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鈴木祥子

鈴木祥子 / さいごの果実

歌ってみて初めて、これは「実存」についての歌だと思いました。平均律でないバロック時代の「四分の1」の調律で、真綾さんの繊細で強い言葉と歌唱から伝わる或る感触――触れられないもの、遠いもの、だからこそ求めずにいられないものへの抑制と熱情――に届くよう希いながら、演奏がさいごにさしかかった時、バッハの『FUGUE IN G MINOR BWV.578』が頭の中に流れてき ました。冒頭のテーマをD MINORに変えて、この曲のエンディングとしました。

鈴木祥子