「Prototypeの歌詞について」


歌詞において、デモの段階から変わらず使い続けたもの。
「純真さ」「シンプルな力」「語り継ぐような美談にもならないけど」というフレーズ。作詞ではいつも歌い出しの一行目に力を入れている。作品の「顔」となるものだと思っていて、そこがスムーズに行くと、その後の風景が鮮明に見えて来るのです。後は何ピースものパズルを合わせていく作業。

「純真さがシンプルな力に変わる時、世界に影をつくりだす」

この言葉たちが仲良く並んだ時、Prototypeが見えたというホッとした思いと、こんなリアルな事を歌ってしまうの?・・という思いになった。
いつか見たテレビでどこの国だったか。少年は黒い瞳で、自分が兵器となって飛び込んでいくことに全く迷いがないと話していた。その少年はどこかとてもキレイで、それだけに怖い絵だった。見ている世界が狭いほど、輝くほどに純真で、純真であればあるほど、より突き進んでしまう怖さ。これを言葉にできないかな?とそこから始まった最初の一行。

「語り継ぐような美談にもならないけど」

戦場の上で名を残している人は一握り。どこの誰がどうやって戦ったのか 大多数の人の生き様は見えない。聞こえてこない。
でもそこには、それぞれの人間のドラマがあったはずで、それでも何らかの意味を見いだして戦いに挑んだ人々の思い  そんなものから、この言葉が生まれてきたかなと思います。

「石川智晶の歌詞への思い」

私の歌詞は「希望」を最後まで見せないところがある。
「どうしようもなさ」や「もがいている」姿や息づかいを言葉にのせる。
それこそが「生きている」ということだから、救いのない言葉だとは思わない。時にそれは悲しくてシビアであるかもしれないけれど、 それをなるべくキレイな声で淡々と歌いたい。
聞いて下さる方がそこに「光」を感じとって下さったら嬉しいです。