ぼくの音楽に確信を持てたアルバムです

 今回は音楽が主人公で、音楽を聴かせよう、という感じでつくってみました! ツアーでもゲストとして参加していただいたSOIL & "PIMP" SESSIONSとコラボしたり、いつもどおり好きな人に好きな曲をつくってもらいました。今作の大きな特徴として前作『Noah’s Ark』でつくり上げたコンセプチュアルな音楽とは離れて、1曲1曲によりフォーカスしています。「こういうものが歌いたい!」というより、「この音に合うテーマは何だ?」っていうつくり方で、本当に制限なくいろんなことをやりました。そういう意味で、このアルバムは集大成というより、むしろもっと色々な事ができると気づかせてくれる作品です。
 これまでは自分の音楽自体がすばらしいというより、色々なことができるのがと思っていたのは勘違いで、ぼくの音楽は卓越したひとつのアートとして、すごく高いレベルで完成されていると確信を持てたアルバムです。とりあえず聴いてください!!!
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    1. 罠 featuring SOIL&"PIMP"SESSIONS

     この曲はもう、最初から「罠」というテーマで、えっちなことを歌うぞ!と決めていました。このアルバムが出るのは11月22日、いい夫婦の日です。ぼくりりがこれを歌っている、というのも含めてちょっと面白いですよね。
     音についてはとにかくSOIL&“PIMP”SESSIONSがかっこよすぎる! ソイルはいろんな顔があるなかで、一番好きな顔を出してくれました。演奏もすごいし、ボーカルのよさをめっちゃ引き出す人たちなんですよ。

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    2. 朝焼けと熱帯魚

     安定のササノ(マリイ)氏だけど、また新たな一面を引き出せた曲です。今までみたいな暗いチルじゃなくて、より明るくチルできる曲。主人公は女の人で、流されるままに生きていて、すごい退屈している。メタファーとして使っていますが、「熱帯魚」は見て楽しむもので、それ自体が主体になって何かする必要もなく、ぷかぷか泳いでいればいい、というか。そんな人が見た朝焼け、っていうイメージです。1曲目と並べて聴くと、名盤を予感させるいい曲だとおもいます!

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    3. Butterfly came to an end

     PATIRCHEV氏とは、ニコ動に上げているボカロ曲がめっちゃ好きで勝手に使わせてもらったところからやり取りが始まったんですけど(1stのprisoner in the glasses)、もともとR&Bに強い人で。「ジャズのエッセンスを含んだ、ダンサブルなR&Bを目指したい」って頼みました。歌詞のテーマとしては、さなぎから蝶になって夢が叶ってしまったら、もうその先に何もないよね、それってけっこう悲しいことだなっていう。逆に、真っ暗で狭いさなぎのなかに閉じ込められていたときのほうが、夢に向かう開放感があって、実際に羽ばたいた広い世界の方が閉塞感みたいのがあるとおもうんです。明るく踊れるかんじだけど、悲しい曲です。

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    4. For the Babel

     sasakure.UKさんの話、めっちゃしたくて。彼は強い曲も、優しい曲も、チルな感じの穏やかな曲も、どんな路線もいけるんですよ。で、「sasakureとぼくりりが一緒にやるぞ!」ってなったときに、みんなチルな曲を想起するはずで。そのなかでぼくは、「『タイガーランペイジ』みたいな曲をやろうぜ!」と言い放ったんですよ。「タイガーランペイジ」はsasakureさんの有名な曲で、めっちゃ尖ってて、攻撃的なやつ。落とし所を探ったりせずに、対決したほうが絶対に面白いとおもって。sasakure.UKに対してそういうオーダーを出したこと自体が評価に値するな、と自分で自分を褒める会を定期的に開いています!
     歌詞は何かを創作して発表すること、「表現」がテーマになってます。1番では、主人公が他人が作ったものについて安全地帯から人格否定するような言葉を投げつけるんですよ。でも、彼はその後にやりたいことを見つけて、自分がひとに浴びせてきたような理不尽な言葉にさらされることをわかりながら、それに立ち向かっていくことになる。バベルは音楽という文化そのもので、より高い塔を築くためにそこにみんな向かっていくよ、という話ですね。

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    5. SKY’s the limit

    Coming Soon

     「For the Babel」からバトンを受け継いで、もうちょっといつものチル感みたいなところに戻す意味で、この曲順になりました。この曲、いま見ると全然ポジティブな歌詞じゃないのがうける。1番の<幸せな日々>以降のところとか嘘ですからね。2番で1番を要約して、<“幸せそう”を追いかける自分>とつながるんですけど。こんなふうにインスタグラムに書いて「#まじ幸せ」「#最高なメンツ」みたいにタグを付けていても、別にあんまり楽しくねーしな、みたいな。でも、本当のことなんて知りたくないな、知っても悲しいだけだしなあって、今日もインスタグラムに自撮りを上げる、という終わり方。それを絶対否定したくなかったんですよ。とはいえそんなに強く肯定もしていなくて。ただ、アルバム全体として、この曲からぼくりりを聴くようになってくれたひとが喜んでくれたらいいな、みたいな感じはありました!

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    6. playin'

    Coming Soon

     (作曲にクレジットされている)Loyly Lewisの読み方は、「ロウリュ・ルイス」。すごい仲いい友達なんですけど、ぼくが適当に考えた名前にしてもらいました、完全に悪ノリ。けっこう初期になにも考えず楽しく作ったんですけど、音がめっちゃかっこよくて、アレンジもめちゃくちゃ好き。内容はまたえっちな感じで、刹那主義者の主人公が、それで何が解決したり、展開したりということは特になく、自分が嫌になりながらワンナイトで遊んでいるというか。ユニセックスソングなので、男性でも女性でも、好きに当てはめて聴いてもらえれば。

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    7. つきとさなぎ

    Coming Soon

     これはもう、1曲で完成されてる名曲だとおもいます。ササノ氏がたまにうちに来るんですけど、僕が寝てる間に作って聴かせてくれて、めちゃくちゃ良くて感動して、そこから歌詞を考えました。めちゃくちゃつらいことがあって、それが最後に回収される、っていう流れは救われやすいですよね。つらいところに別の人が出てきて、「大丈夫だよ、がんばろうぜ」って。

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    8. たのしいせいかつ featuring SOIL&"PIMP"SESSIONS

    Coming Soon

     ぜんぜん楽しくないじゃんw、っていうツッコミ待ちで、「スルメ(曲)にしちゃうぞ〜」とおもって作りました。実は「sub/objective」をアップデートしてやろう、みたいな意図もあって、あの系統でいまの自分がやったらどうなるのかなーって。今回は情景描写を多めにして、より深く入り込めるというか、没入感が出せるといいなとおもいました。
     出だしのフレーズが<この部屋に響くのは電車の音だけ>なんですけど、そういうときありません? 電車の音、さっきも聴いたな。この10分間、何もせずぼーっとしてただけだなって。限られた時間をそうやってちょっとずつ使い切っているという意味では、自殺に近いですよね。なにもせず、死に近づいてるというか。
     音がめちゃめちゃいいですよ。ソイルと生音でやることで、「sub/objective」がアップデートできた感じ。「罠」も含めて、一緒にやった意味がめっちゃあったなとおもいます!