荒牧さん インタビュー(抜粋)

___メガゾーンは最初から関わられていらっしゃいますね。OVA始まって三年目で、まだ商業ベースの作品がなかった頃の作品でしたが。
荒牧: いわゆるビデオの三種の神器といわれているメカ、美少女、面白いストーリーが並んでるものってなかったですからね。やっぱり時代性っていうのがあったと思いますね。それで非常に見たときのインパクトがあって、いまだにスタッフやガーランドが話題になりますからね。ありがたいと思います。
___監督としての3というのは。これはもう原案からストーリーから。
荒牧: そうですね、ビクターさんの方からお話をいただいたときに、コンピューターやサイバーパンクっていうのに非常に興味があったんで、そういうことをやりたいなってPART IIIに導入した覚えがあります。
___一作目や二作目のつながりというのはどれくらい。
荒牧: 本当はつながらない話にしてもいいかなって思うんですよ。当時は随分とビクターの方と相談したんですけど、期間が開いてたってのが悩みどころでしたね。前作を見てないとわからない話にしてはまずいし、それだったら導入部は見てなくても興味の持てるものにしなければならないじゃないですか。 前作とは全く別の話作ったのかなって思っていると、実は続きだったみたいな話っていう構成はどうだろうなっていうのがはじめの一歩でもありますね。
___あれって実際1や2から何年後の世界なんですか。
荒牧: 多分数百年とか、そういうレベルで…裏設定では、各メガゾーンが帰って来るプログラムってのが宇宙航行中に地上ではもう進行してて、実はエデン・シティが作られて待ってたんですよ。そのために実体のイヴが残ってたのに、エデン・シティでまた宇宙に出る前と同じ事を繰り返してしまったっていう話なんですね。
さらに裏話をすると、実はエデン・シティはメガゾーンの一つとして飛び出すための都市だったんだけど、それが一つ飛び出せないまま残ってたんですね。それを帰ってきた人の街としてプログラムしようっていうことになったものなんです。で、またしてもその中にコンピューターがあって、それが人を取りこんでしまっているのを人間が自分の力で脱出する話という意味合いにしたいなと思ったんです。結局1、2がそうだったんですけど、メインのバハムートというコンピューターと中で操られる人達の葛藤の話だったので、そういうパターンを一応踏襲してみたいなって思ったんです。
___面白かったのは主人公エイジのキャラクターっていうんですか、あれが今までの矢作省吾の型とはガラッと変わっていくっていう。
荒牧: 全体のイメージを未来的なところへ据えたときに、当時のリアルタイムの等身大のキャラクターとして描くことから離れてどういう絵柄にしようかって北爪さんと話したんですが、北爪さんの嗜好性としても少女マンガっぽいものとか、女の子うけするものとか、その頃の声優ブームっていうのが基本的に反映されてるかもしれませんね。
___ゲーム会社に就職っていうのも、リアリティの方向が変化した感じがしますね。
荒牧: そうですね。それつて作り手の年齢的なものもあると思います。1、2つていうのはある意味凄く強引な言い方すると、権力対若者っていう図式もあったと思うんですけど、それを今回は最初からやらないで、一見調和のとれている世界からはじまって、体制側に知らないうちに組みこまれている若者達がどう行動を積み重ねていくのかっていうのを描いてみたいところはありました。
___よく描けた部分...ここはもう今から見なおしてみてもうまくいったなっていう部分は。
荒牧: やっぱりゲームとの絡みってとこですかね。結構力入れたところって前半になりますけど。ゲームやつていくのがだんだんリアルになっていく、それが実際の戦闘にすりかわるっていう変化がうまく描けたんじゃないかな。あとはメカ的な部分でいうと、オリジナルガーランドが出てきて、あの辺は仕上げ的には結構辛いものがあったりしたんですけど、作画的には大張くんがやってくれたりしましたんで結構よかったかなって思ってるんですよ。
___一作目の話になりますが、最後の突入シーンですか、自分でミサイルぶっぱなしておいて、ガワかぶって後ろ追い掛けて行くっていう。ミサイルの後ろだから煙かぶっちゃまずいだろっていうのが、それを逆にわかっててやらせてるところとか。あの辺てみんな板野さんなんですかね。
荒牧: 基本的に戦闘シーンは板野さんだと思いますけどね。それから、確か地下での戦闘シーンは今をときめく庵野秀明だったと思いますね。あそこは今でも僕は好きですね。あと倒れたまま階段を横滑りするところとかですね。
___逆に荒牧さんのアイデアで実現化した映像というか、凄い絵っていうのは。
荒牧: いや、僕はそんな凄い絵はあんまり思いついてないような気がするんですけど、パート2で飛んで追っかけてくるフラッガーとバイクの追っかけで、警官が電線引っかかってたりするっていう辺はコンテ切らせてもらったりしましたね。ああいう飛んでるのと地上を走るバイクとのチェイスってのは、基本的に凄く面白くできたと思います。それから、巨大ロボットではない、四メートルくらいのロボットが街の中を蹂躙しながらではなく、街をうまく利用しながら戦うっていうのがうまくできていると思います。ロボットになってもなんとか強引にやればビルの中に入れちゃうってのがねらいだったんで、そういう戦闘したいねって最初から言ってたんです。
___実際このサイズってのはいい大きさですよね。しゃがめば何とかビルに入れてっていう。それこそ人と立っても大きさを実感できる大きさ。
荒牧: そういう意味では一番スケール感のあるサイズかなって思うんですよね。だから最初にインパクトがあったっておっしゃってた、女の子抱いて飛んだり、ビルの上立ってるってのは一番象徴しているシーンだと思いますね。ま、実はビルの上に立っていたことは一度もなかったんですが。3でちょっとあったかなって程度です。
___代表されるガーランドは戦うとどれが一番強いんですか。子供の質問なんですが(笑)。
荒牧: パワー的にはオリジナルガーランドが一番強いんでしょうね。でも精神的には最初のガーランドが一番強いでしょうね。乗り手の問題だったりして。
___最後に、ガ―ランドの語源ってなんででしょうか。
荒牧: いわゆる花束とか、例えばドイツの小銃がガーランドライフルといったりとか。まあ兵器にはたまにつかわれる。ネーミングしたのは確か柿沼さんです。ほかには栄光とかいった意味があるんじゃないでしょうか。