HALFORD。この名前はご存知のはずだ。ヘヴィ・メタルに少しでも興味がある人ならロブ・ハルフォードと聞いただけでゾクゾクしてしまうに違いない。メタル・シーンの最強バンドの一つ、ジューダス・プリーストのフロントマンだったあのカリスマ性溢れる熱唱型スターの名前なのだから。そして、ジューダス・プリーストという名前を聞いただけで、メタル・ファンのハートの中には衝撃的な期待感が溢れてしまうだろう。

我々が愛してやまない音楽史にハルフォードが築き上げた比類なき実績を再確認するだけで、思わずテニス・ラケットを手に金魚鉢を狙い、彼のトレードマークとも言える叫び声で『Screaming For Vengence』を歌いたくなってしまうのではないだろうか?

そう、彼は夢そのもの、伝統の担い手なのだ。

そして今、彼はミレニアムの音楽に立ち向かい新しい時代にチャレンジすべく、再び力強く立ち上がった。プリースト脱退後、ファイトやトゥのアルバムをリリースしたハルフォードが彼が最初に愛した音楽ヘヴィ・メタルの世界へ戻って来たのだ。

彼の新しいバンドの名前はハルフォード。ギタリスト、マイク・クラシアックとパトリック・ラクマン、ベーシスト、レイ・リーンドー、ドラマー、ボビー・ジャーゾンベック、という最高級のメンバーをリクルートした彼は、再びメタル界の頂点へと返り咲くことだろう。

前述のファイト、トゥで実験的なことを試みた後、ハルフォードは彼自身が熟知している愛する音楽のまっただ中へと帰って来たのである。

「レコーディングしたアルバムは『Resurrection(復活)』と名付けた。僕にとっての黄金時代の再来だ。このアルバムは僕が得意とすること全ての集大成だから、自信を持ってる。」と、本人が熱意を持って語っている。「エネルギーとパワーが溢れていて、必要な要素を全て備えている作品だ。素晴らしいメタル・アルバムだと確信してるよ。」

「ちょっと休憩した後にやる気が出てきた、っていうことだね。自分が信じるもの全てを含有するアルバムを作るしかないって悟ったんだ。でも、このプロジェクトとプリーストの間にやったことは後悔してない。あの過程を踏んだからこそ今に到れたわけだから。」

『Resurrection』でロブ・ハルフォードと彼の仲間は、ブルース・ディキンソンの著名な新作に深く関わったプロデューサー、ロイ・Zと仕事をし、ディキンソンもこのプロジェクトで一役買うことになった。

「プリ・プロダクションの段階でブルースがロイに進行状況を尋ねたんだけど、その時ロイが初期のヴァージョンの『Locked&Loaded』を彼に聞かせたら、彼がこの曲を気に入ってマネージャーのロッド・スモールウッドに電話した。それで僕たちのマネージメントがサンクチュアリーになったんだ。」

しかし、メタル史を支える偉大なヴォーカリスト2人の仲はビジネスの域を超え、ハルフォードとディキンソンは『The One You Love To Hate』でデュエットもしている。

「ある日2人でこの曲の歌詞を考えていたんだけど、本当に自然発生的に即座に共演することになったんだよ。全然予定してたわけじゃなくてね。ブルースみたいな人材と共演できるなんてとてもスリリングだった。彼も僕と同じでブリティッシュ・メタルの偉大な伝統を背負ってる人間だからね。」

このアルバム、そしてバンドとハルフォードの全てを物語る代表曲は、やはりタイトル・カットだろう。この曲はアルバムのオープニングを飾るだけではなく、ハルフォードの哲学を雄弁に主張してくれる作品である。

「このアルバムにはパーソナルな部分もたくさん反映されている。」と、ハルフォードは語る。「歌詞の面では、最近の僕の音楽的変遷の様子が表されている。でもタイトル自体は僕の今の気持ちが反映されたものだ。僕にとって、このアルバムの曲もパフォーマンスも復活そのものだからね。メタル・ファンの多くが僕が彼らを裏切ったんじゃないかって思ってたわけだけど、僕は絶対にそんなことはしないさ。このアルバムが僕の答えだ。って言うより、メタルの世界から長い間離れていたことによって、メタルをやりたいと思う欲望や情熱がかえって強まったっていうことなんだ。」

一個人として、そしてバンドとしてのハルフォードにとって、『Resurrection』は固い決意を表す作品だ。ヘヴィ・メタルの伝説を形作る人材の一人が古巣に舞い戻り、再び大活躍をしてくれるなんて、素晴らしい限りである。

「今の僕はエネルギーとやる気がありあまってる。この先数年の間、やりたいことがいっぱいある。このアルバムこのバンドがとっても気に入ってるんだよ。」と、ハルフォード。「早くツアーに出て世界中のメタル・フリークたちの前で僕たちの実力を披露したい。」

これは現実だ。肌で感じてほしい。ロブ・ハルフォードがみんなを圧倒してしまうほどの威力を再び発揮してくれたのだ。『Resurrection』はニュー・ミレニアムのヘヴィ・メタルか?いや、違う。この作品は時を超越した掛け値なしの貴重なヘヴィ・メタル・ミュージックなのである。
Copyright(c) 2002 Victor Entertainment, Inc. All rights reserved.
@Victor Entertainment