PRESS RELEASE

プレスリリース

2005年9月15日

配信による圧縮音源が原音に限りなく近づく
ビクターエンタテインメントは日本ビクターとの共同開発技術【netK2】による圧縮音源の高音質化を実現。
技術(ソフトウエア)は開放し、「高音質音楽配信」を10月1日より開始。

ビクターエンタテインメント株式会社(所在地:東京都港区北青山/代表取締役:澁谷敏旦/以下:VE)は、1987年から日本ビクター株式会社(所在地:神奈川県横浜市/代表取締役:寺田雅彦/以下:JVC)と共同で『原音探究』の理念のもと、デジタル音源の音質向上を目指して、独自技術【K2(*1)】の開発を進めてきました。両社は、昨今の音楽配信や着うた(R)等を中心とした圧縮音源による音楽の楽しみ方の多様化に対応して、新たに【netK2(*2)】の開発を進め、この度圧縮音源の高音質化を実現する応用技術として完成しました。

【netK2】は、圧縮音源の高音質化に関して三つの領域(処理技術)から成り立っています。音楽配信のプロセスに置き換えた場合、(1)配信エンコード(圧縮)前の高音質化処理(【K2プリ処理技術(*3)】)、(2)伝送系(配信送出過程)での音質変化要因の除去、(3)オーディオ機器再生時での高音質化処理(ポスト処理技術)、という三つの側面をもちます。

VEは、このうち【K2プリ処理技術】 を外部へ提供していく方針を固める一方、【K2プリ処理技術】を配信音源に適応させて、10月1日より配信される楽曲から高音質音楽配信(PC向け音楽配信、着うた(R)、着うたフル(R)、リングバックトーン[以下:RBT])を開始します。これにより音質にこだわるユーザーニーズを取り込み、高音質による音楽の魅力や楽しみ方を幅広く訴求していきます。

今後もVEは、「原音に忠実に音楽を提供する」という理念が、アーティストやレコードメーカー各社の共通の思いと捉え、その実現に向けて【netK2】を業界標準の高音質化技術とするべく開発と検討を進め、音楽文化の発展にも寄与するべく取り組んでいきます。

≪【K2プリ処理技術】の外部への供与≫
VEは、新開発の【K2プリ処理技術(ソフトウエア)】を独占使用でなく、外部へライセンス供与します。これは、『業界全体の配信で提供されている音源の水準向上』というものが、マスターテープに集約されているアーティストや制作者の思いや表現をより原音に忠実にエンドユーザーまで伝えたい、というVEの理念に適い、更には音楽の本質的魅力の訴求と新たな音楽ファンの掘り起こしに繋がることを期待してのものです。そして、JVCと共同で培ってきたK2というコア技術をビジネス化する第一歩と捉えています。尚、外部提供につきましては相手先様の業態や仕様に応じて対応していきます。

≪netK2による高音質音楽配信を10月1日よりスタート≫
VEでは【K2プリ処理技術】を適応させて作成した圧縮音源データによるPC向け高音質音楽配信を、自社の配信サイトna@hをはじめとした、現在VEが音楽配信しているサイトにおいて開始します。また、携帯電話向けサービス「着うた(R)」「着うたフル(R)」「リングバックトーン」におきましても同様の高音質配信を開始します。この取組みは音源自体を高音質化したもので、PC配信においても、携帯配信においても送信側・受信側両方のハードウエア・ソフトウエアに何ら変更を加えることなく、従来通りの方法でこれまで以上の音質で音楽を楽しんで頂けるものです。

<PC向け音楽配信について>
対象楽曲:VEが10月1日以降配信する楽曲より
サービス開始:2005年10月1日
サービススタート月の対応楽曲は、約150曲を予定
価格(税込):(従来通り)99円〜350円

<着うた(R)・着うたフル(R)・RBTについて>
対象楽曲:VEが10月1日以降配信する楽曲より
サービス開始:2005年10月1日
サービススタート月の対応楽曲は、着うた(R)[約200曲]、着うたフル(R)[約150曲]、RBT[約120曲]を予定
価格(税込):(従来通り)着うた(R)[53−210円]、着うたフル(R)[262−315円]、RBT[63−105円]

===技術解説===
(*1)≪K2技術(=基礎技術)≫
マスターテープを基準として、録音、マスタリング、オーサリング、カッティング、民生機再生処理など音声信号の各段階で高音質化を図る技術の集合体で、1987年から順次開発・改良されてきた。ビクターエンタテインメントなどのスタジオ・マスタリング、ディスク製造プラントなどのプロユース機器から、民生機器及びソフト制作までを網羅した高音質化テクノロジー。また、ビクターエンタテインメントでは20bitK2スーパーコーディングやDVD-K2などのK2技術をパッケージソフトのクオリティアップに適用した商品を開発し、発売してきました。
http://www.jvc-victor.co.jp/company/technology/engineer/k2/index.html

(*2)≪「netK2」(=応用技術)≫
ビクターグループでは、「高ビットレートから低ビットレートまでの音楽配信や圧縮音源」に対応した音質向上に対して「netK2」技術の構想をもって進めており、それは下記のように三つの領域から成り立っています。
(A) K2プリ処理
…… 配信エンコード前の高音質化処理
(B) 通信・伝送K2
…… 伝送系での音質変化要因の除去
(C) K2ポスト処理
…… オーディオ機器・ポータブルオーディオ機器再生での高音質化処理

今回ご紹介している「K2プリ処理」は(A)を実現するものです。

この度、JVCから発売されるデジタルオーディオプレーヤー(型名:「XA-HD500」)には、上記(C)にあたるポスト処理技術に基づいた「CCコンバーター」が搭載されています。このように「netK2」技術の構想を実現して、VE、JVCトータルで配信をはじめとする様々な圧縮音源の音質向上を図ることがハード・ソフトを併せ持つビクターグループの使命と考え、構想の実現に努めていきます。

(*3)≪K2プリ処理技術≫
K2プリ処理技術は、
(1)CDフォーマットの音源を、ビット数拡張・周波数帯域拡張して約1,000倍の情報量の信号を生成する。
(2)その信号を、あるパラメータ(圧縮方式・データレートによって異なる)によって、畳み込んでCDフォーマットに収め込むという技術で、本技術を用いて作成した圧縮データは、プリ処理しないデータに圧縮をかけたものに比べ、マスターテープの持つクオリティにより近い音質を実現します。

(1)の技術「K2プロセスエンジン」は、現在多くのマスターがCDクオリティで作られていることから、DVD-AudioなどCDよりも器としての容量の大きなメディアに適応した超高音質パッケージへの展開も期待される技術です。
(2)の技術「K2・HDコーディングII」は、CDフォーマットでは従来カットオフされていた20KHz以上の高周波数帯域の情報と、エンコード時に生ずる圧縮特有の音質劣化を軽減させる信号を、エンコード方式に応じて生成し、CDフォーマット内に畳み込む技術であり画期的なものです。

弊社グループで開発した「K2プリ処理技術」は、ビットレート・サンプリングレートは現行のまま、音源データ自体をマスターテープのクオリティに近づけるというもので、現行の配信側の機器やソフトウエア、受信側の機器やソフトウエアになんら変更を加えることなく高音質化を実現することが出来る点が先進性といえる部分です。

着うた(R)・着うたフル(R)は株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標です


以上

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