

――アルバム制作を本格的に始める前から、
月イチくらいのペースでスタジオには3人で入っていたんですよね?
KREVA:
はい。2014年にROCK IN JAPAN FESTIVALに出た時くらいから、「どうせやるならいいタイミングでアルバムを出そう」みたいな話になって、2017年がKICK THE CAN CREWを始めてから20年だっていうことに気が付いたんですよね。それで去年から「とりあえずスタジオに入ってみようか」ということになって、1ヵ月に1曲のペースで制作が始まりました。
LITTLE:
スタジオに入ってみんなで作ったり、次に集まる時までにやっておく宿題とか、考えておくテーマも出しつつ……っていうような感じだったよね?
MCU:
うん。スタジオに入る前にトラックを聴いて、書いた歌詞を持って行ったりして。
――スタッフとか、回りの人の意見を反映するのではなく、
3人で進めるようにしていたそうですね。
KREVA:
はい。俺はそういうのがいいのかなと思っていました。「この曲は~の次に出すからこういう感じで」とか「そこは~っぽく」とかいうのはなく、3人が思うままに生み出したものが曲として形になったらいいなというのがありました。
――久しぶりに3人で作るにあたって、
どんなことを話していた記憶があります?
KREVA:
「“戻ってきた、イエーイ!”みたいな寒い感じになるのは嫌だよね」っていうことは話していた気がします。
――そういう中で生まれたのが、例えば
「I Hope You Miss Me a Little」みたいなテイストの曲でしょうか?
LITTLE:
そうですね。これ、最初に作った曲です。
KREVA:
通称「ミスミア」(笑)。最初に「ミスミア」を作って、その次にできたのが「千%」です。「サビをみんなで作る」というのをずっとさぼらずにKICK THE CAN CREWはやっていたんですけど、2曲目の「千%」の時点でそれがちゃんとできていたから、「良かったな」と思いました。だからその後も上手くいったんじゃないですかね。自分たちで「いいな」と思えるものを作って、その上で完全復活をしたかったんです。
MCU:
すごくキックらしいものができて、安心しています。「かっけー!」っていうよりも安心感が大きいかな。いいものができるだろうなと思っていたし、もともと安心感はあったんだけど、終わってみると、より強まりました。あと、俺、ラップ上手くなったらしい。「おお、そうかあ。ありがとうございます」という感じです(笑)。
――(笑)14年経って、個々にスキルアップもしましたよね。
MCU:
うん。そういう3人の声が合わさると、すごく破壊力があると思います。
――今回収録されたのは10曲ですけど、
他にも作ったものはあるんでしょうか?
KREVA:
ないですね。トラックの候補になったものはあったけど。
LITTLE:
しっかり歌詞を載せた曲はなかったです。
MCU:
メジャーデビューしてからは、作ったけど埋もれた曲っていうのは、なかったよね?
LITTLE:
そうだね。インディーズの頃はあったけど。
KREVA:
もしKICK THE CAN CREWで、「未発表音源」ってリリースされたらそれは偽物です(笑)。


■全員集合
――「1曲目」っていう感じの開会宣言感がありますね。
KREVA:
まさにそういう狙い撃ちです。ウチの社長が「アルバムのタイトルは『全員集合』がいいと思う」って言って、我々との距離をあまりにも感じまして。橋を渡さないとやばいなと思って「全員集合」っていう曲を作ることにしたんです(笑)。サビのフロウを思いついたから行けるんじゃないかなと。サビ、すごくちゃんとやったよね?
LITTLE:
うん。《常人 凡人 一般人》とか「~人」って言っているだけだから、ただ並べたように思われるかもしれないけど、ここにはかなり埋もれた「~人」がいるんです。
MCU:
「美人じゃない人(ビジンジャナイジン)」っていうのもあったよね?
