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村上“ポンタ”秀一音楽活動30周年記念アルバム
マイ・プレジャー / 村上“ポンタ”秀一
MY PREASURE / SHUICHI "PONTA" MURAKAMI
CD : VICL-61240 / ¥3,000(税抜) / 2003.12.3 Release
アナログ : VIJL-60106〜7 / ¥3,500(税抜) / 2003.12.20 Release
日本のトップ・ドラマー、村上“ポンタ”秀一が満を持して放つ前代未聞のソロ・プロジェクト。赤い鳥のデビューから音楽活動30周年を記念してのポンタにしか成し得ないモンスター・アルバムが完成。フォーク〜ニュー・ミュージック〜J-POPとビートを叩き続け、日本のポップスの黎明期を築いてきた村上“ポンタ”秀一。その彼が30年間育ててきた音楽のDNAと言うべきパッションやグルーヴを受け継ぐ、ポンタとレコーディング、ライヴ等でセッションを重ねてきたアーティストたち。今回、彼らとポンタがプレイしてきた記憶に残るメロディ、時代を作ってきた楽曲をセッションする。また、デビューのきっかけとなった赤い鳥のオーディション時にプレイした、思い出深いビートルズ・ナンバー『LET IT BE』を複数のアーティストの歌唱で収録。さらにN.Y.にて旧知のミュージシャンHORN: MICHAEL BRECKER, RANDY BRECKER、DRUMS: STEVE JORDAN, OMAR HAKIM、BASS: EDDIE GOMEZ, ANTHONY JACKSON, WILL LEE、等とセッション。敬愛するマイルス・デイビスのナンバー<ピノキオ〜ソウ・ホワット〜ウォーキン〜マイルストーン>をインスト・メドレーで収録。これ以上ない充実した内容はまさに30周年にふさわしい、今年のベスト・アルバム間違いなしの最高傑作。
ついにアルバムの全容が明らかに...
参加全アーティスト発表!!
MY PLEASURE 〜FEATURING GREATEST MUSICIANS〜
SHUICHI "PONTA" MURAKAMI
RealAudio01. 翼をください / 村上"ポンタ"秀一 feat.ゆず
北川悠仁(vo., g.)、岩沢厚治(vo., g., harmonica)、増崎孝司(g.)、 高水健司(b.)、中西康晴(p.)
RealAudio02. 帰れない二人 / 村上"ポンタ"秀一 feat.福山雅治
福山雅治(vo.,g.)、 坂井紅介(b.)、塩谷哲(p.)
RealAudio03. LOVE SPACE / 村上"ポンタ"秀一 feat.槇原敬之
槇原敬之(vo.)、小倉博和(g.,b.)
RealAudio04. ソバカスのある少女 / 村上"ポンタ"秀一 feat.角松敏生 & 南佳孝
角松敏生(vo.,g.)、南佳孝(vo.,g.)、鈴木茂(g.)、後藤次利(b.)、佐藤博(kbds.)
RealAudio05. 飾りじゃないのよ涙は / 村上"ポンタ"秀一 feat.吉川晃司
吉川晃司(vo.,g.)、武田真治(sax)、佐藤研二(b)
06. NOTHING FROM NOTHING / 村上"ポンタ"秀一 feat.ゴスペラーズ
村上てつや(vo.)、黒沢薫(vo)、酒井雄二(vo.)、北山陽一(vo.)、
安岡 優(vo.)、佐山雅弘(p.,kbds.)
07. YOU'VE GOT A FRIEND / 村上"ポンタ"秀一 feat.Kiroro
玉城千春(vo.)、金城綾乃(p.)
08. DOWN TOWN / 村上"ポンタ"秀一 feat.Tina
Tina(vo.)、金子隆博(BIG HORNS BEE) (sax)、伊丹雅博(g.)
09. EVERYTHING MUST CHANGE / 村上"ポンタ"秀一 feat.Keiko Lee
Keiko Lee(vo.)、西脇辰弥(kbds., chromatic harmonica)
10. MILES DAVIS MEDLEY
/ PINOCCHIO〜SO WHAT〜WALKIN'〜MILESTONES
/ 村上"ポンタ"秀一 feat.N.Y.FRIENDS
ランディ・ブレッカー(tp.)、マイケル・ブレッカー(sax)、ジョン・スコフィールド(g.)、
坂本龍一(kbds.)、アンソニー・ジャクソン(b.)、エディ・ゴメス(b.)、ウィル・リー(b.,scat)、
オマー・ハキム(ds.)、スティーヴ・ジョーダン(ds.)
11. LET IT BE
/ 村上"ポンタ"秀一 feat.30 YEARS ANNIVERSARY SINGERS
石橋凌(vo.)、大橋純子(vo.)、ムッシュかまやつ(vo.)、坂崎幸之助(THE ALFEE) (vo.)、
SHIHO(Fried Pride) (vo.)、タケカワユキヒデ(vo.)、松崎しげる(vo.) 、
徳武"Dr.K"弘文(g.)、岡沢章(b.)、林立夫(ds.)、清水信之(p.,kbds.)
All Tracks:
村上"ポンタ"秀一 (drums)
佐藤"フィッシャー"五魚(sampler)

PRODUCED & ARRANGED BY 村上"ポンタ"秀一
もしも神様が、1日だけ“自分でない誰か”の人生を経験させてくれると言ったら・・・・・・。わたしは、迷わずミュージシャン! と答えよう。 と、昔から決めている。

