
2nd single

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01. | Super Sonic![]() ![]() |
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02. | Heart Beat |
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03. | Goodbye My Birds |
Real Playerで試聴できます。
「僕が音楽に対して貪欲というか、刺激がほしいんですね」
04年5月にマキシ「Sports Wear」をリリースし、インディからメジャーへとフィールドを移したsportsの伊藤寛之はこう語る。 ロックはいうにおよばず、ポピュラーミュージックの方法論が出尽くした(と喧伝される)90〜00年代は同時にジャンルのどん詰まりが音楽の往来を不自由にした時間だった。 興味のない音楽を聴く時間もお金もない、だったら知らなかったことにしようぜ、という了解がそこらへんに転がっている。 音楽の細分化は専門性を規定したのではなく、聴き手の柔軟性を簒奪したのではないか、と私は考えている。 伊藤はまたこうもいう。「日本のロックには(可能性が)残っている部分がいっぱいある」と。 わずか1枚のシングルをリリースしたばかりの新人バンドの言葉としては大言ともとれる台詞である。しかしこれは、衒いや屈託ではない。 本人は否定するかもしれないが、ロックの衝動や熱量への直截な信心とでも呼ぶべきものだ。
伊藤寛之(ヴォーカル/ギター)、永井紀子(ベース)、大石貴義(ドラム)から成るsportsは、高校時代からオリジナル楽曲を作りはじめた伊藤が主導となり、01年、結成される。02年に大石が、03年には永井が相次いで参加し、現在の布陣が完成。
ライヴハウスでの活動を中心にインディから作品をリリースし、04年、前述の「Sports Wear」でメジャーデビュー。今回発表される「Super Sonic」が2作目に当たる。ロックのダイナミズムとダンスミュージック的なシークエンス、あるいは繊細な詩情を同居させた前作が名刺代わりだとすれば、本作はさらにsportsの奥行きを垣間見せたたとでもいえようか。
ミドルテンポの四つ打ちを基調に、アルペジオの静寂とディストーションの歪みが物語を編み上げる表題曲、エモコア的な「Heart Beat」、トリオ編成ながらピアノの旋律をフィーチャーした「Goodbye, My Birds」、印象的な歌声と絡み合うメロディ、歌詞における文学性が本作ではさらに際立っている。
なによりも、sportsという、簡単に了解されることを拒む“ロック”バンドの矜持がここにはある。ロックという領域に不毛を感じるのは簡単なことだろう。でもその前に、sportsというバンドを心に留めて、願わくば、あなた自身の目で彼らの姿をたしかめてほしい。
南部真里(なんぶ・まさと)