Dragon Ash
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2023.02.25

「DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ ENTERTAIN ~」ライブレポート

「俺たちの青春とやりたいことに25年間つき合ってくれてありがとう」

観客の声出し解禁!Dragon Ashが熱狂のデビュー25周年ツアーファイナルを開催



2022年9月からスタートした、Dragon Ashのデビュー25周年を記念した全25公演のライブハウス&ホールツアー『DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ ENTERTAIN ~』。そのファイナルを飾る『DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ ENTERTAIN ~ FINAL』が、2月23日(木・祝)、国立代々木競技場第一体育館にて開催された。2023年2月21日にデビュー25周年を迎えたDragon Ashにとって、これが26年目の初のライブとなる。

目の前のLEDスクリーンに25年分のアーティスト写真が映し出された後、ステージから最初に鳴り響いたのは、今回のツアーの始まりに書き下ろされた「Entertain」だった。制限された日々を経て、エンターテンメント界の復活を告げるその曲に、フロアから大きな歓声が挙がる。続いて、湧き上がるオーディエンスの熱気に応えるように披露されたのは、本ライブに向けてリリースされた、オーディエンスが声で参加することを願って書き下ろされた最新曲「VOX」だ。

<ありったけの君の声を/吐き出せよ日々の思いを/ぶつけてよずっと続けてよ>

<答えてよその声こそ/僕らが音を鳴らす理由自体なんだ>

彼らがステージに立ち続ける理由と、共にライブを作り上げる観客に対する揺るぎない思い。26年目を迎えたバンドの信念を赤裸々に歌うその曲は、オーディエンスという盟友に向けた、Dragon Ashからのラブソングと言えるだろう。

今回のツアーにかける思いを綴った2曲で幕開けた後は、25周年ツアーのファイナルにふさわしい豪華でエモーショナルなDAショーがスタート。緑と紫の光の中で轟いた「Bring It」、DAのグランジ魂を象徴する「天使ノロック」、そして、パンキッシュなライブチューン「Iceman」では、冒頭からバンドは演奏に徹し、場内に響くオーディエンスの歌声が主役となる。さらに「Life goes on」、場内中が両手を高く上げてクラップを鳴らせた「陽はまたのぼりくりかえす」と、珠玉の名曲に合わせて観客のシンガロングが響き渡った後、ドラムの櫻井がステージから嬉しそうに語りかける。

「まさかこんな(風に観客の声が聞ける)日が来るなんて思いもしませんでした。演奏に支障が出るぐらい感情がたかぶってしまいました」

今やライブモンスターと呼ばれるDragon Ash。しかし、Kj、櫻井誠、IKÜZÖNE(馬場育三)の3人組としてデビューした頃は、思うように集客が望めないこともあった。だからこそ、彼らのモチベーションはいつだって、観客と共に作り上げるライブという熱狂だった。



「Let yourself go, let myself go」のスクラッチ音で記憶が1999年に引き戻された直後、「SBKー!」というKjの声を合図にステージに盟友、スケボーキングの2MCが登場し、ラテン×エレクトロなパーティーチューン「Episode 4」がスタート。ステージを縦横無尽に動き回るハイトーンVO、SHIGEOとローVOのSHUN、そしてKj。節目の祝宴にふさわしい3MCの賑やかなマイクパスと力強いバンドサウンドが絡み合う様子に場内も大熱狂だ。

冒頭のギターの1ストロークだけでフロアから歓声が上がったのは、ラウドな攻撃性だけでなく、繊細でピースフルな側面もDragon Ashの魅力だと広く知らしめた名曲「静かな日々の階段を」。マイクだけを手にしたKjが語りかけるように歌うその曲はやがて、盟友、PES作曲のRIP SLYMEの名曲「One」へのリスペクトに変わっていく。

■ミクスチャーロックは好きですかー!?



ステージ前に再びLEDスクリーンが下ろされ、イメージ映像が映し出される中で始まったのは、ドラマの主題歌にもなった「Tiny World」。ロックバンドと観客が作るかけがえのない世界を守りたい……そんな確固たる思いが光のスクリーンの奥から溢れ出す。「Jump」→「百合の咲く場所で」と、熱狂チューンの連発に湧き上がる観客たちの楽しそうな姿がスクリーンに映し出された後、Kjがマイクに向かって話し出す。

「このツアーが始まってから音楽人生でいちばん怒られました。このままじゃライブを続けられないって…」

自分たちの音楽でオーディエンスが自由に感情を発散出来る場を作ること。それを信条とするDragon Ashにとって、自然発生した雪崩のようなエネルギーさえ封印しなければならない状況は、ライブバンドとしての存在意義を根底から覆すものだったに違いない。まだすべての問題が解決したわけではないが、それでもこの日、従来のバンドの理想とする場所に一歩、立ち戻ることが出来たことに感謝すると告げた後、Kjが叫ぶ。

「ミクスチャーロックは好きですかー!?」

無観客&無歓声を余儀なくされた期間中は演奏することを封印していたDAを代表するライブチューン「Fantasista」が轟く。「腹の底から声あげろ!」というKjの声に力強いコール&レスポンスと高らかに上げた両手でオーディエンスが応える。この日最大の熱狂の中、ステージに現れたのはラッパ我リヤだ。「Deep Impact feat. Rappagariya」でお茶の間に見せつけたガチンコ勝負の音と文化のこの異種格闘技こそ、Dragon Ashが掲げる「ミクスチャーロック」の真髄である。

