East Of Eden
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2024.03.21

“East Of Eden - World Premiere Special Showcase - [Encore]” ライブレポート

3月19日・東京・Zepp Hanedaで開催されたEast Of Eden - World Premiere Special Showcase - [Encore]。昨年10月8日の1stワンマンライブから約5ヶ月。久々のライブを心待ちにしていた観客の期待が、周囲の空気から伝わってくる。そして迎えた開演。オープニングムービーが流れた後、ステージ全体を覆っていた紗幕の表面にメンバーたちのシルエットが揺らめき、「This Moment」がスタートした。紗幕が切って落とされ、ステージ上に浮かび上がった雄姿。後方・高台上手側:MIZUKI(Drums)、後方・高台下手側:わかざえもん(Bass)、中段・上手側:Yuki(Guitar)、中段・下手側:Ayasa(Violin / Producer / Leader)、前方・中央:湊あかね(Vocal)――5人が生み出すサウンドが、早くも猛烈な熱を帯びている。アドレナリン分泌のツボを連打してくるかのようなドラム、グルーヴを的確に増幅すると同時に華があるベース、骨太と華麗を兼ね備えたギター、透明感のある旋律の狭間から情熱を滲ませるヴァイオリン、躍動するバンドサウンドを完璧に乗りこなす歌声――凄腕たちによるサウンドは、生で体感すると本当にとんでもなかった。「全員がラスボス」「5人揃うと超常現象」などと称すると、大げさに感じる人もいるだろうが、彼女たちのライブを観たら、誇張ではないとすぐにわかるはずだ。



「無重力飛行」が披露された後に迎えた最初の小休止。たくさんの人々が集まったことを喜び、1曲しか発表していないのにワンマンライブを行った前回を「アウェイだった」と称して笑い合っていたメンバーたちが、実に楽しそうだった。演奏している時は無敵感に満ち溢れているが、MCタイムでは仲良しグループのお茶会のようなムードになるのが面白い。そんな和やかなひと時を経て、「New Day」がスタート。ステージ前方・中央の台の上に立ったわかざえもんのスラップが、観客の興奮に火を点けた。歌に寄り添いながら主メロを際立たせるヴァイオリン、バトルのような掛け合いを繰り広げるヴァイオリンとギター、演奏のキメを支えながらアンサンブル全体の輝度を劇的に上げるドラムなど、East Of Edenの曲には、クライマックスの更新を促す要素が満載されている。「螺旋回廊」や「Deep Dive」も5人のコンビネーションが冴え渡っていた。

新しい衣装を観客にアピールしたり、グッズ紹介で盛り上がったりもしたMCタイムを経て、ライブは後半へ突入。今回の公演の会場限定販売CDに収録された「echo echo」は1stワンマンライブでも異彩を放っていたが、やはり特別な力を感じた。起伏に富んだ展開を遂げる哀愁のメロディと向き合いながら湧き起るのは、ドラマチックな歌劇の一幕を観ているかのような感覚。じっくりと耳を傾けていた観客の胸の内にも、様々なイメージが浮かび上がっていたのだと思う。演奏が幕切れた時、大きな拍手と歓声が起こった。

「残された果実」を歌い終えると、一旦ステージから姿を消した湊。そしてインスト曲「YELLOW CARD」がスタートした。わかざえもん、Yuki、AYASAのソロプレイが、かっこよくて仕方ない。会場内を飛び交うレーザービームの色がMIZUKIのドラムソロの間にイエロー、グリーン、ブルー、レッド……次々と切り替わるのも楽しい。演奏する姿と佇まいで観客をときめかせることができるのも、East Of Edenの強みだと再確認させられた。

前のめりに疾走するサウンドがスリリングだった「鈍色のラビリンス」。《Go ahead! Go ahead! One Way!》という歌声を観客と交わし、激しい手拍子も誘った「花美」。そして本編は、「Chasing The Moon」が締め括った。ステージの前方に躍り出たわかざえもんのベースプレイが、初っ端からまるで燃え上がるかのよう。AyasaとYukiも華麗な旋律を連続放射。ステージ上で吹き上がる演出のスモークも震わせた爆音は、エンディングに辿り着くまで絶頂の限界突破を重ねていた。



