柴田 淳 ニューアルバム「ブライニクル」10月31日(水)リリース

柴田 淳

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柴田淳
2018年10月31日発売
「ブライニクル」

「ブライニクル」

2018年10月31日リリース

  • 初回限定盤
    • VIZL-1401
    • VIZL-1401 / ¥4,000+税
    • CD+初回限定ブックレット+豪華32ページフォトブック(スリーブケース仕様)
  • 通常盤
    • VICL-65028
    • VICL-65028 / ¥3,000+税
    • CD+通常ブックレット
収録曲
  1. Multiverse

  2. 君のこと

  3. 光る雲

  4. あなたが泣いてしまう時は

  5. 夜明けの晩

  6. 人間レプリカ

  7. 私はここよ ~拝啓、王子様☆シーズン5~

  8. 不釣り合い

  9. そらし目で見つけて

  10. 嘆きの丘

柴田淳は、基本ライブ活動が地味な為、私の日常は音楽制作がなければ何も起きないつまらないもので、これじゃいかん!と自ら創作を始め、前作より約一年でのリリースとなりました。

今回はアルバム全体を考えず、とにかく好きな音楽をそのまま作ってみるというコンセプトで始めたのですが、やはり2時間ドラマのエンディングで流れるエモーショナルな音楽が好きなんだなと、自分の好みを再確認するほど、そのような場面で使われそうな曲調ばかりになりました。

あまりにも曲調がそっち系なものばかりだったので、アルバムとしてのバランスは置いておいて、ここはもう開き直って「サスペンス」というタイトルでとことんそっち系な曲を思い切り詰め込もうかとも考えていたくらいです。

また、あらゆる不安やストレスで一時期声が出なくなったりもしたのですが、今までで一番良い声が収録できた気がしています。

本来の私の声は、実はハスキーなんです。ですがモニター調整してる間に、その声の襞は削ぎ落とされていき、録音する頃にはツルツルの声になっていたりしたんです。しかし今回は、そのハスキーな声を漏れなく収録出来た気がしています。

あまり声を大にして言えないのですが、自分のアルバムを聴き返せることが本当に少なかったんです。反省点を見つけたくなくて恐ろしかったんです。ですが、今まででこれほど自分のアルバムを何度も聴き返せているものはありません。

どうぞ、私の趣味が詰まった、そして本来の声が収録出来た歌を聴いて下さい。

柴田淳

Liner Notes

柴田 淳が語るアルバム『ブライニクル』全曲解説

  1. 01. Multiverse

    私は楽曲創作に入ると、外部との接触を一切断ってひたすら創作に没頭します。ですから、その期間は外にも出ないし、人にも逢わない。唯一社会と繋がる窓口はネットしかないという状態。この歌詞を書いた時もそういう状態だったわけですが、そんな状況下でたまたまテレビをつけた時にやっていたワイドショー番組は、こぞって政治的なネタで盛り上がっていました。番組内での政治的な内容はともかく、権力やお金に執着する人たちのあさましさを突きつけられて、私自身とても冷めた目線で見ていることに気付きました。なぜそんなに冷めた目線なのかと思った時に、私は宇宙の話が大好きなんですけど、宇宙規模で考えると、地球はないに等しいくらい小さすぎる存在なんですよね。そう考えると、塵にも満たない地球という星の中で王様になりたがる人たちが物凄く滑稽に見えたんですね。なんてこの人たちは小っちゃいんだろうと(笑)。そんなふうに宇宙規模で見ちゃった時に、<だったら、1秒くらい時を止めてみなよ>って冷ややかな目線で嫌味を言いたくなるくらい、私はその時尖っていたなという感じがするんですね。物凄く攻撃的な志向性だったので、“この世を手にしたと言うのなら/1秒でいいから/時間を止めてみせてよ”なんていう歌詞が自然に出てきたんでしょうね。

