MERCAN DEDEMERCAN DEDEメルジャン・デデ
デジタル・デルヴィッシュ(修道僧)ことメルジャン・デデは、現在ワールドミュージックシーンで最も人気があるアーティストの1人である。彼はクラブサウンドと伝統的なスーフィ音楽とを融和させる事に成功している。
幼少の頃、乗り合いタクシー(ドルムシュ)の中で流れていた葦笛ネイの音色を耳にし、すぐさまその虜となった。ネイはスーフィーで重要な役割を持つ楽器だ。スーフィーは宗教というより一種の哲学であると言える。それは透明度と寛容性が平等に美徳とされ、全ての疑問と答えは、それぞれの人の心の中にあると教えている。人生に対するこの姿勢はメルジャン・デデの音楽の基礎となった。彼の音楽はトルコ的なスーフィーの哲学によって影響を受け、エレクトロニックとアンダーグラウンドの音がミックスされている。
スーフィーのもう一つの要素は、デルヴィッシュのダンスである。ダンサー達は自身の心の核に導かれる空の状態、一種のトランス状態になるまで腕を高く上げて旋回する。現在のトルコではこの儀式は観光用としても有名で、数あるスーフィー修道院のほとんどは現在使われていない。
メルジャン・デデのステージではスーフィーの女性旋回舞踊僧がステージを舞うパフォーマンスが行われるが、これはただのエキゾチックなショーの演出のためではなく、価値ある文化慣習を文化が不確定なこの時代にも守り続けたいという彼の表現なのである。