第10回 GUEST:
グループこまどり代表
 西村 サエ子
今回のゲストは私の事務所のボス・西村サエ子さん。
私は8歳から現在に至るまで、この人に支えられてずっと仕事をしてきました。小さい頃から「先生」と呼んでいるので、ここでもそのように呼ばせて頂きますね。
西村先生のことをことばで説明するのは超難しい。まず年齢不詳。ある人は300歳を越えていると言い、ある人は永遠の17歳だと言う。そして先生のトレードマークはいつも必ず頭に巻いている青いバンダナ。目立つ。一度見たら忘れられない。私が15年前に初めて会った時から巻いていたのですが、どうやらまったく同じデザインのバンダナを5〜6枚持っていて、毎日取り替えているらしい・・・。なぜそのバンダナをするかというと「気合いのため」とか。あれをしないと、さあ仕事するぞ!って気にならないんだって。そして先生は精神的にとっても若いのがまた特徴。いつもスポーティーなスニーカーにアニエスのナイロンパンツ、そしてサザビーのバッグを持ち歩き、一時期はマイメロのお財布を使っていたことも。あのくらいの年齢で携帯のメールを使いこなす人も珍しいと思います。
美味しいお店をいっぱい知ってたり、毎朝必ずラジオ体操を欠かさない健康オタクだったり、芝居についても詳しいし、フランス語も知ってるし、SMAPが好きでDVD まで持ってたり、本当に不思議な人。AB型で双子座ということもあり、どうもつかみ所がない。
私にとっては第二の母的な存在であり、ほとんど毎日顔を合わせるから友達みたいな感覚もある。もっとも、先生といると本当に同年代の子といるのと変わらない感じなんだよね。だけどイザというとき頼りになる肝っ玉母さんのようなところもある。私が体調を崩したとなれば無理をさせないようにスケジュールを調整してくれたり、学生の時は何よりも学業優先の方針を決して崩さず私が学校に通えるよう配慮してくれた。15年間、この人のおかげで両立できたのです。
ほとんど家族のような関係なので、こうして改めてアンケートをお願いするのも気恥ずかしいんですけど、先生もとても真摯に協力してくれたようで嬉しいです。「あんまり長い文章にならないように」と気を使ってできる限り短くまとめたとか言ってましたが、どんな答えが返ってくるのか私としてもドキドキです。これまでのゲストの中で最年長、人生の大先輩から見た坂本真綾とは?!

(illustrated by maaya.)

回答者:グループこまどり代表 西村 サエ子
1)坂本真綾の第一印象は?
子供の顔をしたちっちゃな大人(劇団入団面接の折)

2)それに比べて、現在の印象は?
もっともっと大人になった!素直な、とつけ加えておこう。

3)あなたの知っている“坂本真綾伝説”
伝説等と大げさに云う程の事ではないが、食事途中の小休止は今だに・・・
小休止の間なにを考えているのか結構な時間ハシを置いている時がある。
本人は覚えてないかも知れないが、いつだったかハンバーグを途中でさげられた事があった。

4)坂本真綾を○○にたとえると?
一つのものにたとえられない。
或る時は犬、そして或る時は猫、ハムスターの様でもあり又、パンダの様でもある。

5)「これだけはやめてほしい」ということはありますか?
ウソをついているというのではないが、たとえ方便でもウソはつかない方がよい。
ただ単に「ウソ」という言葉を私が嫌いだから。

6)坂本真綾の、一番の魅力は?
その時の自分を見事に表現出来ること。これは非常に難しい。私には到底出来ない。

7)あなたにとってズバリ坂本真綾とは?!
8才から22才の今日まで色々楽しませてくれた。筆にはつくせない。
“Thanks”と云っておこう。

8)今後の坂本真綾に期待すること
期待はあくまでも私の中にあることです・・・まずは貴方のやりたい事を貴方の方法でできるだけ丁寧に媚びることなく融通のきく女性に・・・って結構期待してんじゃん!って云われそう。

9)最後に、坂本真綾本人に向けてひとことメッセージをどうぞ。
翔べ!真綾思いのままに、翔べる所まで。
オランダの画家レンブラントの言葉を再びここに。
「まずは描いてみること(キャンバスに)!すべてはそこから。
老いては子に従えの心境です。



そう。これは子供のころからの癖なんだけど、食事中にいったん休憩が入るんですよね、私。半分くらい食べたところで急に箸を置いて、しばらく手を付けないんです。みんなが「もう食べないのかな?」と思った頃にまた思い出したように食べることを再開するという妙な癖。あんまりお行儀は良くないのかもしれないけどね、なんかそうしないと全部一気に食べられないのよね。珍しい癖みたいで色んな人からよく指摘されます。でも一番最初に気付いて指摘されたのは子供の時からよく一緒に外食していた先生だったかも?今でも「また休憩?」「あ、マアヤ得意の休憩してる」と笑われます。
先生と初めて会った日の事は私だってよく覚えていますよ。私は8歳のわりにとても背が小さく、先生に第一声「ちいさーい!」と言われたんだよね。入団後1〜2週間ですぐ初仕事。CMソングのお仕事でした。あれから15年かぁ。色んな事がありました。悪いところはちゃんと叱ってもらったし、良いことがあると一緒になって喜んでくれた先生。
先日先生と仕事の帰りに銀座でご飯を食べていたら「早いわね〜」と先生。「そうですね〜。今年も早かったですね〜」と私が答えると、「違う。8歳から22歳まで。」と先生が言うのです。私は劇団内で最年少なだけに、いつもみんなから末っ子のように扱われてきました。「一番末っ子の子供と思ってきたけれど、大学も卒業していつの間にか大人になっていた」と先生は言いました。考えてみたら、人生の半分以上先生と一緒に仕事をしてきたんだなぁ。何でもハッキリものごとを言うサバサバした気性の先生とだから、これだけ長い間一緒にやって来れたんだと思います。
私にとってはいつまでも、第二の母であり師匠ですよ、先生。