ずっとこの日を待ち続けていた。
彼女の才能にはじめて出会ったのは12年前のロンドンだった。
その時からすでに彼女の描くスコアは鋭く官能的で雄弁で美しかった。
やっと時代がミナの音楽について来たのだ。
さあ今こそ一緒に彼女の果てしない音楽世界に旅立とうではないか。

葉加瀬 太郎(ヴァイオリニスト)
なんと音楽のボキャブラリが多彩なんだろう…。
『カレイドスター』という作品で、窪田さんが作曲してくれたBGMを、初めて聴いた時の印象だ。
僕のイメージを軽々と飛び越えて自由に広がる音楽を聴くのは、とても心地よい経験だった。音楽を聴きながら、この人は音楽を作るのが楽しいに違いないと勝手に確信した。きっとメロディーが湧きあふれてくるに違いないと。
そして、もっといろいろ聞きたいという欲求に駆られて、『ARIA』という作品でも主題歌をお願いし、また新しい色で楽しませてもらった。この、楽しみにしていたアルバム「MOMENT」の中にも、あふれ出る音楽を楽しんでいるかのような窪田さんの素顔が垣間見えるような気がする。
浸っていると心地よく、不思議に幸せな気持ちになってくるのだ。

佐藤 順一(アニメーション監督)
最近、ある音楽ドキュメンタリーをパリのスコラ・カントルム音楽院で撮影したのだが、ああいうヨーロッパの音楽学校には、どこか共通する独特の雰囲気がある。世間のリアルな事共から密やかに隔離され、学生達は皆ただならぬ何事かを大切に隠し持っているかのようにナイーヴで言葉少ない。窪田ミナにもそういう雰囲気を濃厚に感じるのは僕だけだろうか?
英国王立音楽院出身だという先入観がそうさせるのかもしれないが、彼女が「ただならぬ何かを隠し持っている」ことは確かだろう。しかしながら、作曲家としての窪田ミナの美点は「出し惜しみしない」ことでもある。
彼女の頭の中のどのドアをノックしても、両手いっぱいのアイデアを抱えて、微笑みながら窪田ミナが出てくる・・・そんな感じだ。
だからまた違うドアをノックしてみたくなる。

源 孝志(映画監督、演出家、脚本家)
窪田ミナとは、私が教授を務めていた英国王立音楽院に当時新設された商業音楽科で、私の生徒として出会いました。その新しい学科で、私と十数人の生徒たちは新しい音楽の世界を切り開いていこうと目まぐるしい日々を過ごしていました。
慣れない国や文化である上に、たった2人の女生徒のうちの1人として、学内の新しい環境に入っていくことは、ミナにとって大きな挑戦であったに違いありません。しかし彼女は平静かつ決然としたやり方でそれらの障害を乗り越えスター学生となり、またそんな彼女に教えることは私の楽しみでもありました。
そんな訳で、数年後に彼女と再会して、このアルバムの為に彼女の作品をロンドンのアビーロード・スタジオで指揮したことは、私にとって格別に喜ばしいことでした。
ミナの作品を聴くとすぐ分るのですが、彼女は実によく音を聴き分け、音そのものの特質を理解し吸収した上で、彼女ならではの非常に特徴的で美しい烙印をこのアルバムの音楽に刻んでいます。
よくやったね、ミナ... “A +”だと思うよ!

ニック・イングマン(指揮者・編曲家)
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