Dragon Ash
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2022.02.23

DRAGONASH 25th Anniv. LIVE “THE SILVER LILIES”ライブレポート

「25年間、俺らの青春に付き合ってくれてありがとう」
盟友と共に歌い奏でた、名曲揃いのスペシャルな25周年ライブ
DRAGONASH 25th Anniv. LIVE “THE SILVER LILIES”


この日の会場となった豊洲PITは、足を踏み入れた瞬間から、25年分の思いが一気に押し寄せる特別な空間だった。ロビーやフロアのモニターにはこれまでのDragon AshのMVが次々と映し出され、ビースティボーイズやスマッシング・パンプキンズなど、Dragon Ashがデビューした1997年頃の空気が蘇る洋楽ナンバーがフロアに鳴り響く。

今回のライブは、Dragon Ashの25年分の軌跡をファンと共に祝う、1日限定のスペシャルな宴だ。会場に来られない全国のファンに向け、有料生配信も実施。さらにファンに向けて当日聞きたい曲が事前に募集され、それを受け、ドラムの櫻井誠が、「ギターのHIROKIくんが加入してから一度もやってない曲もやる」と予告。これは……一体どんなライブになるのか?!

両手を高く挙げたオーディエンスの盛大な拍手の中、最初に鳴り響いたのはなんと、hirokiのギターソロだった。これまでDragon Ashのライブで見たことのない始まりに度肝を抜かれていると、櫻井のドラム、BOTSのスクラッチ、サポートベースのT$UYO$HIの奏でる音が次々と重なり……そしてギターを抱えたKjが歌い出したのは、デビューミニアルバムのタイトル曲「The Day dragged on」だ。歓声替わりにジャンプや手拍子で応えるオーディエンスの興奮をさらに煽るように、「天使のロック」、そして当時のアレンジのまま、しかしぐっと洗練された演奏で生まれ変わった「Public Garden」が鳴り響く。もはやフロアにいるオーディエンスたちの心は……いや、画面の向こうにいる人たちの心もきっと、ティーンだった頃にフラッシュバックしていたに違いない。

25年前の2月21日、Dragon AshはKj、櫻井誠、馬場育三による3ピースバンドとしてデビューした。当時のKjはなかなか結果が出ないことに苛立ちを覚えていたが、その音楽は着実に同世代の心を射抜いていたと思う。続けて披露された「Fever」→「Under Age's song」→「Just I'll say」という流れに、全身を使って熱狂していたオーディエンスの姿がその紛れもない証拠だろう。

初期曲を立て続けに披露した後は、仲間を歌った「運命共同体」を皮切りにラテンロック期ゾーンへ突入。冒頭のひずんだギターリフだけで「Los Lobos」と気づいた観客の盛り上がり具合に、作品毎にサウンドを劇的に進化させてきたDragon Ashが、どの時代も彼らのヒーローだったことを実感する。BOTSのスクラッチで一気に観客の心が10代へと引き戻された「Let yourself go, let myself go」に続いて披露されたのは、「Beautiful」だ。

さまざまな音楽を貪欲に飲み込み進化してきたDragon Ashにとって、25年の歩みは決して平坦なものではなかった。次々と立ちはだかる多くの壁、先の見えない絶望、耐え難い悲しみ。熱狂を信条とする彼らにとっては、現在のライブシーンの状況もそのひとつだろう。それでも彼らは立ち止まることなく前に進む道を選び続けてきた。<一つとして無駄な痛みなどないさ>。歌詞に応えるようにフロアのあちこちから観客の人差し指が突き上げられる。どんな時もバンドが前に進む道を選んだ理由。それは言うまでもなく、目の前で音と言葉に熱狂してくれるオーディエンスの存在があったからだと思う。

「25年、全部で300~400曲を建志(Kj)が一生懸命作ってくれて。(一晩で)全部はやれないですが、せめて感謝の気持ちを伝えるにはこういう、レアケースな曲をたっぷりやる特別な日を作ることしか出来なかった。今日はそういう曲順と構成になってると思います。常に進化しながら(ライブでも)いちばん新しいことをやってきたけど……でもすげー楽しいです」

