the id : 2018.09.18

『 L'ambition 』

今回は、以前私が在籍していた児童劇団“グループこまどり”の公式ファンクラブ “L'ambition”の会員だったみなさまに向けて、お手紙を書きたいと思います。

元“ラムビ”会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。ラムビが解散になって15年の月日が流れました。あの頃まだ学生だった私も38歳。おかげさまで元気に仕事に励んでおります。最後のイベントの場で、10年後にまた集まってイベントをやりたいと発言しました。ですが実際10年以上たっても叶えられずにいること、ずっと気になっていたんです。

8歳で「こまどり」に入団し、学業と両立しつつ楽しみながら仕事を続けてきました。大学を卒業して社会人になるとき、「こまどり」の卒業も決意しました。覚悟は決まっているつもりでも、それまで第二の家族みたいにアットホームな環境で守られながら活動してきたので、いきなり外の世界へ出てもうまくやっていけるのか、不安もありました。ですからあのとき「10年後」と口にしながら、とにかく目の前の10年を必死に頑張ろう、10年後輝いてる姿を皆さんに見せなければという、自分へのプレッシャーをかけるような意味合いもありました。皆様には約束を果たしておらず申し訳ない気持ちですが、あの日の応援があったからこそ、今があります。心から感謝しています。

実際の10年は、想像以上にあっという間でした。頭で考えていたときはあれこれ心配していたけれど、一歩踏み出してしまえばもう引き返す道もなく、無我夢中で進むうちにいつの間にか時が過ぎたという感じです。本当にいろんなことがありましたけど、今振り返ってみますとすべてが必要な出来事でした。

私と同時期に卒業した浪川大輔とは、別々の事務所に進んでからもしばしば共演する機会があり、お互いの成長や闘いを付かず離れず見守り合ってきた仲です。私にとっては先輩だし兄のような存在ですが、いつも明るくて動じない彼も、卒業する間際には私と同じように不安を口にしていました。焼き鳥屋さんで「でも、なんとかなるさ」と励ましあった日のことを、ついこないだのように覚えています。そんな彼も15年たった今では、テレビで声を聞かない日はないというくらいにとても忙しい日々を送っているのですから、大変立派だと思います。その影にどれほどの努力や失敗や葛藤、いくつの決断、出会いや別れがあったのか、想像すると私自身の月日とも重なって、感慨深く思います。

このたび、浪川の新しいアルバム「Picture」の中の1曲を私が作詞させていただきました。タイトルは「L’ambition」です。再集結のイベントを実現するのは、今はみんなそれぞれの道に進んでいてなかなか簡単ではありません。それに「こまどり」という場所も今はありません。でも、いつまでも私たちのふるさとであり、お世話になった母のような恩師の先生や、元ラムビ会員の皆さんに感謝を届けたいという気持ちがありました。そしてこれまで必死で頑張ってきた浪川大輔へのねぎらいと、これからもたくさんのことを乗り越えていく未来の彼への応援歌として、書いた歌詞です。

最後に、皆様が気にかけてくださっていると思いますのでご報告しますと、恩師・西村先生は元気にしております。このたびのコラボを報告すると、感動してくれるかと思いましたが、ゲラゲラ笑っていました。相変わらずです。ちなみに「L'ambition」はフランス語で「大志」の意味で、西村先生の好きな言葉です。私たち、子役あがりは大成しないと、幼い頃から耳にタコができるくらい言われ続けてきました。でも「大成しなくたっていい。大志を抱け」と、先生に言われて育ったんです。この先もどのようなことがあっても、支えになってくれるキーワード。だから「L'ambition」ってタイトルは気に入ってます。よかったら聴いてみてくださいね。

坂本真綾

*maaya*