「リヴスコール」オフィシャルインタビュー

 「土砂降りの生」、あるいは「命の叫び」。THE BACK HORN、1年9ヶ月ぶり、9枚目のオリジナルアルバムは『リヴスコール』と名付けられた。「命は!」とリフレインする鮮烈なコーラスが脳裏に焼きつく先行シングル「シリウス」の熱はさらに高まり、今作においてTHE BACK HORNの「生」は、「命」は、凄まじい勢いで全方位的に飛び散って、聴く者の心に生命の嵐を巻き起こしていく。「THE BACK HORN以外の何ものでもない世界」を極限まで突き詰めた前作『アサイラム』は彼らにとって一つの到達点と言える作品だったが、今作『リヴスコール』で4人はさらなる約束の地に向けて猛然と走り出した。

「今作は4人それぞれの"気持ち"から始まった作品なんです。これまでアルバムを作る時には、最初に完成図のようなものを描いて、そこにみんなで向かっていくような作業が多かったけど、今回はとにかくこの4人がこの時期に表現したいこと、伝えたい言葉、鳴らしたい音楽を作っていこうってところから始まっていて。去年あれだけ大変な震災が起きて、その最中にも僕らはツアーや曲作りをやっていた。そこでそれぞれが感じてきたこと、考えてきたこと、自分自身に問い詰めてきたことがいっぱいあった中で、この4人で何を残すべきなのかっていう答えが一人一人の中にあって。その答えはそれぞれ違うものだとしても、そこに真っ直ぐ向かっていくという姿勢において、4人には一切迷いがなかったから」(松田晋二)

 震災の直後、義援金を集めるために「世界中に花束を」(今作には新録で収録)を4人で作り上げて緊急配信したことをはじめ、(福島県出身のメンバーがいる)THE BACK HORNに対して、あの震災の当事者の「近く」にいるバンドというイメージを持っている人も多いかもしれない。しかし、今作の感動的なフィナーレとなる「ミュージック」の中で、THE BACK HORNはこう歌う。「想像すること それがあらゆる距離を埋めるよ」。

「何か大きなことがどこかで起これば、それ以外の場所にいる人と距離が生まれるというのは当然のこと。でも、それをどれだけ自分のこととして考えられるかっていうのは、想像力の問題だから。何が良いとか悪いとかじゃなくて、単純に人として、嘘のない想いというのはその人の想像力から生まれてくるものだから、それを大切にしていかなきゃなって。自分たちには音楽があって、音楽には楽しむことだけじゃなくて、そういう想いを大切にしていく気持ちを伝える力もあると思うんです」(松田晋二)

「痛みに目を反らしちゃいけない、痛みも全部ひきつれていかなきゃいけないっていう気持ちに改めて気づかされましたね。それは、震災のような大きな出来事だけじゃなくて、個人がそれぞれ抱えている痛みも同じだし、スケールの問題じゃないっていうことも。"自分に何ができるんだろう"って悔しく思うことも多いけど、同時に、自分が歌うべきことが以前よりもはっきりと見えてきたような気がする」(山田将司)

 アルバム『リヴスコール』を貫いているのは、現実に押し潰されそうな重苦しさや現状を憂うシリアスさではなく、ある種の軽やかさと驚くほどの音楽的な自由さだ。4人が持ち寄った詞、そして4人でスタジオの中で磨き上げていった楽曲は、バンド史上最高に突き抜けたエネルギーと力強さとグルーヴ感に満ちている。

「これまでは誰かが曲を持ってきた時に"これはバックホーンっぽくねぇんじゃないか"みたいな話になることもあったけど、今はどんな曲でもお互いに信じることができるから、そのまま羽ばたかせることができるんです。今まで以上に一人一人の個性が強くなって、4人が描く平行線の幅も広くなったっていうか。バンド自体が、より柔らかく、より大きくなったような気がします」(岡峰光舟)

「"気持ち"から始まったって言うと、やたらと衝動的な作品だったりとか、ちょっと押しつけがましい作品だったりっていうイメージを持たれるかもしれないけど、それとはまったく違う、すごく自由な雰囲気のアルバムで。どの曲にも曲調とかコード進行とかでは計り知れない強い意志があるんですよ。どこにも迷いがないっていうか。どういうメッセージを伝えようとかじゃなくて、"4人で音をどんどん鳴らしていった先に答えがあるんじゃないか"ってところから始まった作品だから。その答えが、ここに鳴ってるんじゃないかな」(菅波栄純)

 最後に、『リヴスコール』というタイトルに隠されたもう一つの意味を教えてもらった。

「"リヴ"と"スコール"で分けるんじゃなくて、"リヴス"と"コール"で分けると、複数形の"リヴ"がみんなに"呼びかけてる"っていう意味になる。この1年は、誰もが生きてることの意味を実感した1年だったし、生きてるっていうのは自分一人で生きてるわけじゃなくて、いろんな人によって生かされてるってことでもあるから。"リヴス"の中には、自分一人じゃないっていう想いが込められてる」(岡峰光舟)

「残された俺たちは、とにかく日々、生を燃やしながら、生を感じながら生きていきたいと思っているから。このアルバムを聴いてくれた人にも、ちょっとでもそういうエネルギーが湧いてくれればいいなって。『リヴスコール』は、そんな"願い"をかたちにした作品です」(松田晋二)

インタビュー・文・編集――宇野維正