2011年のSPECIAL OTHERS。この1年を「コラボイヤー」と位置づけ、コラボレーションによる作品を作り続けてきた。
6月にはMONGOL800のキヨサクとシングル「空っぽ」、8月にはDragon Ash のKjと「Sailin’」を相次いでリリース。
そして「コラボイヤー」の集大成とも言える作品集『SPECIAL OTHERS』。1995年に横浜の高校に通う仲間たちにより結成。
今まで、ほとんど他のミュージシャンとのコラボレーションをしてこなかった彼らが、なぜ今年、コラボをしようと思ったのだろうか。
- 芹澤優真
- 「なんか『今』だと感じたんですよね。少し前までは『SPECIAL OTHERSって何者なの?』って思っている人が多かった。そんな状態でコラボを出したとしても、僕らのことをバックバンドとしてしか受け取ってもらえない。あくまでもSPECIAL OTHERSがコラボをしたんだと思ってもらえるっていうのかな。シンガーの名前に頼るのではなく、真のコラボを作りたい。それがやっと実現できたのではと思います」
- 又吉優也
- 「それぞれのボーカリストのファンからも『SEPCIAL OTHERSとやるのなら面白いかも』と感じてもらえないとね」
- 宮原良太
- 「勘、ですね。インディーでは2004年、メジャーでは2006年にデビューしてから、多くのタイトルをSPECIAL OTHERSとしてリリースしてきているじゃないですか。違う動きをしてみたいって思ったんです。違うスパイスを自分たちに取り入れたい。そして自分たちの音楽をさらに楽しみたい」
- 柳下武史
- 「あくまでも共作。曲を提供することとはまったく違う。ある部分、相手に委ねている部分も多いんです。メロディだったり、歌詞だったり、声だったり。相手が僕らの音楽にどう返してくれるのか。そしてそれを僕らがどう受け取り、楽曲を完成させていくのか。自分たちにとっても、本当にいい勉強になりました」
コラボの候補として、アイデアとして様々な名前が上がったのに違いない。
数多くの候補の中から、4人が判断したのは、相手も自分たちの音楽に好感を持ち、自分たちも相手をリスペクトしているという点だった。
- 柳下
- 「キヨサクくんが最初に決まって、そこから組み立てていきました。共通しているのは、SEPCIAL OTHERSを好きと言ってくれている人たち。そして僕らもリスペクトしている。つまり、相思相愛の人たち」
キヨサク、Kjの他、オオキノブオ (ACIDMAN)、ホリエアツシ( STRAIGHTENER)、マレウレウ、サイプレス上野とロベルト吉野、
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)と決まっていった。制作の過程は、6曲すべてがまったく違うという。
最初に制作が進められたのは「空っぽ」。レコーディングが行われたのは3月頃から。
そして最後の作業が終わったのは半年以上過ぎた秋。「空っぽ」は、かつて「ネルシャル」というタイトルでデビュー以前にライブでも披露されていた曲だ。
その曲にキヨサクが歌詞を付けた。
マレウレウとの「イヨマンテ ウポポ」はアイヌ民謡。
それ以外は、トラックを4人が作り歌メロと歌詞をそれぞれのシンガーに依頼した。
4人は、一曲一曲にまつわるエピソードを明かしてくれた。
- 柳下
- 「メロディを付けてもらったのはKjが最初。その時は、僕らもコラボのやり方を模索していたんですよね。普通なら歌の隙間にギターのリフを入れるんですけど、それがどこに入るかわからない。わからないけど、リフを入れたままのトラックを投げたら、ほぼ完成されたものが返ってきた。それがカッコ良くて」
- 宮原
- 「閃いちゃったんですよ、コラボってひとりじゃなくてもいいんじゃないかって。好きなシンガーにデュエットしてもらってもいいんじゃないかって。オオキくんとホリエくんに一緒に歌ってもらえたら、みんなビックリするじゃないですか。こんな遊び心も、コラボ作品集ならではの魅力だと思います」
- 芹澤
- 「『空っぽ』は日本語になって、だいぶイメージが変わったかも。詞が出てきたときには本当に感動して」
- 柳下
- 北海道の『RISING SUN ROCK FESTIVAL』で彼女たち(マレウレウ)のライブをはじめて見て。こんなカッコいいことをやっている人たちもいるんだって感じたんです。そして彼女たちとコラボするのなら、僕らのトラックを歌ってもらうのではなく、彼女たちが普段アカペラで歌っているアイヌ民謡を僕らなりに解釈したいと思ったんです。この曲だけ、アナログテープで録音したんですよね」
- 宮原
- 「横浜のダウンタウンである鶴見。そんなところで、僕とヤギ(柳下)は育った。そんな町のことを題材にして、後藤くんが歌詞にしてくれて。それだけでも、僕らはテンションが上がっちゃって(笑)。後藤くんは横浜生まれじゃないんだけど、横浜の人の感覚を持っているんですよね」
- 又吉
- 「サイプレス上野とロベルト吉野は、10年以上も昔から知っている横浜の後輩みたいな存在なんです。彼らとやるのは、最初から暗黙の了解のように存在していた。作品集の要素のひとつとしてヒップホップも入れたかったし」
- 宮原
- 様々なシンガーたちと、いろんな手段を模索しながら制作していったコラボ作品集。それは、SEPCIAL OTHERSの4人にとって、自分たちの音楽を再確認し、自分たちの音楽を深く知っていく時間だったに違いない。共作することによって、自分たちの音楽がどう伝わっているのかも感じられたのだろう。「6曲を並べてみると…。キヨサクくんは沖縄で、マレウレウは北海道。『あの国まで』という壮大なテーマもあり、『Sailin’』はどこかを目指して旅立っていくイメージ。そして自分たちのホームタウンの鶴見に帰ってくる。全国を旅しているような作品集になりましたね」
- 又吉
- 「よく出来たなっていうのが本当の感想。すごいメンバーが並んでいますから」
- 芹澤
- 「本能的に、僕らが望む以上の結果に導いてくれるメンバーを選んでいるんですよ。それは音楽を通して魅かれ合っている仲間たちだからこそ実現するのだと思う。その意味では、フェスの存在も大きいですよね。自分の知らない音楽も集まるフェスという空間。そこでは自分の知らない音楽を体感することができる。音楽だけではなく、ミュージシャンをはじめ、いろんな人間とも出逢うことが可能な場所。横浜の後輩とも言えるサイプレス上野とロベルト吉野以外は、フェスでの出逢いがきっかけですから」
メンバーそれぞれの、この作品集についてのコメントを聞いていた柳下がこう言った。
「フェスが浸透してきた今の時代だからこそ生まれたコラボアルバムだと思います」。
人と人、人や自然、人と音楽。フェスという空間や時間はそれらを結びつけてくれる。
人と人が結びつきによって生まれるコラボレーション。コラボ作品集のタイトルは<『SPECIAL OTHERS』=「特別な他人たち」>。
シンガーたちへのリスペクトの想いから、このタイトルが導き出された。
文:菊地 崇(Lj)


