SELIM SESLERSELIM SESLERセリム・セスレル
音楽家になるべくして生まれる人達がいる。彼らは幼児期に楽器を手にし、そして巨匠となる。セリム・セスレルもそんな音楽家の一人である。彼の楽器はクラリネット。セリムはイスタンブールからおよそ250キロ西、トルコのヨーロッパ側にあるトラキアにある小さな不毛の町ケシャン出身のジプシーである。自らの民族の音楽を世界へと伝える為、多くのレコーディングをし、彼は世界から慕われる巨匠となった。彼が帰省するときはいつも英雄のように迎えられる。
彼はケシャンに暮らし、ファスルと呼ばれる、バーで飲んで演奏する男性の伝統的な集まりに加わっていた。彼らがそこで演奏する音楽はジャズ・ファンをも虜にした。セリムは多くのジプシーとともにタルラバシュという町に住んでいたが、18年前中心街に移住し、生活のためレストランやカフェで演奏を始めた。時と共にトルコ人は伝統音楽への情熱に目覚めていき、ジプシーに対する軽蔑も減っていった。そして、セリム・セスレルがイスタンブールの上流階級ボヘミアンよって見出され、彼の音楽はトルコ中の人を魅了することになったのだ。