風味堂

interview

風味堂がやらなそうな真逆なことをやってみようと思ったんです。

—— ソロプロジェクト、デンシケンセツ『音楽式コンプリートダム』がリリースされましたが、こんなことを考えていらっしゃったとは驚きました。

鳥口 そうですね(笑)。僕、ダムが好きなんですよ。もともとツーリングが趣味で、その途中にダムがあって、そこから巡って行くということから始まったんですけど。

—— ダムにハマっていったきっかけは何だったのですか?

鳥口 そうですね、大きさというか、都内では150mとかのビルって結構あると思うんですけど、それを山の中で見るともう本当すごい迫力で、なんか遺跡のような感じなんです。ワインディング走ってると、急にパッと出てくるんで、それがいいな~と。その大きさが。しかもダムって同じ形がないので、このダムはこんな形してるんだ、とか用途も違うんで、そういうのが面白いんですよね。

—— それでダムをテーマとしたアルバムを作ろうと思ったんですね。

鳥口 ダムで受けた衝撃とかを音楽に結び付けたら面白いかなという発想が出まして、その方向で音楽をやってみようかなと。まず風味堂でソロ活動しようということが決まった時、いろいろ考えて、自分はどういう音楽をしようかなと思ったんです。最初は、僕はベースプレイヤーなので、フュージョンとかインストバンドを組んでみようとか、プログレのバンドを作ってみようとかいろいろ思ったんですが、やっぱり歌詞があった方がいいかなとか、なんかもっと直球に音楽と向き合うんじゃなくて、いろんな要素を取り入れて、聴いた人がクスッて笑ってくれるようなアルバムを作ってみようかなと思いはじめて。だったら風味堂がやらなそうな真逆なことをやってみようと思ったんです。風味堂じゃ、絶対「ダム」っていう言葉は出て来ないですよね(笑)。

—— 「ダムファン」っていっぱいいるらしいですね。

鳥口 そう、結構いて、そういうサイトやコミュニティもあって、「ダムナイト」というイベントもあるんですよ。まあ秘かなカルチャーなんですよ。

ゼロから100まで、こんなに自分の音楽に向き合ったことはなかった。

—— さきほどの話をもう一度戻すと、最初に2年前に休止する話になった時の、最初の自分の思いはどういう感じだったのですか?

鳥口 そうですね~、本当に休止するのかな~っていう感じだったんですよ、最初。しかも僕ら、ラジオのレギュラー番組やってて毎週会ってるし、別に休止してるという感じでもなかったし。ただ、ライブ活動とかそういうのがなくなるのかなっていう感じで、そんなにシリアスな感じにもならなかったんです。でも音楽活動として、風味堂から離れた自分はどうしようかなというところでいろいろ考え出して。その時、自分は打ち込みで音楽を作ることを専門学校の時に専攻でやってたので、ひとりでも音楽を作ることはできるから、作曲活動をやってみようかなと思ったんです。同時に、ベーシストとして、ライブサポートとかやって、その両方で動いてみようかな、みたいな。

—— 最初、映画音楽の話が来たんですよね?

鳥口 映画の話が最初ですね。そこで作曲の勉強をしてたことを活かしながら作っていきました。

—— ずっとバンドをやってきた中で、新しい活動は自分に何をもたらしたと思いますか?

鳥口 例えばこういうインタビューでも2人がいるから、自分はあんまり答える感じではないんですけど、質問が全部自分に来るじゃないですか。それがすごく新鮮だったのと、本当にまっさらの自分の、今まで風味堂に隠れてた自分の音楽に対する気持ちとか、どういう音楽が好きなのかを、風味堂抜きにして考えられたことが、すごく大切な経験だなと思いましたね。実際、こんなに自分自身の音楽と向き合ったことは、……風味堂ではベーシストとして向き合ってるんですけど、こうやって音楽のゼロから100までを自分でやるということは今までなかったので。

—— 自分の中にある音楽の可能性をこのソロ期間で知ったということですね。

鳥口 そうですね。なんか実際自分が演奏してバンドでやる感じと、ひとりで打ち込みでやるというのは、真逆なことをやってるんで、なんかバランス取れてる感じはしましたね。だから風味堂でやっていて、「あ、あのアイデアはデンシケンセツに使えるかもな~」とか、デンシケンセツでやってることが「あ、この感じは風味堂に合うかも」というのもあって、ふたつやることで幅が広がった感じはします。だからソロプロジェクトはこれからも続けていきたいし、そこで培ったことが風味堂でも活かせればいいかなと思いますけどね。

—— 同時にライブサポートもやってらしたんですよね? それはベーシストとして。

鳥口 そうですね。ササチカさんでやらせていただきました。風味堂でやる時と、ベースを弾くこと自体の感覚は変わらなかったんですけど、ただ、そのサポートメンバーという立ち位置が新しいというか、バンドのように自分が前に前にっていう考え方をしなくてよくなるので、本当に純粋にベースプレイとして、メインの2人が気持ちよくなるようにっていうふうに客観的に考えることができて、その感じはすごく新しかったですね。

—— 渡さんのソロ活動は、どういうふうに見ていらっしゃいました?

鳥口 いつかするだろうなとは思っていたんです。僕自身、バンドから離れて、渡さんが自由に一人でピアノで歌ってる姿を見たかったし、実際、渡さんのライブ見たら、すごい自由な感じがしましたね。MCも結構毒舌で面白いし。そういえば、渡さんのソロが終わって、これ、ちょっとした変化なんですけど、ラジオで一緒にやってると、よーく喋るようになったんですよ。なんかそれが、違う時を過ごして来たんだなっていう感じがしましたね。えらい喋るなーと思って(笑)。

カメラマン:Nohagi Naka
インタビュー:Miho Kawaguchi (SWITCH)