Edu-Navi TOPへ
NEWS 新譜情報 インフォメーション 商品カタログ メールマガジン登録 トップページへ
コラム
「人生最高のラブレター1」
「人生最高のラブレター2」

太田空真
(プロデューサー)

≪プロフィール≫
1949年生まれ。生活デザイン研究所所長。「ねんりんCD選書」編集長。著書に「ご隠居という生き方」「由緒正しい、好い加減な食卓」「好い加減な人生入門」「人生最高のラブレター」などがある。

≪メッセージ≫
人生には三つの大きな節目があります。一つは誕生のとき、二つ目は結婚をして家庭をもつとき、三つ目は人生の終焉を迎えるときです。多くの人がその時々に、感謝の言葉を残したいと思っています。しかし、日本人は照れもあってか素直に「ありがとう」の言葉をいえません。そんな気持ちを持ったまま最後の節目を迎えてしまうほうが多いようです。
日本中から集まった「ラブレター」を編集したのが、『人生最高のラブレター』(清流出版)です。この本は、多くの方の善意で作られています。その後、ラブレターをお書きになった方々の肉声で「人生最高のラブレター」を収録する作業を続けてきました。
今回発売される『人生最高のラブレター』は、愛する人への感謝の肉声が集まったCDといえます。ラブレターを書かれた方が直接朗読する本CDには、多くの愛が満ちあふれています。


プロデューサー太田空真氏が所長をつとめる生活デザイン研究所のサイトはこちら

書籍『人生最高のラブレター』の詳細はこちら

文庫版『人生最高のラブレター』の詳細はこちら


人生最高のラブレター
今週のラブレター
お父さん、お母さんへ
森田 淳(23歳)学生/カナダ
元気ですか。淳は元気だよ。毎日少しずつ寒くなっています。最近思うんだけど、空気ってにおいがあるよね。外でおもいきり深呼吸してみると、5年前に一人で公園をぶらぶらしてたことや、来るはずのないバスをボーッと待っていたことや、カゼひいて「お母さん助けてー」と泣きそうになりながら飲んだカモミール茶の味が超まずかったことを思い出します。

五年前淳が日本を発つ時、二人はこれからどうなるって思ってた? 正直いって淳は一年後、いや一週間後に自分がちゃんと生きているんだろうかって不安だったよ。

海外旅行もめずらしい北海道の田舎町から「いつ帰るかわからないけどとりあえず勉強しにカナダ行く」と、十八歳になったばかりの娘に宣言された時、二人はどんなことを考えていたのかな。

淳が高校生の頃は毎日バイトと遊びに忙しくて、ろくに顔をあわせることもなかった。カナダへ長い期間いくきっかけとなった、短期カナダ留学の出発の前日、お母さんはこれもあれも持ってけといろいろだしてくれたね。でも心の中じゃ「うるさいな 」って思っていたし、態度にも出してた。それでも淳のナマイキさに辛抱強く折りたたみカサ持ったら」って言ってくれた瞬間、淳は「うるさい!」って叫んでしまった。お母さん、声もたてずに台所で泣いていた。あの頃大学進学やいろいろ決断をせまられる中、自分のこれからの目的も分からずに、すごくイライラしていたと思う。

そんな、人にあたっていらついている娘に何も言わずに、行っておいでと出してくれた二人にすごく感謝しているの。出発の日の昼すぎ、何もなかったように空港まで送ってくれたお母さんの笑顔は一生忘れません。

帰国後、卒業したらカナダへ戻ると言った時、お父さんは「もう決めたんだろ」の 一言で終わらしちゃった。その一言で終わらすのは、簡単だったと思うけど、その裏には数えきれない心配事が頭をめぐっていたと思うんだ。「めんこい、めんこい」って人一倍甘やかされて育った末娘が何の相談もなく、遠い外国に行くって宣言したとき、二人は何を思ったんだろう。その頃はそんな風に考えられなかったんだけど、今は何となくわかるような気がするの。

