Q&A

山口保幸( 「蓮の花」Music Video Director ) Q&A

--「蓮の花」MVは、およそ歌詞や曲調からは想像もできないような意外な展開で驚きました。今回のMVの発想は、どんなところから湧いてきたんでしょうか?

アイデアの初期に「怪物」というイメージが浮かびました。社会から虐げられている怪物が辛い生き方ゆえに最期に大きな蓮の花を咲かせるという物語形式のMVを提案しました。そこから怪物は蜘蛛男に形を変え、ダンスの要素を入れた今の形に変化してゆきました。

--過去にサカナクション作品としては、「ドキュメント」「僕と花」「ユリイカ」と手がけておられますが、これまでのサカナクション作品との違い、もしくは連続性などは意識されましたか。

今までの作品の流れがあるので、良い意味での裏切りは意識しました。今までの3作が物語、演劇、アートと来たので次は何かな?とは考えました。「蓮の花」は何的と言えば良いのかはまだわかりませんが...

--「ユリイカ」に於ける人体のオブジェ、今回の山口君と遊ぶ蜘蛛男、あるいは「僕と花」の舞台劇的な展開と、日常と非日常の接点、断絶あるいは接続といったところがテーマのようにも感じました。監督としてはどのような意図があったのでしょうか。

心の中の世界を描いているつもりなので、非日常というよりは日常を描いているつもりです。(心の中は日常だと思うので)心で考えている事が見える形で現実に現れたらこういう事なんじゃないかなと言う感じです。

--いつもメンバーとは綿密な打ち合わせの上、撮影に臨まれるという話ですが、今回はどういうプロセスを辿って完成に至ったのでしょうか。

綿密かどうかは分かりませんが、かなり話しはしています。今回も一郎君といくつもアイデアを出し合って、徐々に企画を絞り出しています。撮影現場でも色々変更したり、編集にいたっては当初の狙いから大きく方向を変え、撮影した素材の3分の1は使わなかったり、アウトテイクを使ったり、ぎりぎりまで話しながら作っています。

--メンバーからは作業にあたって、なにかリクエストなどはありましたか。

今回は一郎君とのやり取りだけで作業しています。彼からはどこから見ても嵌まれる何かグルーヴ感、何回も見る事が出来る反復性みたいな話は出ていました。

--「蓮の花」は山口さんにとってどういう位置づけ楽曲でしょうか?

初めて聴いた時、イントロのシンセでもうヤラれました。曲を通して考えさせられ、感情や感覚を揺さぶってくれる楽曲です。

--過去に、本当に多くのアーティストの作品を手がけておられますが、サカナクションは山口さんにとってどういう存在でしょうか。

今、いちばん自由な発想が許されるアーティストです。音楽から多くのインスピレーションを貰えるので毎回どんな事が頭に浮かぶのか楽しみです。

--サカナクションの中で、お好きな曲と、その理由も挙げてください

色々と好きですが、「エンドレス」「ネイティブダンサー」「ドキュメント」...理由として、楽曲の空気感、郷愁感みたいなものが好きなのだと思います。

質問作成:小野島大