LITTLE:
あったね(笑)。そういうのを話し合うのが好きなんです。1人で家で考えていたら突き詰めないようなことも、「たしかにたしかに!」ってなっていくのが楽しいんですよ。
KREVA:
ちゃんとみんなでOKを出せるようにやっています。この曲も、そういうところをさぼっていないです。あと、「全員集合」は、雄志くん(MCU)のレコーディングが長過ぎて飽きたっていうのもありましたね。「自分で書いたのに!」って思いました(笑)。
MCU:
自分で書いたのに歌えないところがあって、「そういうことってあるんだね」と(笑)。KREVAにレコーディングデータの波形を見せてもらって、「ここだよ」って教えてもらいました。いい思い出です。
■千%
――テーマは、どんな感じで決まったんですか?
KREVA:
LITTLEが「熱いのやるか?」って言ったんだっけ?
LITTLE:
うん。まあ、久しぶりに集まったから、「会わなかった間、何か変わったことあった?」っていう雑談をして、「わりと昔より前向きなことを思えるようになった。《一生懸命を恥ずかしがるな》みたいなフレーズが好きになったのは、40歳くらいになってからだな」っていうような話になったんです。だから熱いものをやりたかったんですよね。そういう意味での《経て からの ここ》なんです(※《一生懸命を恥ずかしがるな》は、昔の曲「LIFELINE」のKREVAの歌詞の一節)。
KREVA:
《経て からの ここ》は俺が提案して、最初はみんなで笑っていたんだけど、なんかこれになっていました。「一生懸命ってだせえ」って時期があったからこそ、今「わあっ!」って言えるということです。
LITTLE:
これはキックっぽいワードセンスだと思う。あと、《追い炊き機能》って言えるのも、KICK THE CAN CREWっぽいと思います。全体的に「自分たちの中にあるKICK THE CAN CREW像をやった!」っていうような、逃げずに千%やり切った感じはあるなぁ。「今の我々だったらこうだぞ!」っていう。
――みなさんの中にある「KICK THE CAN CREW像」って、どういうものですか?
KREVA:
「俺たちがOKになるものをしっかり探す」っていうことじゃないですか。「これでいいや」とか「俺がサビ書いてくるよ」とかじゃなくて、ちゃんとみんなで探すんです。自分たちの着地点を見つけるっていうことですね。
LITTLE:
うん。誰かがプロデュースして「こういうのってキックっぽいでしょ?」って言われても、やってみるとそうはならないよね?
MCU:
うん。ならないと思う。
――「千%」は、MCUさんの歌詞の部分で、昔の曲の歌詞とかタイトルを
散りばめているのも印象的なんですけど、これに関しては自然と出てきた
アイディアなんですか?
MCU:
うん。最初からそういうイメージがあったんです。せっかく完全復活するのならば、ちょいちょい入れてみようかなと。俺、そういうのが好きなタイプだから。
KREVA:
俺、最初の話し合いの時、そういうのは嫌だって言ったのに。
MCU:
そうだっけ?
KREVA:
こういう歌詞が出てきたから「こいつ!」と(笑)。
LITTLE:
でも、3人いるから、こういうのもあって良かったんじゃないかな。良いバランスになっているんだと思います。
■今もSing-along
――昔のKICK THE CAN CREWにはなかったタイプの曲だと思います。
KREVA:
はい。ここまで「俺、ここ歌うから」っていう感じでガッチリやることはなかったですからね。歌詞は、なんでこうなったんだっけ?
MCU:
士郎さん(RHYMESTERの宇多丸)の話をしたところからじゃなかった?
