update・・・2001.5.23


Vol.1 『鉱石ラジオ』
あきのによる [鉱石ラジオ]
 ラジオのViridian Houseに寄せられたお便りや、リスナーの方たちと一緒に体験していったことなどを通して、番組をやってきた4年の間に歌いたいことがたくさんたまっていました。それが最初にあったので、保刈くんが作ってくれるトラックとほぼ同時進行で歌詞もメロディーもできていきました。自分には珍しく即興に近いテイクが多かったです。人と一緒にセッションするようにして作っていくのも楽しい!ってことを知りました。
 ジャケットを描いてくれた角田さんは、このアルバムにはまって ず〜っと聞いててくれて、何枚も何枚も絵ができてきました。私たちもやっぱりアルバムを聞きながら やっと選んだのが、この蜂がいる絵。ジャケットの印刷が上がって来た後も、角田さんはなぜかず〜っと絵を描いててくれて、さらに私たちを悩ませました。嬉しい悩みでした!

M 1Zincite Trance
 電波の波形そのもの!みたいなトラック。Viridian Houseの最初のテーマが一瞬聞こえたりしてます。Zincite(ジンサイト)って、電気石の一種。かっこいい名前!
M 2鉱石ラジオ
 機械が苦手な私にとって、機械に強い人は尊敬すべき存在。それまで自分とおんなじと思って一緒に遊んでた男の子が、急にすごい人に見えてしまった瞬間の感覚の歌です。
M 3Satellite Song
 閉館してしまった五島プラネタリウムに捧げる歌です。「音楽と星の夕べ」という企画で私の特集を組んでいただきました。小さい頃遊びに行ってたプラネタリウムで、自分の歌を聞きながら地球一周の旅をするなんて、ほんとに夢のようでした。 Viridian Houseのリスナーにも、星を見る人がたくさんいます。
M 4エウロパの氷
 「星」にはまった延長線上で、氷に覆われた衛星のことを知って、こんな歌ができました。なんとなく、地表が、じゃなくて、空が、氷に覆われてるイメージです。そんな星にたったひとり居て、固く心を閉ざしてしまった人の歌です。    
M 5きれいな感情
 恋をするとからだの細胞が全部生まれ変わるような気がします。新鮮で、気高くて、美しくて、すばらしい気持ち。それをはじめて味わえる初恋は、ほんとに貴重なもの。この世のすべての初恋に捧げます。  
M 6How about u
 ラジオで時々聞こえてくるステーションロゴみたいな存在。保刈くんと魚くんで、いくつもバージョンを作ってくれてて、その中でアコーディオンが素敵だったこのテイクを選びました。カッコ良すぎず、ぶっとびすぎず、ちょうどいい「ゆるさ」って気がして・・。
M 7赤い砂 白い花(marrakesh mix)
 「降るプラチナ」でアカペラで歌ってたトラックを魚くんに預けて音をつけてもらいました。モロッコで結婚した友達にあげた歌。 あの、マラケシュの赤い街と友達の白いドレス姿を、より強く思いだせるような音になってて、なんだかびっくり。番組にもエアメールが届いたりします。 
M 8Trance Transistor Table Radio
 「今、○○をしながら聞いています。」っていうお便りをよくもらいます。ラジオで話してる時、私は狭いスタジオの中にいるんだけど、受信してくれてる無数の点と点がつながっていって、そこにはまた別の世界があるような気持ちになります。 
M 9案内マウス
 ホバークラフトみたいなちょっと不安定な乗り物に乗って、次の曲まで連れてってもらうイメージ。 
M10Welcome to Riskcaution Corporation
 私が一番好きなSF作家、フィリップ・K・ディックの世界。自分でも知らない意識下の自分が望む場所へのバーチャルな旅っていう設定です。ディック的に、現実と虚構の見分けがつかなくなっていく、カオスなかんじです。怖いもの見たさで、そんなツアーに行ってみたい。
M11チェコの夢〜Fall
 保刈くんが天から降りてきたフレーズを無意識にキーボードで弾いてて、それを聞いて私も無意識に歌ってました。自分の内側に向かって歌ったかんじが、チェコのアニメーションから受ける印象と似ていたので、このタイトルをつけました。 「Fall」は何番目かの番組のテーマがモチーフです。そのテーマは秋に作ったから、Fallって呼んでました。これも保刈くんが作ったトラックに歌って、その歌をまた保刈くんがエディットして・・というやり方で作りました。秋の風と電波に飛ばされて、最後にはとっても心地良い場所に行っちゃうかんじがします。


サウンドプロデューサー!!保刈久明による [鉱石ラジオ](談)
 前回のアルバム(降るプラチナ)をあきのちゃんと一緒に作っていく間に、自分自身の中に副産物のようなものができてた。それを形にしたくて、彼女が次のアルバムの制作に入る前にちょっと寄り道してもらおうと思ったのがきっかけだった。ちょうどその時、あきのちゃんもラジオ番組をリニューアルするってことで、何か形にしたいって思ってたらしく、それが結びついて、「ラジオ」をコンセプトにアルバムを作ろうってことになった。
 1曲1曲、違うものを、自分の中で、電波の波形みたいな1本の線でつなぐような気持ちで作ってったんだけど、ジャケットが出来てきたら歌詞がホントに波形でつながってたんで、それを見た時、ああ、説明しなくても感じ取ってくれる人がいるんだな、と思って、うれしかった。