「いつでも自分たちの音楽が日常のサンドバッグになるから、音楽をトリガーにして感情を解放して」というKjの言葉でスタートしたのは、音楽を通してさまざまな感情を分かち合う喜びを描いた「A Hundred Emotions」。音楽とそれを分かち合うための空間は、私たちが明日を生き抜くために必要不可欠な心の支えだ。

■一人一人が結束して輪っかを繋ぎ止めているのが「バンド」



本編の最後に披露されたのは、最新のDAを象徴するライブチューン「New Era」。新たな時代を告げるその曲は、多くの喪失や苦難の時を「立ち止まらず進み続ける」ことで乗り越えて来た、Dragon Ashの姿そのものでもある。

アンコールを求めるオーディエンスが叫ぶ「Viva!Viva! La Revolution!」というコールが久しぶりに響く中、再びステージにメンバーが登場。「Drugs can’t kill teens」では、T$UYO$HIがIKÜZÖNEのベース使って演奏、ひとしきり場内を沸かせた後、「記念に」と、観客をバックにメンバー全員で記念撮影を開始。ドラムの櫻井の手の中でオリジナル・ベーシスト、IKÜZÖNE(馬場育三)の人形が微笑んでいる。

「中高生の時にここ代々木体育館でX_JAPANのhideさんのライブを見た思い出があります。同じステージに立てて馬場育三も喜んでくれてると思います。いつも一緒にステージに立っているつもりです」というドラムの櫻井の言葉に続けて、今度はターンテーブルのBOTSがマイクを取る。

「僕がバンドに加入していろいろあった約24年間、バンドを続ける意味、バンドってなんだろうと思ったこともありました。でも辞めるという選択肢はなくて、バンドの意味がわかるまで続けてみようと思いました。一人一人が結束して輪っかを繋ぎ止めているものがバンドなら……馬場育三、KenKen、ダンサーのATSUSHI、DRI-V、ステージに立ってる9人だけじゃなく、スタッフ、お客さん、今まで携わってくださった方みんなでDragon Ashという輪っかを作っていきましょう」

大歓声と拍手が沸き起こったいい話の最後に「恋人募集中です」というオチをつけたBOTSのMCの次は、ギターhirokiだ。



「気づけばもう26周年が始まってますが、俺たちの音楽をこれからも皆さんの傍においてもらえたら嬉しいです」

続いて、ベースのT$UYO$HIがマイクに向かう。

「今日がツアーファイナルだけど、今日からまた新たなEntertainmentが始まる気がします。今日立ち会ってくれた人は、歴史的瞬間に立ち会ったんだよっていつか言えるんじゃないかな」



それぞれが思いを語った後、「曲や詞を通して思いは伝えているけど…」と、Kjが言う。

「サク(櫻井)と中学の時に思いつきで始めた青春に、俺たちのやりたいことに25年間みんなが付き合ってくれて、本当にありがとうという気持ちなんですよ。こういう、自分たちがいちばん美しいと思う形のライブでツアーを終えられることに対しても。今年はまた聞き分けのないバンドマンに戻って、路地裏のライブハウスで会いましょう。今が革命前夜!」



そして披露された「Viva la revolution」は、さまざまな音楽を貪欲に飲み込み、その音楽性を劇的に進化させながらジャンルの壁をぶち壊し、突き進んできたDragon Ashの勝利の歌だ。あらゆる音やスタイルを自分たちの血肉として歌い奏できた革命児の魂は、今も間違いなく彼らの中で脈打ち続けている。

26年目の最初のライブの最後に披露されたのは、櫻井のドラムで始まる再会の曲「Curtain Call」だった。冒頭のドラムもノイジーなギターのレイヤードも、いつにも増して激しくリリカルに響く。心強い仲間と栄光を手に入れた一方で、その25年の道のりは、決して容易いものではなかった。そんなDragon Ashのデビュー25周年を祝うツアーのファイナルであり、26周年イヤーの始まりの日。ここからまた、彼らの新章が始まる。



3月22日(水)には、25周年を記念した総収録曲数のべ80曲以上、160コンテンツが収録された映像作品『Silver Lilies –Blu-ray BOX-』のリリースも決定。7人編成で開催された「THE SEVENS」と5人編成で開催された「THE FIVES」のライブ映像など、見どころ満載の映像作品となっている。

text:早川加奈子
Photo by TAKAHIRO TAKINAMI

<セットリスト>
DRAGONASH 25th ANNIV. TOUR 22/23 ~ ENTERTAIN ~ FINAL
2023/2/23 国立代々木競技場第一体育館
1 Entertain
2 VOX
3 Bring it
4 天使ノロック
5 Iceman
6 Life goes on
7 Under Age's song
8 陽はまたのぼりくりかえす
9 Crush the window
10 Ivory
11 Let yourself go,Let myself go
12 Episode 4
13 静かな日々の階段を
14 Today's the Day
15 Lily
16 Tiny World
17 Jump
18 百合の咲く場所で
19 Fantasista
20 Deep Impact
21 A Hundred Emotions
22 New Era
EN1 Drugs can't kill teens
EN2 Viva la revolution
EN3 Curtain Call

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