    タイトルの意味は“多元宇宙論”ですが、直接的に歌詞には関係ありません。ただ、私たち人間は、一人一人違う宇宙に暮らしているんじゃないかなとか、そんなふうにファンタジックに考えたりするくらい創作している時はヘンなモードに入っているので、そういう人にしか見えない宇宙があったり、同じ景色を見ていても、もしかしたらそれぞれが違う景色に見えているのかもしれない。目にしても私が見ている黒色が、別の人には私で言うところの緑色に見えているかもしれない...つまり、その人の見えている世界は人それぞれでわからないじゃないですか。だから、いろいろな世界という意味を込めてこのタイトルにしました。

    これまで柴田淳の楽曲の中に3分台の曲はなかったのですが、最初アレンジャーさんから編曲されたこの曲を頂いた時に正直、<短すぎるかな?>と驚きました。だからといって、曲は長ければいいとか短ければ悪いという考え方は一切ありません。それよりも一番いい曲は何回もリピートしたくなる曲だと思っています。ただ過去に私の曲では7分台の曲もあったりするくらい、そういう曲の性質が多い柴田淳として3分台という曲にビビっただけなんですけどね(笑)。でも、歌詞を入れて歌入れした後、この曲ばかりをヘビロテしている私がいました。それはサウンド的に自分のツボになるグルーブが気持ち良かったんだと思います。何度でもリピートしたくなる曲に仕上がりました。

  2. 02.君のこと

    この曲も私の中で攻撃的な1曲ですね。実はこれまで生きてきた中で誰でも好きな人、嫌いな人は当然ながらいると思いますが、大きな声では言えないんですけど、中には軽蔑する人もいたりするんですね。この曲は、その人に対して<ナメんなよ!>って歌っている...ほぼ私の心情そのものなので、まさにドキュメンタリーな1曲です(笑)。この歌詞が出てきた背景には、創作期間中の寝不足が相当影響しているようです。というのは、寝不足になると、昔の嫌なことを想い出したりすることが私の場合よくあるんですけど、尖っていた感覚もあったから、ふとその軽蔑した人のことを想い出して、こういう感情が渦巻いてこういう歌詞になっていったという。

    考えてみたら期せずしてその人の歌を書いてしまったというオチがついてしまいましたが、楽曲としては素晴らしい1曲となったと思います。今回参加してくださったミュージシャンの方々はどなたも素晴らしい演奏をしてくださり感謝しているのですが、この曲の玉田豊夢さんのドラムには特に魅了されています。間奏の演奏で聴き手も一緒にドラムの呼吸にされるくらい、この方の凄さを改めて認識しました。玉田豊夢さんの凄さを感じてほしいと共に、私本来のハスキーな声が録れているので、私の声にも注目していただけたら嬉しいです。

  3. 03.光る雲

    “私には手に入らないもの きっと”――この冒頭のフレーズ、まさにコレが私の心情そのものです。だから、この曲もドキュメンタリーですね。恋愛というモードではなく、人生モノなんですけど、それは40代になっても独身でひとりで生きている人、タイミングを逃してしまった人...たぶん、私みたいな境遇の女性って実は多いと思うんです。暇さえあれば<この先、どうしよう?>って思っている。例えば、傍らの友人は結婚して子供がいて、旦那の愚痴を話すけれど、だからこそ使い捨てでもいいくらいな愛がその人たちにはたくさんあるわけですよ。その人たちには手に入る日常のちょっとした...例えば、誰かと話したいっていう時に目の前にその誰かがいるでしょ?そういうちょっとしたことって実はとても大きなことで、その人たちには煩わしいと思うくらいある。この曲は、そういうことを踏まえて、<私にはそれが手に入らないのかな...>って想いを綴った歌です(笑)。

    ラストの“私には手に入らないもの ずっとずっとずっと...”とありますが、本当は冒頭のように“きっと”にしたかったんですよね。だけど、メロディーが合わなかった...そうさせてくれなかったんですよね。“きっと”はもしかしたらという希望があるけど、“ずっと”は、この状況を肯定しているみたいでしょ。だけど私は認めてませんから(笑)。本当は“きっと”と言いたいということをリスナーの皆さんに汲んでいただければなと。だから、オープニングだけ“きっと”にしているんですよ。

