SIYASIYABENDSIYASIYABENDシヤシヤベンド
シヤシヤベンドとはメソポタミアの国民的英雄の名前。彼らはバンドではない。むしろストリート音楽に情熱を注ぐ負け犬のギャングと言って良いだろう。彼らのステージはベイオールの路地、歩行者地帯と広場にある。そして通行人のほとんどが彼らの観衆となる。
彼らにとって音楽は生計を立てる為のものではなく、開いたギターケースにどれだけ小銭が溜まるかは重要ではない。彼らがストリートで音楽を演奏するのは、人々の無気力感を癒す為、そして、より良くより正当な世界のビジョンを広める為である。通りで演奏することによって、シンナーを吸っている子供から地位の高い人にまでストリート・ミュージックを届けることが出来る。
彼らは争いの耐えない社会を打ち壊したがっている。路上で人は目と目を見合うことが出来、様々な人と出会うことが出来る。彼らは埃にまみれようとも、消費社会のメカニズムを拒否する。彼らの音楽は彼らの気分によって変化する。ある種のロックやジャズのようだったり、オリエントの民謡だったり、またシンガーであるビソンがトルコのボブ・ディランのように聞こえるプロテスト・ソングを歌ったりもする。音楽が世界を変えることができるという確信が、日々の葛藤を乗り越えさせ彼らを生かしている。社会は彼らを寄生虫として軽蔑し、その才能を認めることを拒否する。彼らは困難にも関わらず自分達の音楽を演奏し続けることしか出来ないのである。