The Ravens
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2022.10.06
The Ravens『ANTHEMICS』Track By Track_7
The Ravens『ANTHEMICS』Track By Track_7
M7. メタモルフォーゼ
キラッと輝くピアノが印象的なイントロから始まり、風を切って駆けるようなバンドサウンドの爽快感と開けたメロディが孤独な心を解き放っていく、瑞々しい光に溢れたポップチューン。細かく刻みながらも歌うようなベースと8ビートを基調にしつつ自由に駆けるドラムが颯爽とした躍動感を生み、どこまでも天高く飛んでいけそうなポジティヴなエネルギーを放つ一曲に仕上がっている。<誰かの一人を見落としたまま/自分の一人をただ抱えていた>というラインから始まるリリックは崩れそうな今を塗り替えていこうとする切なる願いを映してもいるが、“Anthemic”や“白鯨”然り、何声にも重ねたコーラスが生を祝福するように響く、まさに今を生きる一人ひとりにエールを送るような楽曲だ。
Kj「これは、役者の仕事で岩手で撮影してた時にホテルの部屋で歌詞を書いた曲で。当時はまだバッチバチのコロナ禍だったから、毎朝4時に起きて移動車乗って撮影現場に行って、夕方に撮影終わってコンビニ寄って飯買ってホテルに帰るっていうのをひたすら繰り返してたんだけど、このままだとおかしくなりそうだなと思って、ある時、勇気を出してひとりで駅前の定食屋に行ってみたの。そうしたらメイクさんがひとりで食べてるのを見つけて、次に照明チームの人がひとり入ってきて、結局3人でカウンターで一緒に食べたんだけどさ、それがすげぇ嬉しかったんだよね。俺は自分が一人だっていうことばっかり考えて、こいつの一人を完全に見逃してたなと思って。その時に、寂しい自分のまま寂しい誰かの横にいればいいんじゃねえか、みたいなことを思って書いたのがこの歌詞」
■そのエピソードから<感傷が 焼けつく心が 僕らを壊し/バラバラにしたって また掻き集めて/形よ変われ 自分のままで/粉々になって 散りばめた全てで/暗闇を星空に変えて行け>というところまで昇華するのが素敵だなというか、すごいなと思います。
Kj「俺はいつもそうやって表現してるんだよね。それこそ<くだらない僕らを大袈裟に表現しよう>っていう、“Opening Ceremony”の歌詞そのままなんだけど。自分の狭い世界を大げさに曲にすることで誰かに伝わって、その人がまた自分の世界の狭いことに置き換えるっていう……それが詞のカッコいいところであり、俺にとっての音楽の在り方なんだと思う」
有泉智子(MUSICA編集長)
The Ravens『ANTHEMICS』
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