    “夜空に浮かぶ雲が 光って見えるくらい 慣れてしまった”という歌詞がありますが、夜空をずっと見ていると、月に照らされて雲が光るんじゃなくて、瞳孔が開いて夜空の中の白い雲が浮き出てくるんですね。それが私にはだんだんと眩しく見えてくるんです。目が慣れてしまって光って見えてくるんです。それってまるで空虚な悲しみの中にいる今の状況下に慣れてしまったことに通じるなあと。それになぞらえてタイトルを「光る雲」にしました。

    今回初めてアレンジを河野伸さんにお願いしたんですが、前からご一緒したいと思っていたので念願が叶いました。河野さんには「火曜サスペンスのエンディングで流れるような感じで」とお願したら、短期間でここまでど真ん中のアレンジをしてくださって、感謝と共に本当にこの方の凄さを感じました。ミュージシャンの方々との新しい出逢いも刺激的で面白かったです。

  4. 04.あなたが泣いてしまう時は

    創作を開始した時に一番最初にメロディーが出来た曲です。この曲を作った後に思考を変えて、自分の趣味を押し出すようなサスペンス系の曲をたくさん作り出したんですね。だから、今回のアルバムの中ではむしろ別の存在を放った曲ですね。メロディーの段階から仮タイトルも「あなたが泣いてしまう時は」だったし、歌詞のコンセプトもメロディーの時から決まっていました。歌詞を漠然と作って歌っていた段階でポロポロ泣けてきたくらい、自分でも<これ、いいなあ>と思えた曲でした。

    歌詞は、好きな女性に試練が訪れても、あまりに好きだから彼女が苦しんでいる姿を見たくなくて、自分が犠牲になってもいいから彼女と交替したいっていう。なんで僕にはこういう試練が来ないのか?っていうような、それくらいその人のことを愛している男性の歌。だから、この曲は愛の歌ですね。しかも想い人を考えるだけで涙が出ちゃうくらい好きなんだけど、もしかするとその相手は自分のことを好きじゃないかもしれない...っていうくらいの設定なんですね。あなたのことが好きなので、僕が支えにならせてもらえませんか?ってお願いするような...。だけど、それだけで終わっちゃうと、ちょっと胡散臭さを感じるのでそこにリアルさを加味しました。自分に何かあった時にちょっとでもいいから自分のそばにいてくれると嬉しいなっていう。相手に求めていないくせに、与えるばかりなのに...でもちょっとだけ...っていう。こういう歌って私の中で今までなかったような気がします。今までは愛だけ注ぎたい、注ぎたいっていう歌、そして注いでいる振りをして見返りを必ず求めているような歌ばかりだったから。だけど、この曲は与えるだけの歌。そこにちょっとだけそばに居てという想いを添えて、相手を愛したいという歌です。

  5. 05.夜明けの晩

    アルバムを制作している時にあと1曲、弾き語りにしようかインストにしようか、迷っていた時に、弾き語りの他に全部ひとりで出来る手段として思いついたのがア・カペラだったんですね。急遽、曲作りを決行してその中で民謡なのか童謡なのかわからないんですけど、昔っぽいメロディーが浮かんできて、これにしようと思いました。最初はラララでやるつもりだったんですけど、なんとなく言葉が乗るとより活きるメロディーだったので、レコーディング中に2時間くらいあった待ち時間を利用して即興で歌詞を書きました。別室に籠ったとはいえ、家の外で人がそばにいる中で歌詞を書いたのは生まれて初めてでした。メロディーがもっている世界観が強かったので自然とメロディーに導かれるように言葉を紡いでいきました。この曲はずっとこのメロディーでいくから3番くらいで終わらないで5番ぐらいあってもいいかなと思って筆が進むまま書いていったんですよ。そんな時にふと想い出したのが「隣の部屋」(2003年・5thシングル)の時の情景描写でした。それが4番に出てくる“窓を叩いているのは”というフレーズを書いていた時でした。

