ベストヒット!沖縄ソングス

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2018.07.20

ベストヒット!沖縄ソングス <全曲解説>


ベストヒット!沖縄ソングス <全曲解説>

1. ハイサイおじさん/喜納昌吉と喜納チャンプルーズ
1972年にマルフクレコードから発売されたオリジナル音源。本人の実体験を元に中学生のときに作られたという、喜納昌吉のデビュー曲である。その後、76年にロックミュージシャンの久保田麻琴がアルバム『ハワイチャンプルー』でカヴァーし、中村鋭一もテイチクで吹き込んで話題となる。77年に喜納昌吉とチャンプルーズのメジャーデビューとなったフィリップスのアルバムにライヴ音源が収録され、シングル盤も出されて全国ヒットへと至った。オリジナルの民謡調よりもロック度が増したそのヴァージョンは、ビートたけしの「オールナイトニッポン」で毎回エンディングに使用されていたことでも知られる。オリジナル・ヴァージョンはなかなかCD化の機会が得られなかった貴重な録音である。

2. 愛(かな)さ栄昇節(Single Ver)/護得久栄昇(ごえくえいしょう)
2017 年の正月に放映された、沖縄のお笑い芸人No1を決めるテレビ番組に出演以来人気を呼び、テレビ・ラジオをはじめ多数のCMに出演するなど、地元で大注目を集めている護得久栄昇。護得久流民謡研究所会長の肩書きで、沖縄に数多ある民謡教室の師範をデフォルメして演じるキャラクターが支持されている。そんなニュースターが歌う本曲は配信で連続6ヶ月に亘って1位を獲得した。これがコンピレーションアルバムへの初収録、シングル音源の初CD化となる。琉球民謡好きは勿論、そうでない人もいつの間にか引きつけられてしまう憎めないキャラと歌に注目。

3. ダイナミック琉球/イクマあきら
多くの名曲がある沖縄音楽の中でも、今、地元で若い世代を中心に愛されているのが本曲。その人気は全国的なスタンダードとなった「島唄」にも匹敵するほど。沖縄の祭りや運動会のエイサーの曲にもっとも使われている曲だという。沖縄の魅力に惹かれて2002年に東京から現地へと活動の拠点を移したイクマあきらの歌は独創的。小浜島出身の演出家・平田大一による詞との絶妙な化学反応をおこしてブレイクに至った、必聴の一曲といえる。

4. 逢いたい島(じま)/大城バネサ
2014年に沖縄県公認の“美ら島沖縄大使”に任命された大城バネサ。本曲は沖縄県人の血が100%流れている彼女に、世界へ向けて沖縄の良さを発信してほしいという思いが込められた2016年の新しい沖縄ソングで、「島」は「じま」と読む。沖縄の土地、景色、気候、そして人の素晴らしさが存分に込められており、心を打つメロディと詞が沖縄のみならず全国各地で支持されている。今後もさらなる活躍が期待される実力派シンガーである。

5. かりゆしの夜/BEGIN
沖縄県石垣島出身で1988年に活動を開始したBEGINも、沖縄音楽の素晴らしさを日本中にアピールする重要な役割を担っているグループである。デビューのきっかけは、当時のバンドブームを牽引した番組『三宅裕司のいかすバンド天国』だった。1990年に「恋しくて」でプロデビューを果たしてから「涙そうそう」「島人ぬ宝」「三線の花」など数々のヒットがあるが、これは2000年にリリースされたミニアルバム『ビギンの島唄 ~オモトタケオ~』に収録された祝歌。“かりゆし”には琉球言葉で“おめでたい”という意味がある。

