岩崎 宏美
GOLDEN☆BEST II

この『GOLDEN☆BEST II』は、2007年3月21日に発売された『GOLDEN☆BEST』の続編CDとなっている。1975年4月25日のデビュー以来、岩崎宏美には数多くのシングル・ヒットがあり、そしてそれらを中心に集めたベスト盤も数多く発売されていたが、意外にもヒット・シングルを1枚で網羅した手軽なCDがなかった。そこで、2007年2月から始まった“オリジナル・アルバム紙ジャケ・コレクション”に合わせて、店頭を再活性化する意味でも、シンプルにシングル・セールスの上位20枚を並べた1枚組ベスト『GOLDEN☆BEST』が発売された。
その結果、この第1弾ベストは、特に大掛かりなPRもない中で長く売れ続け、紙ジャケ・コレクションもヒット。各社女性シンガーの旧譜復刻に拍車をかけた。これは、昨今の“大人買いブーム”に乗った影響もあろうが、それ以上に岩崎宏美が今なお現役の実力派シンガーとして活躍していることが大きいだろう。
そして、2010年3月、当時は企画色が強いことや、発売中の既存CD(『ゆりかごの唄』)と収録曲がダブることから見送られていた2枚の童謡・唱歌カバーLP『ALBUM』『albumII』も紙ジャケットCDとして復刻されることとなり、これに合わせて第1弾の続編となる本ベストが企画される運びとなった。
第2弾ベストでは、前半に第1弾の流れを汲むヒット曲が、そして後半に彼女のLIVEやファンの間で今でも語り継がれている人気曲が収録されている。第1弾が、“記録のヒット曲集”とするならば、こちらは、いわば“記憶のヒット曲集”というところか。岩崎宏美には、シングルのB面やアルバム曲に驚くほど多くの名曲があるので、これを機に復刻されたCDアルバムを買ったり、LIVEに足を運んだりしてもいいだろう。
最初の2曲は、彼女の不朽の名曲のオーケストラ・バージョン。
3~7曲目の5曲は、第1弾『GOLDEN☆BEST』の選曲基準“セールス上位TOP20”で惜しくも選外となった次点作が収録されている。但し、当時の岩崎宏美は3ヵ月ごとのシングルの他に、それらを収録したオリジナル・アルバムやベスト・アルバムも多数発売しており、そのタイミングや収録内容次第で、直前のシングルが買い控えられることもあった。つまり、ここに並んだ5枚のシングルも、第1弾に収録されてもおかしくないような名曲がズラリと並んでいる。
8曲目からラストまでの11曲は、セールスや収録元に関係なく人気の高い珠玉のナンバーが時を遡るように続く。岩崎宏美30周年記念BOXの作成時に行われたファン投票や近年のLIVEでの反響をもとにセレクトされているので、きっと初めて聞かれる方でも、その名曲感に納得いただけることだろう。
本作は、ビクター時代の約25年間の中からのセレクションだが、更に大人の味わいが増した近年の作品も楽しんでいただければ、いっそう大きな感銘を受けることだろう。本作が、その感動の橋渡しとなれば、幸いである。
解説:つのはず誠(T2U音楽研究所)