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〜嵐!

ひどい天気。夜中もごんごん風の音。どうやら今週末までこんな天気らしい。「初花凜々」スタート好調のようで良かった。矢野さんからまた差し入れが届く。おうどん、ひじき、ごはん、とろろ昆布、お豆腐、おみそ汁・・・岸田くんがさっそく食べてる。
僕もとろろ昆布にお醤油ちょこっとたらし、お湯いれていただきました。体の芯がぽっとする。「虹色の天使」のミックス。15時頃ブルースが来るのでそれまでに仕上げたい。14時完成、相当いい。疾走するバンドサウンド、歌がすこんと抜けてくる。ギターイントロの " ピョイーン " も効いている。抜群にキャッチーな仕上がりだ。ブルースから電話、ハイウェイがクローズしていて遅れるとのこと。彼を待つ間バンドリハーサル。コントロールルームの配線をレコーディング用に戻す。前述したように、今回は2inchテープを10本用意している。1本15分だから、3〜4テイクがせいぜい、既に10曲以上ベーシックを録っている。NGテイクをバンバン消してテープをやり繰り、まだ何とかなりそうだ。いつものレコーディング時には、多くのテイクを残し贅沢な使い方をしてしまっていることを反省。16時ブルース到着、僕は彼とは初対面、お土産にチョコレートをもらう。さっそくリハーサル開始。ブルースのフィドル、なんて素敵な音色なんだろう。このスタジオはメインルームとブースがひとつだけ、皆が同じ部屋で向かい合って演奏できるように、パーティション[注38] をたくさん立てる。ドラムと同じ部屋にフィドル、ベース、たっしんのガットギター。一緒に歌ってる岸田くんの声がとても心地良く聞こえる。ブルースはトラディショナルフォークのフィドルプレイヤー、このような6/8拍子の曲調はあまりやったことが無いはずなのだが、岸田くんは " ブルースのフィドル、僕の歌詞に絶妙に反応するんですよ、不思議だぁ" と感動ひとしお。ブルースにそのことを伝えると嬉しそう。でも、後で彼が僕にこっそり言うには、この曲の演奏中ずっと奥さんとワルツを踊っているのを思い浮かべていたんだそうな。20年来連れ添っている奥さんとのワルツを思い浮かべてこんな素敵な演奏をする、素敵なおじさんなのだ。続いて岸田くんのリクエストで「冬の亡霊」にもトライしてもらう。昨日歌入れで大苦戦した曲だ。ブルースとのいいバイブで歌も録れちゃったらラッキー。この曲はくるり独特のロックチューン、ブルースさすがにやりづらそう。" どんなアプローチをすれば良いのかわからない・・・" と戸惑いつつも、数テイク後にはおいしいフレーズを連発、コントロールルームは大喜び。彼のフィドルに合わせて岸田くんが一緒に歌ってみる。ヨシッ、いい歌録れる。3テイクやってばっちりOK。岸田くん " 歌っててこんな楽しかったことない!"。手こずっていた「真昼の人魚」と「冬の亡霊」の歌がブルースのおかげで録れてしまったので、彼の今日の任務は終了。「真昼の人魚」にアップライトベース、たっしんがガットギターを入れる。25時作業終了、ブルースと岸田くんが暖炉を前にバンジョーと三線で楽しそうにジャムってる。

[注38] 音の干渉を軽減するための " 衝立ついたて "