増田勇一(音楽ライター)

恐れることなく変化を重ねてきたからこそ、本質は不変であるという不思議。30年という時空を自在に駆け巡るかのような『CATALOGUE 1987-2016』に身を委ねながら感じさせられるのは、まさにそうした奇跡レベルの軌跡の美しさについてだ。その長い物語のなかにはさまざまな紆余曲折が刻み込まれているというのに、メンバー・チェンジという言葉だけは一度も登場しない。変わらずにいること、続けることを目的とせずにきたからこそ、BUCK-TICKは現在のような局面を迎え得たのだろう。この記念すべき瞬間到来をリアルタイムで味わうことのできる喜びを素直に噛み締めたいものである。