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コラム
白いうた青いうた 週刊「白青通信」
気鋭の作曲家 新実徳英と、伝説の前衛詩人 谷川雁が紡いだ53のうたものがたり…。
平成の愛唱歌としてうたい継がれる名曲「白いうた 青いうた」、それぞれの曲に込められた53人の熱い想いをリレーエッセイでご紹介します。
私と「火の山の子守歌」
山根明子(合唱指揮者)
《女声合唱団 彩の会》から《彩》が分かれて二年目。初めて委嘱した曲が「火の山の子守歌」でした。あれからもう六年もたったというのに、初演まえの練習の情景が、今でもありありと昨日の事のように思い出されます。

忘れもしない、あれは新宿文化センターの地下リハーサル室での練習でした。あの曲集は8曲から成り、その中の最後に収められているのが、タイトルの曲「火の山の---------」でした。8分の6拍子のゆったりとした、新実さん独特の、それはそれは優しさをたたえた子守歌です。

    夜が くばる やさしさの便り
    あおい 鐘が 鳴りはじめたら
    火の山のふもと ナルコユリ咲く
    ささやかな風に 吹かれてひとりで
    月の ひかり 縄ばしごおりる
    指を ひらく 影法師よ ねむれ

「この月の光はお母さんなんだよ。そのお母さんが、静かに指を開き手を差し伸べて、地上の自分に向かって、優しい子守歌を歌ってくれているような気がしないかい?」
そういう栗山先生の言葉に、二年前に亡くなった故郷鳥取の母のこと、幼い日の自分と、子供のこと---------。さまざまな思いがこみあげてきて、しらずしらずのうちに頬には涙がつたっていました。後奏のピアノのアルペジオが終わり、最後の和音が静かに鳴ったあとの沈黙------。ふと、周りを見ると皆同じ思いのようで、それぞれの目に光るものがありました。多分栗山先生の目にも------。

これまでいろいろな歌を歌ってきましたが、こんなに胸を熱くして歌ったことは後にも先にもありません。この日から「火の山の子守歌」は、大好きな"白青"の中でも特別な一曲となりました。

こんなに優しく人の心の琴線に触れる、美しいメロディを書いた新実先生もすごいですが、これしかないという歌詞をつけた谷川雁さんは、ただただ敬服の一語に尽きます。

VOL.18
北極星の子守歌
若松 裕(船橋さざんか少年少女合唱団)
VOL.17
薔薇のゆくえ
浅井道子(ピアニスト)
VOL.16
小さな法螺
前田美子(武蔵野ジュニア合唱団’風’指揮者)
山岸麻里(上田高校合唱班3年)
VOL.15
≪わらべが丘≫ に立つ
山本美由紀(『音楽の友』編集部)
VOL.14

杉崎 亨(「白青通信」編集スタッフ)
VOL.13
ライオンとお茶を
山本信夫(栗友会事務局長)
VOL.12
ぼくという名のひとり
逆瀬川敬子(元「白いうた青いうた」友の会事務局長)
VOL.11
歌いたかった「忘れ雪」
菊地裕志(宇都宮室内合唱団ジンガメル・コンサートマスター)
VOL.10
歌に導かれる心の旅〜「南海譜」
清水 敬一(合唱指揮者)
VOL.9
中世風
橿渕隆(宇都宮室内合唱団ジンガメル代表)
VOL.8
ぶどうとかたばみ ボスニア・ヘルツェゴビナに
榎本とく子(ものがたり文化の会)
VOL.7
こびとのひげ
渡辺かおる(ピアニスト)
VOL.6
真夏の紙ひこうき 〜「卒業」
山崎恵(大田原高校音楽部合唱班顧問)
VOL.5
壁きえた
小川律子(矢板市立片岡小学校教諭)
VOL.4
子ども達が想像力をいっぱいに歌った曲「アルデバラン」
谷田部和子(横川中学校教諭)
VOL.3
「二十歳」を共に歌って
吉岡訓子(うつのみやレディシンガーズ晶<AKIRA>代表)
VOL.2
すべての生命への愛〜「あしたうまれる」
横山琢哉(合唱指揮者)
VOL.1
「われもこう」
斎木ユリ(ピアニスト)
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