■遠野物語
VIDL-30524 / VISL-30524(カセット) / \1,048(税抜) / 2001.5.17
01.遠野物語
02.幾春別川
03.遠野物語
(オリジナル・カラオケ)
04.幾春別川
(オリジナル・カラオケ)
 久しぶりに訪ねた遠野は、荒れ狂う吹雪だった。突き刺すような冷たさに身をゆだねながら、私はそこに生きる人々を想った。

 長山洋子さんの作品を依頼された時、彼女がどのような声で、どのような歌を歌ってきたのか、私には全く知識がなかった。ただ、少女の面影を残した華奢なその姿が浮かんだ。

 長山洋子を遠野に立たせてみたい。

 何度訪れても一人の旅人でしかない、私のセンチメンタリズムかもしれない。
 しかし、訪れる度に、遠野のどこかにいるであろう、熱く強い情念を抱きながらひっそりと生きる女性が、いつの間にか私の中に生まれ、いつの日かその女(ひと)と巡り逢うことを想い描かずにはいられなくなっていた。

 この作品で、長山洋子さんは少女の面影を捨て、見事に私の中の「遠野の女」を具現化してくれた。
 今も目を閉じれば、吹雪く遠野の山裾で、微笑みながら私を迎えてくれる彼女がいる。

船村 徹




 「遠野の近くに居るんだが 長山君の歌の舞台は遠野にしないか」 或る日 船村先生からお電話を頂いた。「遠野」・・・都から遠い野と言う意味なのだろうか。カッパ、ザシキワラシ、オシラサマ等々・・・民俗学者、柳田国男先生によって広く知られるようなった「遠野」。今回の歌は民話の里「遠野」を舞台とした。名所、旧跡は数多い地だが、敢えて排して取り上げたのは遠野三山の一つである早池峰山。そして 雪と旧家。レコーディング当日。清純で、響きのある洋子ちゃんの歌声は、他国に行った夫を姑に仕えながら待ちわびる若妻の心境を見事に歌い上げて呉れた。目を閉じて聴いていると矢絣の似合う大正ロマンの香りがする、洋子ちゃんの若妻の姿が浮かび上がった。また多くのファンの琴線をかき鳴らすことだろう。今年の遠野は更に賑わうだろう。

木下龍太郎

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