    「夜明けの晩」と聴くと、「かごめかごめ」のフレーズを想い出す方も多いかもしれません。今思うと、レコーディング中、歌入れはほとんど“夜明けの晩”まで歌っていることが多かったような気がします。私も“夜明けの晩”という言葉が浮かんだ時にまずこの言葉に立ち止まってしまいました。そこで調べてみたんですね。以前、「青の時間」(2007年・5thアルバム『月夜の雨』収録曲)という曲を書きましたけど、“青の時間”って、明け方の4時半頃、月も落ちて太陽も上がってこない微妙な時間なんですけど、その“青の時間”の直前に暗黒になるんですよね。それを“夜明けの晩”と言うらしいんですね。意味がわからなくないですか。太陽がだんだん近づいてきているはずなのに一番暗くなる時間って。よく考えたらすごく不思議な言葉ですよね。そこに惹かれてこのタイトルにしました。

    あとこれはぜひ皆さんに耳を傾けて聴いてもらいたいと思っているんですけど、イントロとアウトロにシンセサイザーみたいな音が入っているんですね。これは全部、私の声なんです。エンディングの“ブーン”という低い音だけはシンセの音なんですけど、それ以外は私の声。自分が歌っているどこかの言葉をヴォーカル・トラックに引っ張ってきてリバーーヴで広げて音を作っているんです。よーく聴くと言葉っぽいのが幽霊みたいに聴こえます(笑)。これはエンジニアさんのアイディアで、即興で作ってくださいました。弾き語りとは違う形で自分の表現だけで成り立つ音源が作れたことを本当に嬉しく思っています。

  6. 06.人間レプリカ

    これはアルバムの中で最初に書いた歌詞です。“人間レプリカ”というのは、まさに今の自分そのものだなと。“レプリカ”とか“フィギュア”とか“マネキン”とか、そういうものって本物そっくりだけど、中身は空っぽでしょ。今の私はまさにそういう感じだなと。自分なんだけど、自分とそっくりの複製品。本当の自分がレプリカの私を見ている感じで歌詞を書いていきました。目の中に光がなくなってしまったのかなというくらい目が死んでいるというか、いろいろなものが輝いてキラキラ見えないと思っている自分がいて、心にトキメキがなくなっているというような...。心が動かなくなっている自分がいて、それを必死に取り戻そうとしていたことも諦めてしまったんですよね。これは「光る雲」に似ているかもかもしれないですね。

    実際、甥っ子や姪っ子の運動会を見に行った時に周りは凄い盛り上がっているんですけど、私ひとり全然感動できなくて...。楽しんでいるつもりではいるんですけど、心が全く動いてない自分がいたんですよね。私はもっと笑える人だったのにな...みたいな。

    歌詞の“生きていても 冷たくても 気付かれないままで”というのは、私が生きていようが死んでいようが、誰も気付いてもらえないんだろうなっていうくらい居場所がない...つまり自分が存在しているのかなって、それくらいキテました...精神的に。だからこれもドキュメンタリーの1曲ですね。

    実は最初、『人間レプリカ』ってアルバム・タイトルにしようかなと一瞬、思ったんですけど、それだと人にもっと引かれるかなと思って止めました(笑)。

    この曲も河野さんにアレンジしていただきました。これも2時間ドラマのエンディングっぽくとお願いしていたので、河野さんは「火サスになったかな?」と心配してくださり、「バッチリですよ!」「良かった!」という河野さんとのやりとりにとてもウケてしまいました。

