update・・・2002.3.29


Vol.3 コレクションアルバム『RGB』
AKINO ARAI『RGB』LINER NOTES

 『空の森』以降、約5年の間に手がけた楽曲を中心にしたアルバムです。自分のためというよりは、オーダーを受けた作品のことや歌う方のことを考え、心をこめて作った曲たち。ほぼ、曲ができた順番に並べてみました。ささやかな、私の日々の営みです。

 RGBとは、光の三原色。(Red Green Blue)
光は色を重ねていくと、どんどん白くなっていく。どんな出来事も感情も、光に変えて乗り越えて行けば、最後にはすべて許容できる日が来る。RGBはそんな前向きなイメージを表す記号です。

 私の生活も、私をとりまく世界も、そうであってほしいという願いを込めて・・・。

→コレクションアルバム『RGB』の試聴はこちら

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01昼の月
14才の少女の歌を、というオーダーで生まれた曲です。夜輝く月とは違って、触れたら砂のように崩れてしまいそうな昼の白い月。少女がはじめて自覚する不安定な心。
02さかさまの虹
オリジナルは、「歌うのははじめて」という方が歌っています。その方の声だけを頭に響かせて作りました。森の空気のように澄んでいて、早朝の水辺のようにウエットで、ところどころ秘密めいて光る世界。
03Little Wing
白鳥由里さんと一緒に作った何枚かのアルバム中でも思い入れの強い一曲。コレクションアルバムの企画が持ち上がった時に、是非入れたいと真っ先に思いました。細海魚くんにアレンジをお願いしたら、すでに密かにカバーしてくれていて、それがとっても曲の気持ちと合っていたので、そのままのトラックに歌いました。
04黒い種
まだ言葉にもならない、でも確かに自分の中にある何か衝動のようなもの。コントロールできるかもしれないし、できないかもしれない、畏れはまだ硬い種の形。    
05月の家
『昼の月』から少しだけ成長して、恋する相手を思いやる気持ちを知った少女の歌。  
06ばらの茂み
もう長いおつきあいの『ロードス島戦記』に書いた曲。幼稚園に通っていた頃、尼僧である私の伯母が所属するスペイン系の修道院に遊びに行って、はじめて受けたカルチャーショックを思い出して作りました。
07星の木馬
菅野よう子さんから『子供が歌ってるように歌って』と言われ、そのつもりで歌いました。今聞くと、自分の中には大人と子供の境界線がないんだなと、改めて思い知らされます。
08叶えて
日本的なお話に書いた曲でしたので、和楽器を入れては?との意見があり、思い切って木田敦子さんに琴を弾いてもらいました。琴の音は薄いガラスの百合の花のイメージです。その後は現場で、オペレーターの坂元俊介くんとエンジニアの松林正志さんに色々とアイデアを出してもらったので、アレンジが連名になっています。 
09祝祭の前
発売されなかったゲームのエンディング...その(幻の?)ムービーを見てメロディーが浮かびました。戦いが終わり、勝敗などに関係なく人々の心には悲しみが残る。それでも、その日生きていることを祝いましょう、という気持ち。サビを5拍子にしたのは保刈久明くんのアイデアです。
10花のかたち
仲の悪い家族がいて言い争いばかりしている。でも眠る時だけは全員が静かにひとつ屋根の下で一緒に眠っている。そういった曲を、というお話で、ばら星雲が浮かびました。一人称の視点では、孤独な小さな星。でも宇宙の視点に立つと、星が集まって花の形にも見えるっていう気持ちです。でもホントは星雲って、ガスの集まりなんですけど...
11フォロー・ミー
たまたまテレビで見た、ミア・ファロー主演の70年代の映画に、勝手につけた主題歌。出会った頃の瑞々しい気持ちを夫に思い出させる為に、10日間、口を利かずに自分の後をついてくるか、それとも離婚か...と妻が夫に突きつける課題。ギターのカッティングのモチーフを保刈久明くんが考えてくれて、そこから広がって曲ができました。
12きれいな感情
恋をするとからだの細胞が全部生まれ変わるような気がします。新鮮で、気高くて、美しくて、すばらしい気持ち。それをはじめて味わえる初恋は、ほんとに貴重なもの。この世のすべての初恋に捧げます。
13空の青さ
決して結ばれることのない人への永遠の愛を誓う歌。そんな悲しくてストイックなこと私にはできないけれど、そういう気持ちになりきって作りました。オンド・マルトノのハラダさんとのセッションは、とってもあたたかく、楽しく、しかも勉強になりました...
14白昼夢
20年近くも前に作った、このアルバムでは唯一の未発表曲です。あまりにも空が明るすぎると逆に暗く見える。見慣れた町なのに、人影が全くないと、知らない町に思えてくる。意識がホワイトアウトして、意識下の風景が浮かび上がってくる感覚。細海魚くんの手によって、それが音になりました。


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