KREVA:
そうだった。「童心を忘れないでとよく言うけど、逆に童心を忘れられない人の多さの方が問題なんじゃないか?」みたいなことを士郎さんがラジオで言っていて、それについてみんなと話し合って、こうなったんです。KICK THE CAN CREWって「公園をテーマにしている」じゃないけど、「カンケリ」と「タカオニ」を昔作ったじゃないですか。そこから、こういう話になりました。
――LITTLEさんは《ごまかしきれない心の声変わり》とか、
グッとくるフレーズを連発していますね。
KREVA:
出た! 良い歌詞メーカー(笑)。
LITTLE:
1個言いたいのは《エバーグリーン》を「若さの象徴」と捉えるのは、日本特有の風潮ってこと。そのことを知りつつ、この歌詞では使っています。英語が分かる人から何か言われるかもしれないので、今の内に「知っててやってます」と言っておきます(笑)。
――(笑)Uさんは、郷愁を誘う言葉を散りばめていますね。
MCU:
固有名詞が出てきますけど、そのまま使えて良かったです。そんなところも楽しんで頂ければと。
――ライブ映えしそうな曲でもあると思います。
KREVA:
そうですね。最終的にメロウなところに行かないで、勢いが出た曲になりました。
■SummerSpot
KREVA:
「シングルになるような曲が欲しい」っていう話になって。そうなるとテレビで歌うことにもなるじゃないですか。だから「テレビの尺にも対応できるとんでもない掛け合いの曲を作ろうぜ」っていうことで作りました。
LITTLE:
歌うのが難しいんですけど。
KREVA:
この曲、仲良し3人組の女の子とかがやっているのを見てみたいな。3人で歌を割り振って完成させるのは、楽しいと思います。ぜひやってください。
MCU:
ラップがすごい上手い女の子とか、いそうだからな。
――「イツナロウバ」とかにも通ずる「KICK THE CAN CREWのサマーチューン」って
いう感じがする曲ですね。
KREVA:
そうだと思います。トラックを聴いて「やべえ!」ってなってるその感じをストレートに表現しました。
LITTLE:
サビが「どかん!」って来る感じだね?
MCU:
うん。サビが印象に残ると思う。
LITTLE:
「トンネル抜けたら超夏」っていうような、「夏が来た感」がある曲ですね。
MCU:
音楽フェスとかでやっているイメージも湧きます。お客さんの姿が想像できるし、楽しみですね。掛け合いが大変なので、サビでの開放感がすごいんですよ。だから、最後のフックをライブで歌う時は、「やり切った!」っていう感じで爆発することになるんじゃない?
KREVA:
間違いない。
LITTLE:
うん。最後のサビ、楽しそう。
■なんでもないDays
――KREVAさんの《この美しい風土 喰らいつくせ 美味いシーフード》が衝撃です。
KREVA:
「“美しい風土”“ シーフード”ってなんじゃそりゃ?」って思いついたことがあって、使っていなかったけど気に入っていたんですよ。この曲の歌詞は、《流し込んだ冷えたCAVA》も、「こいつひと味違うな」っていう目で、2人は俺を見ていました。
MCU:
「来たな!」って思ってた。
LITTLE:
《流し込んだ冷えたCAVA》は、言い方もすごいから。
MCU:
俺、発音が良いのに弱い(笑)。
――(笑)3人の連携もすごいですね。
KREVA:
雄志くんに《アホ父ちゃん》でパスされるんですけど、意外と回収できるもんですね。
MCU:
このKREVAの歌詞、家族全員出してきて、回収しているんだな(笑)。
LITTLE:
《皆いるか? 俺らパトロールnow》って、「勝手な家族だなぁ」って思った。みんなあっちこっち行っちゃって(笑)。この曲は、「適度な温度感のある感じで作りたい」という話をしていました。だからクラブとか忘年会とかじゃない、スモールサークルな雰囲気。家っぽいというか、近所っぽい感じのパーティーなんです。
――ラテンな感じが香るサウンドが気持ちいいです。
KREVA:
結構前に作ったトラックです。みんなでハンドクラップを入れたりもしました。雄志くん、ハンドクラップが苦手だという事実が分かったんですけど。楽器が上手くても足でリズムを取るのが苦手な人がいますし、それと同じことだと思います。
MCU:
ブースに入る前にちょっと練習したんですけど、「あれ? どうも良くないぞ」と。
KREVA:
音自体も良くないんですよ。
MCU:
俺、手自体もハンドクラップに向いていないみたいです(笑)。
■完全チェンジTHEワールド
――このトラックは「やるんならKICK THE CAN CREWだな」っていうのが、
もともとあったみたいですね。
KREVA:
はい。ガチャガチャした感じがあるからかな? ポップなんだけど、無理に上げにかかっていないじゃないですか。KICK THE CAN CREWって、ものすごい速さの曲で「盛り上がってんだろ?」みたいな感じはないかなと思って。やっぱ勢いだけで行くと、ラップの内容を聴かせるという目的から離れちゃうから。
――歌詞に関しては、いかがでした?
