the id : 2002.11.6

『 祝 4周年 』

めでたいことに、ラジオ番組「坂本真綾I.D.」(NACK5)が今年の10月で4周年を迎えました。その記念ということで10月末の放送では、なんとライブをやっちゃったんですー。私もラジオでライブは初めてだったし、妙に緊張したけど新鮮でした!いつもご愛聴いただいている皆様への感謝の気持ちとして、今年発売した「23時の音楽」から「ダニエル」、そしてビートルズのカヴァーで「HERE,THERE AND EVERYWHERE」、アルバム「ルーシー」から「Rule~色褪せない日々」の3曲を歌ったのですが、聞いて下さったみなさんからは続々と番組宛てに感想のメッセージが届いています!かなりの反響で嬉しい!とっても喜んで頂けたみたいで、ホントよかったです。もちろん自分自身が楽しむ事も目的のひとつでしたが、その点に関しては言うまでもなく達成されたわけで、非っ常に楽しみながら放送をお届けする事ができました。

13歳のとき、学校の技術の授業で作った小さなラジオ。それは私にとって洋楽と出会うきっかけになったものであり、同時に中学時代の思い出や初恋を象徴する特別なラジオでした。毎日スイッチを入れると私の知らない世界がそこにあり、スピーカーの向こうで軽快に話すDJの声に励まされたり、歌詞の意味はわからなくても涙が出そうになるような英語の歌声が流れてきました。当時、そんなラジオの世界にまさか自分がたずさわることになるとは思いもしなかった。今も、電波に自分の声が乗ってたくさんの人の耳に届いていることを思うと、嬉しさもあれば怖い気持ちもあってちょっと複雑というのが正直なところです。私はもともと、おしゃべりが得意な方ではない(むしろ苦手)と思ってきたので、初めてマイクの前に座ったときは本当に怖くて怖くて手が震えました。だけど番組に寄せられるハガキを読むのが楽しくて、そしてスタッフに支えられて、リスナーに育てられて、ここまで続けてこれたと思っています。今でもやっぱりおしゃべりには自信があるわけじゃないけど、あの頃ラジオの前で音楽に励まされた私のように、どこかでこの放送を聞いて胸を高鳴らせてくれた人がいたら嬉しいです。

そんなわけで、13歳の時ラジオを通して知ったビートルズの「HERE,THERE,AND EVERYWHERE」を今回カヴァーすることに決めました。いつだってこの歌を歌うと、幸せな気分になれます。
「ダニエル」は今年発売したCDの曲なので、生で歌うのは今回が初めて。この歌は本当にせつなくて、でも力強くて、かなりお気に入りの1曲です。最後に歌ったのは「Rule」ですが、歌詞の内容と4年という月日が良い具合にリンクして、私も歌いながら感慨深いものがありました。ギター1本だとなんかしっとりしちゃって、特にね。おっと大事なことを言い忘れてた。謎のギタリスト:ぺソくんと共にお送りしました。収録ではありましたが、録音の仕方は生放送の時と全く同じスタイルだったので、スタジオの中は生放送と同じような緊張感がありました。私も緊張はしてたけど、でもただ単純に幸せな気分でした。私の場合、歌を聞いてもらうのが一番スムーズなコミュニケーション手段なんじゃないかって気もするんだよね。だからこうして歌を歌えるというのは本当に幸せなんだよねー。

「I.D.」スタッフもデビュー以来のメンバーです。本当にみんな仲良しで、それでいて刺激を与え合える素晴らしい関係だと思います。私を支えてくれるスタッフに感謝です。

リスナーの皆さん。そして住んでいる地域によっては聞くことができない皆さんへ。「I.D.」は2ndアルバム「DIVE」の1曲目に収録されている曲のタイトルと同じです。アイデンティティのI.D.。山中湖スタジオで星空を見ながら書いたのがこの曲の詞でした。当時18歳の私にとって、この世でもっとも知りたいのは他ならぬ自分自身のことでした。自分の事さえわからずに、前に進めるわけがないと思っていました。4年もたって22歳になった今の私が言えるのは「それは、永遠に謎!」ってことだけ。考えたからって答えが出るわけじゃない。たとえ見つけたと思っても、それが探し求めていたものかどうかなんてわからないしね。だけど探し続けることには意味がある、そう思います。失敗したり、遠回りしたり、ムダなことをしたり、それでいいじゃないか!と、ある意味開き直ってます。今後作品をつくる上で、人と接する上で、常に関わってくるI.D.。これは私にとって永遠のテーマであり、自分自身への挑戦と探究と言えます。ばかばかしい事ばっかり喋ってる回の放送も、私の一部として心を広くもって受け止めていただければ幸いです!
あんれぇ~?なんか都合良く言い訳にしちゃった感じですが、とにかく私はこれからもI.D.と共に歩み続けます。いっそうの向上を目指します。どうぞ、見守っていてくださいませ。

*maaya*