6. 片手に三線(さんしん)を/DIAMANTES
ディアマンテス7枚目のシングルとして1995年にリリースされた曲。第3回世界のウチナーンチュ大会のテーマ曲に起用された。レコーディングには宮沢和史、どんと、新良幸人、小嶋さちほ、BEGINなど、沖縄に縁の深い若手ミュージシャンたちが参加している。ディアマンテスは、日系ペルー三世のアルベルト城間を中心に1991年に結成されたラテンバンドで、グループ名はスペイン語でダイヤモンドの意。城間の出身地であるペルーのムシカ・クリオージャやアメリカン・ハードロック等、様々なジャンルを融合させた“オキナワ・ラティーナ”で独自の音楽世界を展開し、沖縄ポップスに多大な影響をもたらした。

7. 涙(なだ)そうそう/夏川りみ
1989年に“星美里”名義でデビュー後、一時引退し、1999年に再デビューした夏川りみの3枚目のシングルとして2001年にリリース。作曲者でもあるBEGINが沖縄サミットで演奏しているのを見て、カヴァーを熱望したという。その依頼に対してBEGINはオリジナルとなる「あなたの風」を提供したが、どうしても本曲を歌いたいという夏川の想いでカヴァーが実現することとなった。最初に音盤化された森山良子、続くBEGINのオリジナル盤と共にロングヒットとなった夏川のカヴァー盤はミリオンセラーを達成している。

8. イラヨイ月夜浜(つきやはま)/大島保克(おおしまやすかつ)
石垣島出身で八重山民謡を原点にした歌い手の大島保克が作詞し、自ら歌った作品。作曲したBEGIN・比嘉栄昇や夏川りみも歌唱している。大島と比嘉が高校の同級生であったことから、作曲が依頼されたのだという。沖縄口、八重山口、大和口が混合された歌詞は新しい沖縄ソングに見られる傾向で、古い唄からの引用に大和口や自らの故郷の言葉を織り交ぜられたものが多い。その結果、地元以外でも受け入れられやすく、沖縄産の多くのメロディが全国的なヒットに至る秘訣となっているのであろう。

9. 童神(わらびがみ)(天の子守唄)/古謝美佐子
沖縄音楽を代表する歌手の一人、古謝美佐子は沖縄県中頭郡嘉手納町生まれ。6歳から歌と三線を習い始め、9歳で早くもレコードデビューを果たしている。ラジオ、テレビ、コンサートなどで活躍し、1990年には知名定男プロデュースの下、吉田康子、宮里奈美子、比屋根幸乃と共に結成されたネーネーズのリーダーとなる。その後1995年にネーネーズを脱退してグループの音楽監督だった佐原一哉とソロ活動に入り、1997年に初の自主制作盤シングルとして出されたのが本曲であった。初孫の誕生を控えていた時の心情が佐原の曲に乗せて歌われている。ライヴ会場限定盤として販売された後、2001年にアルバム『天架ける橋』に収められた。

10. 三線(さんしん)のかほり/大城バネサ
日系アルゼンチン人2世としてアルゼンチンで生まれた大城だが、父親は沖縄県生まれの日系1世、母親は祖父母が沖縄県出身の日系2世であったため、幼い頃から琉球民謡や日本の音楽に親しんで育った。祖父が戦前に沖縄からアルゼンチンに移住した折、相当な苦労があったそうで、そんな生活の中、三線による歌や踊りが心の拠りどころとなって生活を維持出来たという実話を元に制作された楽曲である。THE BOOM「島唄」のヒット以降、沖縄独自の弦楽器、三線(さんしん)の存在はより広く知られることとなった。

11. さとうきび畑/新垣 勉
主にシャンソンに従事した音楽家・寺島尚彦の作詞・作曲による本曲の誕生は1967年に遡る。返還前の沖縄で平和祈念公園を訪れた氏が、第二次世界大戦末期の沖縄戦で犠牲となった人々を想い、夏のさとうきび畑に流れる風の音で表現した反戦歌。初めてステージで歌ったのは田代美代子だった。1969年には森山良子の歌で初レコード化され、テノール歌手の新垣勉による本ヴァージョンは2001年のカヴァー。新垣にとって初めてのCDとなった。同年には森山のシングルも出されて大きなヒットとなり、さらに多くの歌手によるカヴァーが連なりスタンダードとして定着してゆく