KREVA:
1回サビを作ってみたんですけど、完成しなかったんです。俺が別のことをしなきゃいけない時期があって、その間に雄志くんとLITTLEが一度作ってくれたんですけど、またみんなで集まって再考して完成させました。
LITTLE:
「公園の中からちょっと足を伸ばしてく」とか「背中のウイング」的な言葉がテーマとして出ていて、「世界が変わっていく」みたいなイメージも入れながら作っていった感じですね。
MCU:
テーマ出しの時に、KREVAが殴り書きでいろいろテーマを書いておいてくれたんですよね。
KREVA:
殴り書きだと?(笑)。
MCU:
えーと、幸せ書きをしてくれて。
KREVA:
「殴る」の反対は「幸せ」なのか?(笑)。
MCU:
トラックと一緒にそのメモの写真を送ってくれて、それがすごく役立ちました。「世界が変わっていく」とか「背中のウイング」とかある中で、「ファッションもそうだよ」って書いてあって、「たしかに!」と。だからおろしたてのキャップとかを被って気分が変わっていくっていうような歌詞になったんです。それがなかったら、書くのにもっと時間がかかったと思います。
――幸せ書きのメモに感謝?
MCU:
うん。「ファッションもそうだよ」って端の方に書いている感じも良かったんですよ。
KREVA:
ありがとうございます(笑)。このサビ、実は歌うのが難しいです。
MCU:
伸ばすのが「羽根」なのか「足」なのか「鼻」なのか分からなくなっちゃうんです(笑)。
■また戻っておいで
KREVA:
最初は俺もラップを書いていたんですけど、むちゃくちゃ長くなっちゃって、「大サビみたいなのがあったらいいな」という話になって、この形になりました。
――KREVAさんは今回、全体のバランスを担う役割も結構していますね?
KREVA:
はい。昔はトラックを出して、3人でラップで競い合うような感じだったんですけどね。今回は曲によっていろいろ考えました。
――MCUさんは、この曲はいかがでした?
MCU:
歌詞を書きながら、「果たしてこの曲は終わるのかな?」って思いましたね。「そろそろいいだろう」って試しにやってみると、「まだある……」と(笑)。
LITTLE:
最初、サイズはこの半分でもいいっていう話もあったし、8でとるのか16でとるのかもどっちでもいいっていうことだったんですよね。だけど雄志くんがこのサイズで作ってきたから、「ヤバい。このサイズかぁ。長い戦いになりそうだな」と(笑)。
――MCUさんは歌詞を書き上げるのが一番早いことが多かったみたいですね。
KREVA:
そうですね。テーマ出しをして、「じゃあ書こう」ってなってから2、3日後にすぐ歌詞を書いていたよね?
MCU:
うん。ゲームとかやりたかったけど、ちゃんと歌詞を書きました(笑)。
――(笑)LITTLEさんは、この曲はどう取り組みました?
LITTLE:
深夜の山手通りをずっと歩きながら考えていたかな。あっ、『ポケモンGO』をやったりした。1回、目黒の先くらいまで行っちゃったから、また戻ってきて「目黒川まで来ちゃった」って思ったことがあって、それで『ポケモンGO』を始めちゃったんです。結構、山手通りを歩いた覚えがあります。
――今回の歌詞、『ポケモンGO』をやりながら書くことが多かったんでしょうか?
LITTLE:
違います! 考えながら歩いていたら目黒川の近くまで来ていることがあって、もったいないから『ポケモンGO』をやったっていうだけです(笑)。
■また波を見てる
――この曲のテーマ出しでは、どんなイメージが出たんですか?
KREVA:
雄志くんは「日本酒」だっけ?
MCU:
うん。
KREVA:
LITTLEは「船っぽい」って言っていたよな?
LITTLE:
そうだった。「クルー感」というか。「友だちでもあってライバルでもあって」というような。
――この3人のイメージ?
LITTLE:
いや。俺たちも含めて、今まで知り合ってきた、一緒にやったいろんな人たちのイメージですね。そういうところから船の乗組員、「クルー感」みたいなことを思い浮かべたんだと思います。
――MCUさんの「日本酒」は?