「E! O! E!」という観客のコールと手拍子に応えてステージに戻って来た5人。6月に行われる初の東名阪ツアー『East Of Eden 1st Live Tour - Forbidden Fruit -』。そして新曲がBS-TBS「火曜ドラマ9」で4月2日から放送がスタートするドラマ『御社の乱れ正します!』の主題歌に決定したことが告げられると、観客は歓喜の声を上げた。新曲のタイトルは「Judgement Syndrome」。草野華余子が作詞、作曲、サウンドプロデュースを手掛けたのだという。早速披露された「Judgement Syndrome」は、密やかさと激しさの間を行き来する過程でミステリアスなメロディを鮮烈に印象付けてくれる。湊の歌はもちろん、楽器隊メンバーの見せ場も随所に盛り込まれていた。「緊張したんだけど (笑)」――歌い終えた後に湊が浮かべた表情が明るい。この曲に彼女が感じている手応えが伝わってきた。

ラストの曲の演奏を始める前に、感想を語ったメンバーたち。「唯一のインストの「YELLOW CARD」を今日もやらせてもらいました。1stライブに来た方は知ってると思うけど、今日は全然違うアレンジ。どうでしたか? これからもドラムソロも頑張ります!」(MIZUKI)。「お客さんの一体感とか、もう100回くらいライブをやってる感じでした。ツアーをやることにもなりましたし、我々の進化を楽しんでいただきたいと思います」(Yuki)。「2回目のライブで私、思ったことがあって……。“このメンバー、すごい好きかも”って(笑)。リハとかをやっていて、“ライブっていいなあ”って思って。“みんなで良いライブをして、次の6月のライブも絶対にこの人たちを連れて行くんだ!”っていう気持ちで頑張って前に出てみたりもしました」(わかざえもん)。「楽しかったです。みんな、声が出てるよね? やっぱり知ってる曲だからかな? 最高! どうもありがとうございました!」(湊)。「数日前に映像作品が発売されて。SNSとかを見ると、“ライブに参加するために何周も映像を観ています”っていうコメントを頂いていたり、すごく良いファンのみなさんに恵まれたバンドだなと感じています。素敵なみなさんを、より良い場所を連れて行けるように頑張っていきます」(Ayasa)――各々の言葉が届けられた後、「やってない曲、あるじゃん? みんなにおなじみの、“どんだけ刷り込んだの?”というあの曲。私に負けないくらい大きな声で歌ってください!」と呼びかけた湊。あの曲が始まると思っていたのだが……Ayasaが予想外の旋律を奏でて、わかざえもんが歌い始めたのは「おたんじょうびのうた」。3月20日に誕生日を迎える湊を祝福する歌と演奏が響き渡り、スタッフがケーキをステージに運んできた。このサプライズのためのリハーサルをAyasa、Yuki、わかざえもん、MIZUKIは、密かに重ねていたらしい。「まじ?」とびっくりした湊は、「これからもEast Of Edenと共に高みに行きたいので、ついてきてください!」と抱負を語り、ケーキの上に立てられた数本のローソクの火を一気に吹き消した。



記念撮影を経て、ラストの曲「Evolve [Extended Version]」がスタート。イントロの先陣をAyasaが切り、他の4人も合流して本編に雪崩れ込むと、観客の熱い声と手拍子も加わった。East Of Edenの始まりを告げたこの曲は、ファンにとっても特別なものになっているのだと思う。演奏が幕切れた時、会場全体に漂っていた余韻が爽やかだった。「またお会いできるのを楽しみにしてます。ツアーとフェスにも来てください!」――メンバーを代表して湊が挨拶。そして5人が一列となって深々とお辞儀をすると、大きな拍手と歓声がステージを包んだ。

鳴り響いていたサウンドがパワフルだっただけでなく、終始とても美しかったのが思い出される。音を交わすのを喜び合う様子も真っ直ぐに伝わってきた。他の現場でも大活躍しているメンバー各々だが、このバンドを心から楽しめているのだと思う。本気で取り組まないと表現できないEast Of Edenについて、「片手間じゃないもんがモットーです」と彼女たちは度々言っている。5人で重ねる全力投球は、どんな未来に辿り着くのか? 今後の活動への期待を大いに高めてくれた2ndワンマンライブだった。

TEXT:田中 大
PHOTO:ほりた よしか

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