  7. 07.私はここよ ~拝啓、王子様☆シーズン5~

    <王子様☆シリーズ>も気付けば5話目に突入しました。と言っても、この曲は当初、<王子様☆シリーズ>として書き始めていなかったんですよね。実はあまりにも攻撃性が強すぎて歌としてどうなのか?人に聴かせる曲としてどうなのか?と悩んで、自分でも制御機能が発動してしまったんです。だから<王子様☆シリーズ>にしようと思いついて急遽、書き直したんですね。<王子様☆シリーズ>は、主人公のギタリストが全く知らないファンの女性にストーキングされて、その女性は前作の4話で殺され、そのギタリストが容疑者にされて捕まってしまったという流れだったんですけど、今回はどういう展開にしようかなと思った時に、殺された女の目線で書いてみようと。今まで<王子様☆シリーズ>にはホラーはなかったなと思って、幽霊の目線で書いたんですよ(笑)。ですから一部分、説明不足の描写もあるんですけど、普通の曲として流して聴いていくと、最後に「あ、王子様の曲だったんだ!」と感じて楽しんでもらえたらいいなと思っています。

    イントロの不穏な音ですけど、ホラーにしようとしたのは別にこの音に触発されたわけじゃないんですよ。歌詞を書いている時は音を聴かないので、だいたいのアレンジしか覚えていないんですよ。どういう構成か、1番2番があって大サビが何回かをチェックして、あとはもう何も聴かないで書くだけなんですけど、「私はここよ」ってタイトルをつけた後に通して聴いた時に<これ、ホラーだな。合ってるな>と思ったんですよね。確かにこのイントロ、怖いですよね(笑)。“三つ目の誰かが~”という歌詞は霊能者のことで、<さあ、犯人は誰でしょう?>ってところで終わっている。これからどうなるか?お楽しみに!

  8. 08.不釣り合い

    これは世の中の体験談、自分の体験談、友達の体験談を混ぜた歌ですね。よく思うのは、「この人と付き合っておけば良かった」とか、「なんでこの人の良さをあの時気付けなかったのかな」とかって言うと、「遅いよ!」みたいなリアクションを取られた経験もあって、そういうことを元にして書いたんですよね。今更気付いた私だけど、今更気付くようなレベルの低い女だから、この人とは結局のところ、“不釣り合い”なんだなって、そういう歌です。この人の良さを見抜けなかったくせに、この人にしておけば良かったと言ってる時点で、ホントにそぐわない相手だなって。だから自分の見る目のなさに自分が自分で納得しちゃって、でも、だからこそ後悔なんかないんですよ。サバサバしているというのが実情ですね。もしかしてたいして好きじゃないのかも(笑)。あの子と別れて、「じゃあ本当に付き合いますか?」って言われたら、「いやいや...ちょっと待って」と言いそうな感じですもんね。まあ、ないものねだりなんでしょうね。失ったからこそ輝いてみえるみたいな...考えてみたら、チョー勝手ですね(笑)。

    実は歌入れが凄く苦戦した1曲です。サウンドのノリが明るすぎて私のカラーに合わないんじゃないかと正直、最初は思ってました。サウンドが眩しすぎるから、<私はこの歌を歌えるかな?><私が歌うと聴いてて恥ずかしくならないかな>とか思っていたんですよ。しかも、この時、不調で声が出なくて。本来出せるキーなんだけど、声が出ないから苦しく聴こえる歌い方になってしまったんですね。だから、2回くらいしかテイクを録ってないんです。でも、逆にいろいろ苦戦した分、表情で勝負しようと思って、曲調に合うように笑っているような声で歌いたいなと思って、そのように挑戦したんです。だから、笑顔で歌っているのがわかるような歌い方をしました。