観客と共に過去曲を分かち合う楽しさを語ったドラムの櫻井の言葉に続けて披露されたのは、「花言葉」→「Hot Cake」→「Iceman」と、コアファン垂涎の人気ナンバーの連発!バンドからの嬉しいプレゼントに、両手を挙げてハンドクラップで力強く応える観客たち。さらに「Life goes on」→「Snowscape」→「Revolater」と畳み掛けるように続けた後に披露されたのはなんと、スケボーキングの2MCをフィーチャーした「Episode 4」。「戻ってきたよ、ShunくんとShigeoくん」と嬉しそうに宣言するKjと共に、13年ぶりに活動を再開したスケボーの2人が、あの頃以上に鮮やかなハイトーン&ローボイスのMCを繰り出す。ステージを去るShunとShigeoの後ろ姿に向かってKjが言う。「必要以上に楽しそうだったわ」

常に現在進行形の言葉と音を表現し続けてきたDragon Ashを象徴する「ダイアログ」→「Jump」と、Kjがマイクだけで歌うナンバーを続けた後は、久々の「Canvas」→「百合の咲く場所で」とアッパーチューンが続く。本来ならクラウドサーファー続出の最高に幸せな場面だったはずだ。それでも、「HEY!」のかけ声の替わりにジャンプとハンズアップで目一杯楽しもうとする観客に、拍手を贈った後、Kjが深く頭を下げる。

「Dragon Ash、25周年おめでとう!」

BOTSのスクラッチ音に思わず声が漏れ出た人の予想通り、ステージに現れたのはもちろん、ラッパ我リヤの2MCだ。ド派手なパフォーマンスにふさわしい、スパンコールのフーディ姿の我リヤの山田マンのラップが轟く。<いよいよ壁はなくなるぞ>。当時、不可能だと思われたさまざまな壁をぶち破ってみせた「Deep Impact」のキラーフレーズは、あの頃も今も私たちの誇りだ。

「Lily」を披露した後、目の前の…そして画面の向こうで今このステージに心を揺り動かされている人たちに向かって、Kjが言う。

「25年間、俺たちの青春に付き合ってくれてありがとう」

そんな25年を総括するように投下されたのは、山嵐のSATOHSHIとKo-Ji Zero Threeをステージに呼び込みスタートした「ROCKBAND」だった。25年の道のりで彼らがつかんだもの。そして、同じ時代を生きるバンド仲間への思い。今ここで音を鳴らし続けている理由がすべて込められたその曲は、オリジナルベーシスト、IKUZONEも大好きな曲だった。興奮冷めやらぬフロアに向かってKjが続ける。「まだやり足りないから、もうちょっと続けていくよ、俺たちは」

ああ、ここからまた「次」が始まる。ファンにとって何よりも心強い言葉の後、25曲目に披露されたのは、コロナ禍以降の苦境さえも新たな時代と宣言する「New Era」。25年の間でDragon Ashの音楽に励まされ、刺激を受け、心を支えられた人たち。それはバンドにとっても、どんな時も彼らを見守り信じてきてくれた大切な仲間だ。その存在がある限り、バンドはこれからも、ステージをまぶしく照らす白い光のような希望を見出すことが出来るのだと思う。

「25年と言わず、30年、35年、40年とやっていきたいと思います。みなさん、よろしくお願いします」

最後に観客にそう語りかけたのは、滅多にステージで話すことのないBOTSだった。デビュー当時、まだ高校生だったKjと櫻井誠。その後、BOTS、HIROKI、ATUSHI、DRI-Vが加入し、KenKen、そしてT$UYO$HIのサポートを得て、彼らは今、日本のロックシーンを牽引するモンスターライブバンドとして、ステージに立ち続けている。いつか……かつてリリースされたベストアルバム『LOUD&PEACE』の中ジャケットで、年老いた扮装をして微笑むメンバーの姿が本当に目撃出来る日まで……私たちの旅はこれからも続く。

text:早川加奈子


















Photo:TAKAHIRO TAKINAMI

<DRAGONASH 25th Anniv. LIVE “THE SILVER LILIES”>
2022/2/21 (月) 豊洲PIT
オープニング
1 The Day dragged on
2天使ノロック
3 Public Garden
4 Fever
5 Under Age's song
6 Just I'll say
7 運命共同体
8 Los Lobos
9 Let yourself go,Let myself go
10 Beautiful
11 花言葉
12 Hot cake
13 Iceman
14 Life goes on
15 Snowscape
16 Revolater
17 Episode 4
18ダイアログ
19 Jump
20 Canvas
21百合の咲く場所で
22 Deep Impact
23 Lily
24 ROCK BAND
25 New Era

セットリスト・プレイリスト公開中
https://dragonash.lnk.to/20220221

Dragon Ash 25th 25th Anniversary Site
https://www.jvcmusic.co.jp/dragonash/25th/

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