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Digital Single「幻想」
Official Interview
- ――新曲”幻想”のテーマは?
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実は、“幻想”のデモは“リップル”を作った頃からありました。
“リップル”と“幻想”はストーリーのベースがリンクしています。
“リップル”は「夏の不思議な体験の思い出」というイメージで、それを“幻想”という言葉に置き換えて「幻想に浸れるなら浸っていたい」「君の見せてくれる延長についていきたい」という想いを書きました。
《明日からは新しい朝になるから》って、すごくありきたりな言葉だけど、「あ、そうだよな」と思える歌になっていたら嬉しいです。

- ――“リップル”で歌った「知らない世界へ連れ出してくれた人」――それは他の誰かかもしれないし、もしかしたら自分自身なのかもしれない。その人との幻想のような時間が終わることを決して悲観的に書かなかったのは、aoさんの中にどういう想いがあるからですか?
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私は、背中を押すところまでを書きたいんだと思います。エンドまでは書きたくない。
「幻想が終わっちゃったな」というどんよりした気持ちをちょっと上に持っていくというか。そこから下がるか上がるかは聴く人次第で、私にできることは背中を押すところまで。
私もつらい時は音楽を聴いて、考え直したり切り替えたりすることで前に進んでいくことができます。自分が本当に思っていることや、なかなか言語化できないけれど確かに感じていたことをちゃんと言葉にすることで、聴いてくれた人が自分の心に気づいたり気持ちを切り替えられたりするといいなと思います。
- ――“幻想”のトラックはどのように作っていきましたか?
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最初のデモはもっとオルガンの音が鳴っていてほわほわした感じだったんですけど、オルガンよりもストリングスがほしいですと、TAARさん(トラックメイカー/“幻想”の共同作曲者)に伝えました。
曲に出てくるのは「一人」だけど、幻想の世界ではいろんな人が共鳴したり支え合ったりしているイメージがあったので、一人ではなくみんなで弾いている感じを出したいなと思ったんです。おばあちゃんがオーケストラを好きで小さい頃からよく観に行っていたので、この音のイメージが湧いてきたのだとも思います。
あとは、もともとTAARさんが入れてくれていたリズムが特徴的だったので、そこを強調してほしいという話もしました。
基本的に暗い感じのトラックのほうがメロディや歌詞を書きやすくて(笑)。「幻想」はインストで聴くとすっごく明るいんです。もっとメジャーなメロディにしようと思えばできるんですけど、そうしちゃうと「明るく前を見て歩こう!」みたいな曲になるので(笑)、こういったメロディにしてうまく収めてみました。

- ――去年1年も様々な種類の「aoなりの歌い方」を見つけてきたと思います。“幻想”の歌にはどんな手応えがありますか?
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“瞬きと精神と君の歌と音楽と”はJ-POPっぽくサビで盛り上げる感じだったんですけど、最近は“余所見”とか、音程が行ったり来たりする曲が多くて。
今回はかわいく歌えたというか(笑)。特にAメロがすごくかわいく歌えたんですよ。“リップル”もそうだったんですけど、ちょうどいい音程、音域から始まることができたのかなと思います。
最近は、あんまり気負ってなくてこなれた感のある歌い方が流行っているんだなと思って。その流行りに乗ってみるのか乗らないのか、次の曲を作る時にどうしようかなと迷っているところです。
- ――“幻想”のミュージックビデオのイメージを教えてください。
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最初のデモが届いた時から、この曲には「白」のイメージがありました。真っ白の中に、ちょっと紺と暗めの赤がある感じ。
歌詞は《気づかなくていいと思う弱さになんか》《言えないこともあるんだ強く見えても》とか内面的なことを書いたけれど、インストは派手なので、コントラストがほしいということを村上俊 (Shun Murakami)監督に伝えました。白くて広くて何もない空間でポンポンって音が響いている感じが、自分のイメージと重なってすごくよかったです。
MVもすごく開けていてきれいな作品になったので、やっぱり「明日も生きたい」と思ってもらえるような曲になっていたらいいなと思いますね。

- ――最近、学校はどうですか?
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“幻想”をリリースした2日後がちょうど最後のテストなんですよ。
単位を落とすか落とさないかの大切なテストで。一番やばい教科は情報と化学です(笑)。
昨日一人で化学室へ行って、先生に「このまま行けば大丈夫だよ」と言ってもらったのでちょっと安心しました。その先生の息子さんが、いつも“チェンジ”が流れると踊っているらしくて……かわいいですよね(笑)。応援してくれているので頑張らなきゃなと思います。
aoとしては今年が勝負の年だと思ってます。一歩一歩、というよりも、ガーッと上がっていけるように頑張りたいですね。
インタビュー・テキスト=矢島由佳子