MCU:
トラックだけ最初に聴いていた時に、「日本酒のCMとかのバックに流れていたらいいなぁ」って思ったんです。「また波を見てる。日本酒・辛口」っていうナレーションとかが流れるようなイメージ。まあ、結局歌詞に日本酒のことは一切出していないけど(笑)。
LITTLE:
俺は《美味い酒》って入れたよ。
MCU:
どうやってラップするか、なかなか決まらなかった記憶もあるなぁ。だからたしか飲みに行ったんだった。
KREVA:
飲んだのは日本酒?
MCU:
焼酎。
KREVA:
なんだよ(笑)。
――(笑)サウンド面に関しては。サビ毎に3人の声の配分を変えていますよね?
KREVA:
まさに。サビの前に歌っている人が中心になるようにしています。
■I Hope You Miss Me a Little
――略称は「ミスミア」でしたっけ?
KREVA:
そうです。最初に作った曲です。
LITTLE:
最初の曲だからフレッシュだったなぁ。
KREVA:
これでスタートを切ったっていうのは、良かったと思います。久々にKICK THE CAN CREWが戻ってきて、「イエーイ! 復活!!」っていうよりも、《少しは寂しがってよ》くらいの方が良いし、新しい我々っぽさが見せられると思いました。
――KREVAさんの歌詞の《その期間 みかんみたいに 束の間 房の中 おさまって》が、
異彩を放っていますね。
MCU:
俺とLITTLEがスタジオにいる時に、これがKREVAから送られてきて一緒に聴いたんです。「みかん?」って(笑)。
LITTLE:
《未完》とかかなと思ったけど《みかん》(笑)。
KREVA:
最初に作った曲だから、一発目に聴いたのがこれってことですね(笑)。
MCU:
ラップをいろいろ聴いてきましたけど、ど頭に《みかん》って入れてくる人はいなかったですよ。しかも、このトラックの感じですから。でも、「KREVAらしい」って思いました。
――KICK THE CAN CREWの完全復活は、みかんショックから始まったっていうことですね。
LITTLE:
たしかに(笑)。
KREVA:
自分のソロの作品では全然歌詞を書けなかったのに、KICK THE CAN CREWで書こうと思ったら、すぐに書けたんですよね。やっぱりKICK THE CAN CREWは、「1/3になれる」っていうのが大きいんだと思います。全責任を背負って、いきなり頭に《みかん》を持ってくるのは勇気が要るけど、KICK THE CAN CREWは3人ですから。
■タコアゲ
――「タコアゲ」は、昔からのファンは特に沸いていると思います。
KREVA:
でしょうね。「カンケリ」「タカオニ」から20年なので「タコアゲ」です。これも「帰ってきたぜ! イエーイ!」っていうのじゃなくて、ふわっとタコをあげて「見えたらいいな」っていうような温度感が良いなと思っています。
LITTLE:
KICK THE CAN CREWの「河川敷っぽさ」っていうのも出ている曲ですね。
KREVA:
「河川敷っぽさ」っていうのも、よく3人で話していましたね。「俺たちは公園だけじゃない。夕方感も持ってる」って。
――Uさんは、お正月にタコアゲをした感覚を歌詞に反映したんですっけ?
MCU:
そうそう。正月に娘とタコアゲをやったから。まあ、それが歌詞になったというようよりも、「感覚的にタコアゲって、こういう感じだったなあ」っていうことですけど。この曲は、録っている時にエンジニアさんに褒められたのが嬉しかった。あんまり録った曲を聴きながら酒を飲んだりしないんだけど、この曲はやったねぇ。余裕のある後ろのノリでラップしているんですけど、「俺、もたりの神だね」と。
KREVA:
そうだったんだ(笑)。
MCU:
でも、その次の曲もそうしたら、エンジニアさんが「これは違う!」と(笑)。
――(笑)「カンケリ」「タカオニ」「タコアゲ」……遊び続けられている20年ですね。
KREVA:
次の曲は「ドローン」です。
――話半分に聞いておきます……。
LITTLE:
河川敷感だけ残して、未来的にして「ドローン」(笑)。
KREVA:
鉄塔を越えていきますよ(笑)。


――アルバム全体を振り返って、どんなことを感じます?