12. てぃんさぐぬ花/Kiroro
Kiroroは沖縄県立読谷高等学校の同級生だった玉城千春と金城綾乃のデュオで、1996年に「長い間」でインディーズデビュー。沖縄限定の発売が1万枚の売上げを記録し、1998年に同曲でメジャーデビューを果たす。古くから沖縄本島に伝わる民謡として広く知られる本作は、二人のシングル「愛さない」のカップリング曲として歌われ、2002年にリリースされた。古謝美佐子や夏川りみら、地元出身の歌手を中心に歌い継がれている、沖縄を代表する名歌である。

13. 芭蕉布/長山洋子
芭蕉布(ばしょうふ)とは、バショウ科の多年草イトバショウ)から採取した繊維を使って織られた布のこと。沖縄県および奄美群島の特産品で、夏の着物や座布団などの生地に多用される。幼い頃から民謡教室に通っていた長山は、ビクター少年民謡会に所属した後、1984年にアイドル歌手としてデビュー。1993年からは演歌歌手に転向して現在に至る。三味線の名手でもある彼女がこの繊細なナンバーを歌ったのは2005年。シングル「嘘だといって」のカップリング曲として発売された。ちなみに長山洋子は東京出身。

14. 安里屋(あさどや)ユンタ/夏川りみ
沖縄県の八重山諸島の竹富島に伝わる古謡を元に三線で節をつけたのが「安里屋節」で、さらに標準語でレコード化されたのが本作である。一般的に知られているのはこのヴァージョンだが、古謡を知る一部の人々は「新安里屋ユンタ」として区別しているという。沖縄では八重山民謡の有名レパートリーとして多くの民謡歌手がレコーディングしているほか、民族音楽に造詣の深い細野晴臣、坂本龍一、矢野顕子といったアーティストもそれぞれのアルバムでカヴァーしている。夏川りみによる本ヴァージョンは2002年のアルバム『てぃだ ~太陽・風ぬ想い~』に収録された。

15. ヒヤミカチ節/登川誠仁(のぼりかわせいじん)
カチャーシー(=三線速弾き)の名手として知られた琉球民謡の巨星・登川誠仁の最も有名なレパートリーのひとつ。終戦直後、荒廃した沖縄の人たちの心を鼓舞するために誕生したという本曲を島中に広めたのは、登川と照屋林助の功績であった。現在でも、高校野球の応援マーチに使われたり、国際的な歌のコンクールが開催されるなど、世代を超えて沖縄県民から愛されており、勇気を与えてくれる沖縄ソングの真骨頂といえるだろう。登川は2013年に80歳で世を去っている。

16. 唐船ドーイ/嘉手苅林昌(かでかるりんしょう)
嘉手苅林昌は、戦後沖縄を代表する民謡の唄い手。既に1999年に79歳で没しているが、同世代からは「カデカルさん」、若い世代からは「おとう」と呼ばれて親しまれたという。辛口批評で知られた評論家の竹中労が彼のことを「島唄の神様」と呼んで舞台のプロデュースを手がけていたことからも、林昌の芸に対する高い評価が窺われる。元琉球民謡協会名誉会長。1994年には沖縄県文化功労賞を受賞した。本曲は琉球民謡の代表的なカチャーシーで、エイサーのトリの定番でもあるポピュラーな祝歌として知られる。

鈴木 啓之(アーカイヴァー)


■リリース情報
「ベストヒット!沖縄ソングス」
VICL-65034 / \2,500+税

沖縄にはいろいろな歴史がある。沖縄で暮らす人の苦労と喜び、癒しの観光地としての大きな役割、戦争の悲しい記憶など。そんな沖縄の人や地域の歴史・魅力の詰まった歌たちを日本中、そして世界中に届けたい!というアルバムです。

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