「Prototypeが生まれるまで」


ガンダムの前シリーズの曲を歌わせて頂いたこともあって、その印象が強い私にとっては、この「00」の話、またはガンダム自体のお話はもうないものだと思い込んでいた。それくらい「ガンダム」は特別な「ブランド」作品だと思っている。
そんな中、「00」のエンディングの曲をコンペだけど作ってみないかという話を頂いて、その時はただ単純に「私だったらこんな曲を」という楽しさだけでデモを作らせてもらった。
「Prototype 1」「Prototype 2」「Prototype3 」という、デモ曲をまず3曲つくり、その内の「Prototype 2」というのが、現在の「Prototype」の原型です。

この「Prototype」というタイトル。「使い捨て」という意味である。
なぜか「00」には「Prototype」しか浮かばなかった。
私が関わるアニメーションの多くは一つの大きな流れがある。主人公達は絶えず、戦っていて逃げられない。避けられない。
そこには「使い捨て」にされる者たちの悲しみがある。今日、まだまだ表現できてない大切な何かを、置き去りにしてきた言葉たちを「00」にぶつけてみようと思いました。

エンディング曲に関しては、あまりストーリーにベタで沿うものではなく、ある程度の距離感のあるものを求められていたように思う。
この「プロトタイプ」というワードはガンダムではよく知られているものなので、当初は受け入れられていなかったようだ。
それなのに、私は何度もこの「Prototype」を歌詞中に存在させ、タイトルも頑固なまでに変えなかった。主軸を簡単に変えてしまってはコンペに出す意味がないと思っていたし、エンディングテーマに決まるという以上に、たとえご縁がなくても「石川智晶」が「00」に対して、こんな歌を作ってきたという認知のされ方のほうが大事である。自分の生き方に近い話なのかな。スタッフ泣かせだけど(笑)