  9. 09.そらし目で見つけて

    私が“そらし目”を知ったのは、中学時代に行ったプラネタリウムでした。星には一等星や二等星のような光の強さがある星もあれば、六等星のように物凄く光の薄い星もありますよね。だけど、そういった光の薄い星を直視すると観えなくなってしまうらしいんですね。それは眼球の構造上の特徴なんですけど、簡単に言ってしまうと眼球は2つあるので一点を見つめていると交差してその焦点が光を潰してしまうらしいんです。だから、そこにあるのはわかるんだけど、じっくり見ると見えなくなってしまうから、淡い光の星を見たいと思ったら、視線の中心から少しずらして見ると、その星は視界の中でちゃんと認識できる方法があるんです。それが“そらし目”と言うんですけど、そこから着想してこの歌詞を書きました。自分という存在は直視するといないけど、気付いたらいるみたいな...そういう存在でいいからあなたに憧れさせてほしい、気付かれなくてもいいから好きでいさせてという歌ですね。一見、その憧れの対象となる男性には自分の存在は見えないんだけど、実は“そらし目”で見ると、私が瞬いていることがわかるはずっていう。だけど、冷静に考えると...その相手に気付いてほしいとは本気で思っていないのかも...。微妙な女心というか...結局、どっちなんだよ!っていう(笑)...こじらせ女にすれば良かったかな(笑)。

    この曲も火サスっぽいですよね(笑)。この曲に限らず、今回の新曲はほぼ2時間ドラマのエンドロールにピッタリハマる曲ですね。そういうドラマが終わったあたりで音をミュートしてこのアルバムの曲を流したら映像と合うと思いますよ。特にクレジットが下から上に上がっていくエンドロールだったらなおいいかな(笑)。

  10. 10.嘆きの丘

    久し振りに情景描写の歌詞が書けたのがとても嬉しくて、自分でも気に入っている1曲です。目を閉じて想像してみると、その想像した世界の中でここを通って、ここを通って、ここに行って、そしたら私はここで待っているからという歌は、私自身がこういうふうに癒されたいと心から思っていたから、自分で求めて書いてしまったんですね。だから、この曲もドキュメンタリーの部類に入りますね。

    私自身、ずっとファイティングポーズをとったまま生きているのが辛くて、何でこんなふうに気張っていないといけないのかなって。そういう自分のことを表わすような言葉がないかなと探していた時に見つけたのが“鯉口を切る”という言葉でした。これは“すぐに刀を抜けるように刀を少し引き出しておく”という意味で、“鯉口”は抜き取った刀の鞘が鯉の口に似ていることからそう呼ばれているんだそうです。この“鯉口を切る”動作って、まさに今の私だなと思って、ハッとしました。まさにファイティングポーズを取り続けている私だなと。それで“鯉口を切ったままでいる”って歌詞を使ったんですよ。アルバム・タイトルの『ブライニクル』も、以前出したアルバム『バビルサの牙』(2014年・10thアルバム)もそうなんですけど、自分で感銘を受けた言葉は、自分の作品で使いたいという願望が湧くんですよね。私は言葉を知らなすぎるなあと思って、昔一時期辞書を読んでいたことがあったんですよ。「あ」から順番に辞書を読んでいった時に、“紅蓮地獄”という言葉を知って、その言葉から着想して「紅蓮の月」(2006年・13thシングル)を書いたこともありました。話は逸れましたけど、そういうふうに日本語の深さや粋さを今回再認識した次第です。

    “嘆きの丘”はどんな丘なのか?たぶん、いろいろなことを嘆いても愚痴っても誰にも聴こえない丘なんだと思います。皆さんもこの曲を聴いたら、あなたのイマジネーションがきっと嘆きの丘に誘ってくれると思います。ぜひ目を閉じて聴いてみてください。

Tour

JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019
月夜PARTY vol.5
~お久しぶりっ子、6年ぶりっ子~

チケット
  • チケット料金:前売り7,500円(税込)全席指定
  • 一般発売 : 2018年11月17日(土)~
  • 2019年2月2日(土)
  • 開場17:00 / 開演18:00
  • 愛知県 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
  • お問い合わせ : JAILHOUSE 052-936-6041
  • 2019年2月8日(金)
  • 開場18:00 / 開演19:00
  • 福岡県 福岡市民会館
  • お問い合わせ : BEA 092-712-4221
  • 2019年2月14日(木)
  • 開場18:00 / 開演19:00
  • 大阪府 オリックス劇場
  • お問い合わせ : 清水音泉 06-6357-3666
  • 2019年2月27日(水)
  • 開場18:00 / 開演19:00
  • 東京都 NHKホール
  • お問い合わせ : ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999