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〜晴れ。

「Boogie Man」の続き。リアムが皆を盛り上げ、ほどなくOKテイク。川本くんカウベルをダビング、廊下にしかけられたエコーチェンバーの響きが抜群。メンバー3人でハンドクラップを入れる。ベースをリテイク、グッと勢いが増す。岸田くん「恋のかけら」とタイトルされた歌詞を歌ってみるが、符割があわず苦戦。いつものようにどんどん録って、テイクをキープして後で選ぶ、ということが出来ない。なんせ全部で8trkしか無いのだ。プロツールズ[注60] に慣れた僕らはとにかく録りだめて、後で編集というクセがついてしまっている。ボーカル録りで使えるのは2トラックまで。
今のまずまず良かったからとりあえずとっておいて別チャンに、と言うのができない。
パフォーマンスのベストをその場でジャッジしなければならない。忘れていたレコーディングの醍醐味。岸田くん歌詞を書き直しそうな予感。たっしんソロ、最高。出音の良さが素晴らしいパフォーマンスを生む。リアムが何やらクォーターインチ[注61] で編集している。ソロの後半をリバースし、ラジオのチューニングノイズを入れる、みんな大笑い。ディナーはリアムと彼女のファビアンと一緒にカレー。僕が年甲斐もなく挑んだ激辛カレーはさすがに激辛、一口で断念。辛いの大好きなのだが、あれは食べ物の域をこえている。お店の人がマイルドな味に調理しなおしてくれた。森田と何か特許をとって儲けようと色々考える。「マッチ要らずのタバコ」という画期的なアイデアが浮かぶ。タバコの先っちょにマッチを内蔵し、タバコをシュッとこすると火がつく、というもの。さっそくマッチを買ってきてプロトタイプを作る。

[注60] Pro Tools:業界スタンダードのハードディスク・レコーディング・システム。とにかく編集がラク。
[注61] ステレオミックスを最終的に録音するテープ。僕は通常1/2テープを使っているが(くるりの今までのほとんど全作品、Long Viewでも1/2テープを使用)、リアムは1/4を好んで使っていた。1/2に比べダイナミックレンジは狭いはずだが、独特のアジがある。勿論、彼独自のセットアップによるもの。