雰囲気があったのかも知れない。
そのソフィスティケートでスマートネスな魅力・・・タキシード、銀座、そして、ジャズ。彼の歌のベースには、いつもいつも洋楽があった。「夜霧に消えたチャコ」のような渡久地政信の演歌を歌っても、彼のフレージングには、やはり彼が大好きだったビング・クロスビーからのインスパイアを感じる。「公園の手品師」もフランスのシャンソン・ド・シャルム(愛をテーマに歌う甘いシャンソン)の歌手アンドレ・クラヴォーの世界と同じ匂いがするかもしれない。(中略)
昭和30年(1955年)10月発売のデビュー曲「恋人よ我に帰れ」でも、甘くそしてソフトなクルーナー唱法、G音を極めて自然にそして豊かに響かせる魅惑のローヴォイス、キャンプ時代に培った実力が早くもスパークしている。新人ではなく、既に完成された、ある意味、円熟の境地に達した歌い手だった、とさえ言ってしまいたい程だ。今回あらためてこの2枚のCDを聴いてみて、発音、スイング感、リズム、すべてが自然なのに驚く。しかし、彼はわずか4曲の洋楽曲のレコーディング(SP盤)の後、歌謡曲に転向してしまう。(中略)
前述のテレビ番組に出演していた頃、昭和50年代の後半にリリースされた2枚のアルバム、『ALL OF ME~フランク永井、スタンダードを歌う』(1981年)、『ANSWER ME MY LOVE~ワルツをあなたに』(1984年)は、制作当時から並々ならぬ熱意を持って取り組んだものらしく、どれも練りに練られたレパートリーばかりで、本人の思い入れも強い。(中略)スタンダードナンバー集(『ALL OF ME』)では、参加ミュージシャンはアレンジャー/ピアニストの前田憲男をはじめ、ジョージ川口(ds)、秋満義孝(p)他、日本を代表するおなじみの名手たちばかり。彼らの多くが、フランクのキャンプ時代に共演した経験があるそうだ。ハッピーな仲間に囲まれてハッピーなレコーディング。フランクにとって至福な時間であったろう。そして、今これを聴く私たちにとっても、この上ない上質でハートウォーミングな時間を共有させてくれる。
私たちにとって、もはや、フランク永井はスタンダードな存在なのだ。