M 1Zincite Trance
 子供の頃に作った鉱石ラジオのことを思いだして作った。目に見えない電波が世の中に無数にあるってことや、電池もいらなくて、ちっぽけな石が電波をキャッチできるってことが不思議だった。三重野瞳さんのマネージャーがハワイのおみやげにくれたポータブルラジオのノイズをコンピューターに取り込んで加工した。この曲は70%位がそのノイズの音でできてる。 
M 2鉱石ラジオ
 ラジオそのものが自分にとってはノスタルジックなイメージがするから、そんなかんじでアレンジした 細海くんの、ファルフィッツァっていうイタリアのオルガンを、彼に弾いてもらってる。モンドでステキな音。基本はドラム、ベース、キーボード。子供の頃ラジオで聞いてたカーペンターズとか、バート・バカラックとかの、シンプルな音楽。ソフトロック。 
M 3Satellite Song
 いろんなね、アコギや生のストリングス、電子音が入ってきたり、4つ打ちになったり、ひとつひとつのパーツは別ものなんだけど、そういうものがミックスチュアされてひとつになる音楽が作りたかった。
M 4エウロパの氷
 音楽は自分にとって、聞いた瞬間にどっかに連れてってもらえる、そういうものなんだけど、だから鉱石ラジオっていうアルバム自体を、「どこでもドア」や「タイムマシン」に見立てて今回作ってたじゃない? あ、オレはね・・・。(笑)これはなんか、70年代のヨーロッパのどっかの街に飛んじゃった!みたいなかんじかな?パラレルワールドとかね。    
M 5きれいな感情
 リズム録りの時の仮歌がそのままOKになった理想的なレコーディング。いわゆる「せ〜の」ってヤツ。あきのちゃんが弾いてるチェンバロが印象的。ちょうどそれを録ってる時 外が大雪で、帰れなくなるんじゃないかって心配だったなぁ。何年か前、大雪で車に閉じこめられたことを思いだしてブルーになった。で、ぜんぜん関係ないんだけど(笑)、雪をイメージしたアンビエントな音を後半フェイドインさせてるんだよね。
M 6How about u
 ラジオのステッカー(SS)みたいな曲を作ろうってことになって、ベーシックを作って、最初はもっとふざけたかんじだった。細海くんとファイルのやり取りをしてくうちに、いくつもバージョンができた。なぜかカエルの声がはいってるやつとかもあったけど、あれもアメリカの田舎にトリップしたようで良かったな。最終的にはこういう、ゆるカッコイイ形になった。    
M 7赤い砂 白い花(marrakesh mix)
 前のシングル(花のかたち)の時に このremixも細海くんに作ってもらってた。その時は入らなかったんだけど、今回の企画にぴったりなかんじがしたんで、入れさせてもらいました。面白い音作るな〜、この人。
M 8Trance Transistor Table Radio
 デモテープみたいな、ゆる〜いかんじで作ろうと。で、うち(ホst.)でアコーディオンやオートハープを細海くんに弾いてもらって、歌も仮歌のつもりでコンピューターの近くで録ってたんだけど、すごくいい雰囲気だったからそのまま使った。だから良く聞くとハードディスクの音が聞こえるかも。そういえば、「曲らしいものができたから、ちょっと仮歌でも録っとく?」ってあきのちゃんにトラックを聞かせたら、「ちょっと待って」って言って、それから15分位で歌詞を書いて、メロディーまでできちゃって、びっくりした。 早っ!
M 9案内マウス
 今回は曲順も考えながら作ってったのね。で、これは次の曲につなげる用。 ディレクターに聞かせたら、ねずみが走ってるようなイメージがするって、この曲名になった。自分としては、ディズニーランドのスペースマウンテンとかで 並んで待ってる時に流れてるガイダンスVTRみたいなつもりだった。 
M10Welcome to Riskcaution Corporation
 あきのちゃんはこういう、モンドでハードなトラックでもカッコ良く歌ってくれるっていう確信がありました。ありがとう。(笑) 色っぽいガイドさんみたいな人の役で歌ってもらいました。佐野さんのタイコをコンピューターに取り込んでエディットしたりしました。 一番時間をかけたトラックかもしれない。 
M11チェコの夢〜Fall
 レコーディングも後半にさしかかり、ヘロヘロなかんじで右脳だけで弾いたシンセに、あきのちゃんが即興で歌って、それが結構よかったんで、そのまま。「チェコの夢」から「Fall」に移っていく部分は、薄く曇った秋の空のイメージなんだけど、あきのちゃんの声を加工して使ってる。「Fall」はラジオViridian Houseのテーマだったものを広げた。 最後はね、もうね、宇宙の裏側まで電波に乗って行っちゃいました。さようなら。(笑)

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