LOVE PSYCHEDELICO
LOVE PSYCHEDELICO III
デビュ-・シングル『LADY MADONNA~憂鬱なスパイダ-~』のヒットを機に、LOVE PSYCHEDELICOもまた右も左もわからない無防備状態のまま、もの凄い速度で走り始めた列車に乗り込み、先へ用意された幾つもの駅(結果)を目指し、敷かれたレ-ルの上を走り始めたのは、みなさんもご存じのことだろう。
1stアルバム『THE GREATEST HITS』。そして2ndアルバム『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』を発売するまでの2年強という時間の中、2人は目まぐるしく映り過ぎてゆく風景を眺めながらも、なんとか消費されることなく"掻き立てられる想像意欲と経験という蓄積"に支えられながら、ヒット街道を躍進し続けてきた。
・・・・・・だが2人は、そこで牽引してきた鎖を、みずからの意思のもと断ち切った・・・・・・
2月25日にLOVE PSYCHEDELICOは、約2年2ヵ月ぶりとなる3rdアルバム『LOVE PSYCHEDELICO III』をリリ-スする。この間『裸の王様』『I am waiting for you』『My last fight』と3枚のシングル盤を届けてきたとはいえ、ライブ活動時以外は2人とも表舞台からは姿を消し去っていた・・・。そう、磨耗し使い捨てられる線路から逸脱し、自分たち主導による新しいレ-ルを敷きつめるためにも、それくらいの(精神的な)準備時間が2人には必要だった。そして今、新たな滑車を廻し始めたLOVE PSYCHEDELICO。そんな2人の最初に辿り着いた駅(アルバム)が、「フェイクなロック感を脱ぎ去り、ファンタジ-な世界を導き出すこと」だった。
出来上がったばかりの新曲を聞いただけでも、ゾクゾクッとした武者震い覚える嬉しい興奮を僕は覚えていた。その曲に描かれていたのは、既発シングル表題歌を通し描かれたアコ-スティックな色合い(フォ-キ-な世界)とは異なる、60~70年代英国(エレキテルな)ロックの息吹を抱かせる世界だった。
収録したすべての楽曲とも、メロディックな歌や演奏がス-ッと心へ溶け込む・・・じつはシンプルそうに聞こえながらも、次々表情を変えゆく構成を成したプログレッシブな世界観を、もの凄い数の音像達を駆使しナチュラル・ヴァイブな流れへと導いていった作品たちばかりであるのは、紛れもない事実。最初は"小さな川の流れ"と思い夢中になって遊んでたのに、気がついたら何時しか流れは"雄大な大河"となり、その優しい流れへ心地よく包まれていたような・・・。
そんなスケ-ル感の大きな歌たちに包まれながら、新しいLOVE PSYCHEDELICOの幕開けへ胸膨らませて頂きたい。
長澤智典