自分はなんてラッキーなんだって思うの。何でもトライすることを二人から教わったから。いつも夢見ることも、あきらめないことも教えてくれた。たくさん失敗もしたけど、それをせめずに前向きに生きることも教えてくれた。そして、たくさん淳を愛してくれることで、淳は人を愛することを知りました。人は一人じゃ生きていけないし、人は自分のためだけに生きてるんじゃなくて、自分を愛してくれている多くの人のためにも生きているんだって分かったの。けして楽な五年間じゃなかったけど、言葉が通じて、たよる人がいつもいて、逃げ道がたくさんある日本の社会じゃ分からなかったことがきっと私の中には少しずつ根づいていると思う。

今の私も、これからの私も、お父さんとお母さんという世界最強の応援団がいてくれるから頑張れるの。たくさんのあふれるやさしさと深い愛情で、いつも淳を支えてくれているから。

淳をこの世に生みだしてくれてありがとう。
世界一のラッキーガールにしてくれてありがとう。


■「世界一のラッキーガール」になったのは、両親の愛と彼女の努力があったに違いな い。「人生最高のラブレター」から、「ごめんなさい」と「ありがとう」のふたつの言葉が聞こえてくる。

プロデューサー/太田空真(生活デザイン研究所所長)
バックナンバー
VOL.32
「かけがえのない君への感謝状」三田信治郎(68歳)/埼玉県
VOL.31
「お腹の子供が産まれたら、会いに行きます」山口あかね(29歳)/カナダ
VOL.30
「七十二歳のラブレター」金成初枝(72歳)/東京都
VOL.29
「君想う青春老いて今も尚」藤原信子(77歳)/香川県
VOL.28
「大切な父へ」松本浩子(58歳)/東京都
VOL.27
「拝啓 御主人様」丹波春美(53歳)/岐阜県
VOL.26
「母さんへ」HIKARU(19歳)大学1年
VOL.25
「おじいちゃんからヘルパーさんへ」匿名希望(76歳)無職/和歌山県
VOL.24
「あなたへ まだ読んでもらえないラブレター」
宮下径子(44歳)/神奈川県
VOL.23
「父さん母さんへの手紙」佐藤恭子(53歳)/岩手県
VOL.22
「言えない、本音」高口朋子(29歳)/岐阜県
VOL.21
「あなたにお礼がいいたくて」川岸千華(28歳)/東京都
VOL.20
「譲さんへ」中道ひかり(35歳)/大阪府
VOL.19
「私を見つけてくれてありがとう」原信田綾子(23歳)/茨城県
VOL.18
「最愛の四人の子どもたちへ」今村喜子(66歳)/東京都
VOL.17
「358回の給料袋、ありがとう」榎本愛子(51歳)/東京都
VOL.16
「愛しき二人の娘へ」池田洋子(57歳)/三重県
VOL.15
「君の分まで、頑張る」佐藤 学(32歳)/北海道
VOL.14
「家庭樹 ―ファミリー・ツリー」上阪美穂(33歳)/福岡県
VOL.13
「手をむすんで歩きたい」山本英一郎(90歳)/大阪府
VOL.12
「最愛のあなたへ」三木知子(65歳)/愛知県
VOL.11
「二十五年目のラブレター ありがとうあなた、夢、実現しています」
小林妙子(49歳)/長野県
VOL.10
「最愛の妻へ」澤田国男/滋賀県
VOL.9
「田舎へ帰って来い」細貝芳二(64歳)/東京都
VOL.8
「賢君へ」古宇田昌子(65歳)/埼玉県
VOL.7
「逝き急いだ妻へ」井上晃一(62歳)/愛媛県
VOL.6
「一度きりのラブレター 母さんへ」江森みつ(52歳)/神奈川県
VOL.5
「舞皇へ」土蘭純子(30歳)/カナダ
VOL.4
「妻 公子へ」木村信司(49歳)/愛知県
VOL.3
「DEAR MY PARENTS 私の最愛の両親へ」山崎恵子(29歳)/カナダ
VOL.2
「新聞屋の女房殿へ」三友雄治(50歳)/埼玉県
VOL.1
「Kちゃんへ」藤田泰江(31歳)/大阪市
ページトップへ

Copyright(c) Victor Entertainment, Inc. All rights reserved.