the id : 2015.03.09

『 「REQUEST」について 』

トリビュートアルバムの提案はスタッフからでした。私の発想にはないことだったから驚くとともに、すごくハッピーな企画だと思いました。20周年だからこそできること、まだやったことがない挑戦でもあるし、しかも遊び心があって、ちょっとスリリングなこと。何より、私の20年という時間を身近で見守り続けてくれているスタッフが、この節目の餞(はなむけ)として贈りものをくれようとしてるのだと伝わってきたからです。

シンガーとしての私は実におもしろい道のりを歩んで20年目を迎えています。ひとりのプロデューサーとがっつり組んだ前半10年があり、後半の10年は逆に新たな出会いの連続によって支えられてきました。年代も性別もジャンルも超えて、様々なアーティストと一緒に作品を作ることで、いわば修行してきたようなものです。これは、なかなか経験できないすごく貴重な体験だったと思います。あの10年、この10年、どちらが欠けても今の私は成立しません。おかげさまで今、私には多くの素敵な友人、先輩、恩師がいてくださいます。私は素晴らしい人たちとの出会いの歴史が、自分の最大の財産だと感じています。それがこのようなかたちで1つの作品になると思うと重みがあります。

今回ぜひともご参加いただきたいと思うアーティストさんはたくさん思い浮かんだけれども、できるだけ多様な音楽性を持つ方々が一同に介してくれるような、カラフルな1枚になれば面白いなと思いながら、最終的にこの11組の皆さんに協力していただく運びとなりました。それぞれに私自身が強いリスペクトの気持ちを持っている方ばかりで、本当に光栄に思います。

完成したトリビュートアルバム「REQUEST」を聴いて、世界中で一番感動しているのは私で間違いありません。15周年でも、18周年でも去年でも、このアルバムを出すことはできなかったでしょう。長く続けていると、こんなに嬉しいご褒美もいただけるものかと、続けてきてよかったなあとしみじみ思いました。そんなきわめて個人的な感慨ではあるんですが、もしも私を気にかけてくれている方が興味を持って聴いて一緒にアニバーサリーを楽しんでくれたら嬉しいし、逆に私の原曲を知らずに聴く人がいればそんな出会い方もすごくいいなと思っています。でも、何よりもまず、このアルバムが世の中に存在するということ自体が私にとって大きな励みになり、この先もずっと輝きつづける宝物になるでしょう。節目を迎えつつ、まだまだこの先へ進まなければならないと感じている今の私に、最高の記念碑を贈ってくれたスタッフにも感謝しています。そして、このようなわがままに快くつきあってくれた素晴らしいアーティストの皆様、心からのありがとうをお伝えしたいです。

*maaya*