いちどでいいからレコーディング・スタジオの中の、あるいはステージ上のミュージシャンになってみたい。音楽リスナーとしての幸福だったら、もちろんたっぷりと味わってきたわけだが。その音楽を奏でているミュージシャンたちの味わう幸福というものも、この身で体験することができたらどんなに楽しいだろう。と、彼らから数え切れないほどの幸福を貰っておきながら、欲張りもいいところなんだけど・・・・・・。ミュージシャンという人種は、リスナーとはまったく違った快感や興奮や至福やスリルをたっぷり味わっているに違いない。なんてことを思うと、やっぱりちょっと羨ましかったりして。

後に伝説として語り継がれることになってゆくレコーディング作品。あるいは、いつまでも鮮烈な記憶として残るライブ・セッション。そういった音楽はなぜか、何か共通した匂いを放っている。それはジャンルや時代にはまったく関係なくて。コトバでは説明できない、ひたすらマジカルでハッピーな空気が充満しているような・・・・・・そんな感じ。

そしておそらく、そういったスペシャルな空気こそ、“名曲”とか“名演”と呼ばれる作品が成立するために必要不可欠な絶対条件なのだ。

いいメロディがあって、いい歌があって。そして、それらをとりまくミュージシャンたちの愛情や信頼があって。すべてがいい具合に絡まり合い、お互いに結びついて、今までに感じたことのない新しい空気が生まれる。

その空気を、リスナーは音盤ごしに感じとっているのだ。あるいは、客席からステージを見上げながら感じとっているのだ。たぶん、無意識のうちに。

で、思う。ああいう空気のまっただ中にいるのは、どんな気分だろう? ああいう空気に満たされた空間の中で楽器を奏でているのは、どんな気分だろう?

村上“ポンタ”秀一ならば、教えてくれるかもしれない。

歌謡曲とGSが入り乱れる混迷期を経て、現在のJ-POPへと連なるジャパニーズ・ポップ・シーンが誕生してからかれこれ30余年。その黎明期、つまり’70年代初頭から数え切れないほど多くの名曲の誕生に立ち会ってきた男。ステージ上で、数え切れないほど多くの名演を育んできた男。素晴らしい音楽が生まれる瞬間のドラマを、彼ほどたくさん見てきた男はいない。そして今なお、これほどまでに無邪気で若々しい好奇心をもって新しい音楽を求めて続けている男もいない。

彼ならばきっと、音楽がもっとも生き生きと輝く瞬間について教えてくれる。それがどんな風に生まれて、どんな風にリスナーへと届くのかを見せてくれるに違いない。

ただしコトバではなく、音楽によって。

現在、レコーディングが進められているデビュー30周年記念アルバム。これぞまさに、そんなアルバムになりそうな予感がする。

このアルバムのコンセプトは、いたってシンプル。村上がドラマーとしてレコーディング/ライブに参加している名曲や、彼のキャリアを支えるルーツ的な楽曲を、親交の深いボーカリストやミュージシャンを迎えてセッションするカバー・アルバムだ。

でも、その中身はコンセプトのシンプルさとは裏腹に濃くて深くて複雑で繊細で強靱。

たとえば、村上とは幾多の名セッションを繰り広げた盟友・山下達郎の「LOVE SPACE」を、槇原敬之が新世代ブルー・アイド・ソウルの感性で歌ったり。赤い鳥と共に“日本語ポップス”の開拓者となったティン・パン・アレイが名演を聞かせた鈴木茂の「そばかすのある少女」を、角松敏生&南佳孝のデュエットで、しかもギタリストとして鈴木も参加しての“夢の競演”を実現させてしまったり。村上の’70’sポップス体験のルーツともいえるキャロル・キングの「You’ve got a friend」を、Kiroroのふたりと共にキュート&スイートにセッションしたり・・・・・・。

そこにはほんのひとサジぶんだけ、懐かしいせつなさが香る。すり切れるほど聞きまくったアナログ盤のクレジットに、どれだけ彼の名を見つけたことか。ボーカリストの背中に鋭い視線を送りながらも、時おりニヤリと会心の笑みを浮かべる彼のステージングにどれだけワクワクさせられたことか。日本のポップ・シーンで育った者は誰もが、村上“ポンタ”秀一のドラムスを聞いて育ってきた・・・・・・その事実を、今さらながら痛感させられる。

けれど、そんな感傷はホントに、ホントに、ほんのひとサジぶんだけ。これだけ懐かしい曲が並びながらも、どうにもノスタルジアには浸れない。このアルバムの“肝っ玉”は、“過去”でなく“今”。まさに今、この瞬間に、村上と彼を慕う仲間たちがスタジオの中で紡ぎだしつつある新しいトキメキに他ならないのだ。

ヒストリーを作り上げてきた楽曲を、これからのヒストリーを作りあげてゆくであろう若々しい情熱によって奏でる。つまり、すでにスタンダード化しているオリジナル・バージョンに、新たなトキメキを注ぎ込む。実にスリリングな挑戦だ。

彼らしい“30周年”だな、としみじみ思う。

輝かしい業績を懐古趣味で讃えるのではなく、音楽に対する変わらぬ愛や敬慕をカタチにすることで自らの30年間を祝う。過去を振り返ることよりも、音楽への情熱を燃やし続けている“現在”を見せることで、30年という歳月の美しい重みを描きあげてみせる。

そんな彼の心意気は、いったいどんなカタチで完成するのか?

実は、まだまだレコーディングは進行中。素晴らしいゲスト・アーティストたちが手ぐすねひいて、彼とのセッションを待ちかまえている。

日々、とてつもなく素晴らしい顔ぶれが東京のスタジオを出入りしている今日この頃だが。来週はニューヨークでのセッションらしい。全貌はまだまだ霧の中・・・・・・。

(つづく)

2003・9・17 能地祐子
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