KREVA:
『KICK!』っていうタイトルにも出ているんですけど、「今のKICK THE CAN CREW」っていうものになったと思います。だからタイトルを『KICK THE CAN CREW』にするという案もあったんですよ。全体で1個のテーマというものでもなかったけど、各曲で毎回その時に思っていることとか、それまでに思っていたことを3人でちゃんと話してやれたので、「KICK THE CAN CREW」感がでていると思います。
LITTLE:
3人の空間から出てきたもの、言葉とかでできていったアルバムですね。
MCU:
いろんな感じの曲があるから、「どうまとまるのかな?」って思っていたけど、意外とまとまるもんですね。タイトルは『KICK!』ですけど、これになって良かったなと思っています。『PARK MAN』とか、LITTLEが出した『CAN BACK!』っていう案もあったんですけど。
LITTLE:
『CAN BACK!』は恥ずかしいから言わなくていいよ(笑)。
MCU:
あと、スタッフが出した『オーバーヘッドキック』というのもありましたね。通らなくて良かったと思いつつ、ちょっと経つと「それ、良かったかも」って思ったり(笑)。
――(笑)アルバムのリリース後は、日本武道館での『復活祭』が楽しみです。
KREVA:
いろんなゲストのみなさんにお声がけをしました。
――RHYMESTERは大先輩ですけど、倖田來未さんは、どういうご縁ですか?
KREVA:
デビューが、ほぼ同時期なんですよ。
LITTLE:
お互いにクラブでやっていた頃に一緒になったこともあるんです。それもあって、我々が勝手に同期感を持っているのかも。
MCU:
そういう同期感、よくある(笑)。
――いとうせいこうさんは?
KREVA:
去年、KICK THE CAN CREWを『いとうせいこうフェス』に呼んで頂いたんです。
LITTLE:
あと、デビューしてすぐの頃、せいこうさんの番組の『梁山泊』に出たこともあります。
MCU:
スペースシャワーでやっていた番組ですね。
KREVA:
あの番組で、「吉祥寺のぽっちゃりバーでの人気ランキング」っていうのをやって、俺が1位だったんだよな。
MCU:
それ、今言われて、鮮明に思い出した! コーナー内のクイズで「ぽっちゃりバーの店員が選ぶのは誰?」っていう人気投票の問題が出たんですよ。
LITTLE:
あの時、KREVAが1位で、なんかすげえ悔しい気持ちになったんだよなぁ。
――藤井隆さんも『復活祭』のゲストですが、共演したことがあるんですか?
KREVA:
はい。テレビでご一緒したことがあるんですよ。
LITTLE:
『マシューTV』(『Matthew's Best Hit TV』)です。
LITTLE:
楽屋に挨拶に来てくださって、「すごく丁寧な方だなぁ」って思いました。
――豪華なみなさんをお招きした『復活祭』は、どのようなものになるんでしょう?
KREVA:
「みんなでお祝いしましょう」っていうことですけど、まあいずれにせよ、12月にやるツアーとは全然違うものになりますよ。
――この先のKICK THE CAN CREWに関しては、既に発表されていること以外に、
何か言えることはありますか?
KREVA:
今までにライブをやっていなかった場所にも行きたいですね。クラブではいっぱいやったことがありますけど、ライブハウスツアーとかはやったことがなかったですし。
LITTLE:
そのためにも、まずは12月のツアーをみっちり良い感じでやれたらいいですね。
MCU:
フェスもツアーも楽しみたいし、それと同じくらい昔以上に3人で遊びたいなと。この前も打ち上げがあったけどスタッフとかがいたから、「3人ではじけて飲みたいな」ということも考えています。
KREVA:
まあ、先のことはあんまり考えていないですけど、1個1個しっかりやっていきたいです。みなさんが風を吹かせて、どんどんタコを上の方へあげてくれればと(笑)。我々のクリエイションがしっかりしていれば、作るものがブレないのかなと思います。
