Salley | Special Web Site

Profile

Salley

キュートで奔放なキャラクターとクリアで伸びやかな歌声が魅力のうらら(ボーカル・作詞)が紡ぎ出す、ガーリィーな言葉の奥に隠される小さな決意とカラフルな毒。極上のメロディとギターリフを奏でる上口浩平(ギター・作曲・アレンジメント)との2つの個性の相乗効果で、ポップで憂いのある音楽世界を生み出す最注目ポップスユニット。
2012年に結成され、2013年5月にシングル「赤い靴」(TVアニメ「トリコ」主題歌)でメジャーデビュー。
2014年4月に1stアルバム「フューシャ」、2015年7月に2ndアルバム「エメラルド」をリリース。

うらら

大阪府出身。中学でアコースティックギターを始める。2011年“自分が出来ることは音楽だけだ”と、大阪市内の大学を中退し、両親の心配を押し切り独り上京。シンガーソングライターとして活動する中でギターの上口と出会い、Salleyを結成。

上口浩平

福井県出身。Salleyのギター、作曲、アレンジを担当。高校在学中に地元でバンドを結成し、8年間活動したが2009年に解散。上京してボーカルうららと出会う。

新世代の極上ポップデュオが歌い奏でる
アイリッシュの哀愁を秘めた歌とロックサウンド

「何か運命的なものに呼ばれてたのかもしれない」
 Salley結成に至る話の中で、ボーカルのうららはそんな言葉を口にした。幼い頃から歌や音楽が好きで、本格的にボイトレを学んだこともある大阪出身のうらら。音楽活動に専念するため大学を中退するときさえ止めなかった両親の反対を押し切り、一大決心の末に上京。そして間もなく、ギタリスト&コンポーザーの上口浩平と出会う。
「上京を決めたのが震災直後だったんです。それで母が、来年でもいいんじゃないの? って。一瞬、躊躇する気持ちも頭をよぎったけど、でも今行かなくちゃ! って。で、上京してわりとすぐに上口くんと出会ったから、やっぱり運命っていうか、自分の直感を信じてよかったと思います」(うらら)
 一方、地元、福井県でのバンド活動に限界を感じて上京していた上口にとっても、それれは同じだった。都内のライブハウスでギター片手に歌っていたうららの伸びやかで透明なその歌声を聞いて彼がひらめいたのは、「J-POPとアイリッシュトラッドの哀愁とエモーションの融合」。その最初の結晶となるのが、デビューシングル『赤い靴』だ。
 曲名通り、うららがてがけたこの曲の歌詞は、アンデルセンの童話『赤い靴』がモチーフとなっている。祖母の死に際でも、厳粛な葬儀の場でも、何度とがめられても赤い靴を履き続ける少女は、いつしか脱げなくなった赤い靴を履いたまま踊り続け、疲れ果てた末に脚を切り落とす。そして切り落とされた脚は踊りながら森の中へ消えていく……。うららにとって、あらがえない運命に踊らされる『赤い靴』の鮮烈なイメージは、諦めようとしても諦めきれなかった<音楽>への思いと重なるのだという。
「いろんなものになじめなかった小学校時代の反動もあって、周囲に合わせようと中学時代は音楽の道をいったんあきらめたんです。でもどうにもならない葛藤みたいなものがあって、高校になってやった趣味がライブで、大学に入って加入したのがバンドサークル。もはや、もし主婦やOLになったとしても私はきっとどっかで歌うんだろうなって思うんです。上口くんの作ったこの曲を聞いてそういう<大人になりたくない>と思う部分とか、でもどんどん将来を決めていくみんなに置いていかれる不安とか、自分としては隠しておきたい気持ちが、『赤い靴』のイメージと共に自然と引き出されていったんです」(うらら)
 透明で繊細。だがそこには凛とした力強さを感じるうららの歌声と、BメロからCメロに突入した直後、目の前に一瞬にして広大な景色が広がる上口の奏でるギターサウンド。それはまさしく上口が最初に思い描いた、「J-POPとアイリッシュトラッドの哀愁とエモーションの融合」のイメージとシンクロする。
「うららの歌声って、ザ・クランベリーズとかのアイリッシュトとロックが融合した哀愁とか力強さがあると同時に、ポップな要素もある。このうららの声を活かして、Salleyならではのサウンドや世界観を追求していきたいですね」(上口)

 Salley(柳)の庭で起きたこと。洋楽志向の耳にもなじむギターサウンドと、J-POPのど真ん中を凛と射る可憐な歌声と極上のメロディによって紡ぎだされるそれは、空気を読むことでしか繋がれない、SNS世代が抱える心の叫びととてもよく似ている気がする。
<早川加奈子>