1978年にリリースされた記念すべきファーストアルバム。あれよあれよとチャートを急上昇した、疾走感あふれるラテン調のディスコソング"勝手にシンドバッド"で颯爽(さっそう)とスタートする本作だが、ヴォーカリスト、桑田佳祐のトレードマークとなる巻き舌の歌い口や、男女の下心を巧妙にしのばせた言語感覚などと相まって、このデビュー曲がリスナーにどれだけ鮮烈な印象を残したかは今でも想像に難くない。さらにはしっとりとしたブラジリアンポップス "別れ話は最後に"やモータウン調の"当って砕けろ"、そして"レゲエに首ったけ"ときて、桑田が愛するリトル・フィートへのオマージュをタイトルに込めた"いとしのフィート"へと繋がっていく。それにしても恐ろしいのはイントロダクションで異国情緒感を匂わせておいて、いつの間にか彼らの持ち味である同時代の洋楽文化と歌謡曲のハイブリッドへとシームレスに変化させていく、その天性の才だろう。コミカルに見えて、実は真面目な音楽的素養に裏打ちされた彼らが後に国民的バンドとなる、その一歩を刻んだいつまでも色あせない一作。
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