佐山雅弘デビュー20余年の軌跡を一枚にまとめた、佐山自身のセレクションによる、初のベスト盤!
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01
マインド・トーク
MIND TALK -
02
ロング・タイム・ノー・シー
LONG TIME NO SEE -
03
パリのお嬢さん
MADEMOISELLE DE PARIS -
04
ドナ・リー
DONNA LEE -
05
タグ
TAG -
06
ソー・ロング
SO LONG -
07
ニカズ・ドリーム
NICA'S DREAM -
08
アバヴ・ホライズンズ
ABOVE HORIZONS -
09
クレオパトラの夢/アントニーの叫び
CLEOPATRA'S DREAM / ANTONY'S SCREAM -
10
エクステンディド・プレイ
EXTENDED PLAY -
11
スペイン
SPAIN -
12
サマー・アフタヌーン
SUMMER AFTERNOON
K2 High Definition
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●佐山雅弘デビュー20余年の軌跡を一枚にまとめた初のベスト・セレクション。
手管を使わずに潔く年代順に並べたところから“Chronicle(<クロニクル>年代記)”のタイトルとなった。
初期の米木康志(b)・小山彰太(ds)というヘビーなリズムセクションから、ソロ、コラボ、アメリカ・レコーディングなどの時期を経て、現在ホールコンサート・シリーズも快調なM’s(マサちゃんズ)に至る流れとともに、ピアニスト・音楽家としての佐山の成長が、ある種の微笑ましさを伴いつつ手にとるように聴き取れる。
とはいえ過去の名演のピックアップのみに終わらず、このアルバム独自の、一本筋の通った上質のジャズアルバムに仕上がっているところに本人の意気込みが表れている。
モントルー・ジャズ・フェスティバルのライヴ盤など PONTA BOX での活躍も華々しく、つとに知られるところではあるが、よりJazzy な内面性と歌心がストレートに伝わる選曲になっている。
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1.Mind Talk
米木康志の太い音とビートに身を委ねて美しく歌い上げる初期のオリジナルバラード。
2.Long Time No See
米木康志と小山彰太の重量感がありながらも軽快にスイングするフォービートに乗ってスインギーでありつつも歌い上げる佐山の真骨頂が出ている名演。これもオリジナル曲。
3.Mademoiselle De Paris
この頃付き合いのあった岸洋子、平野レミらの影響でシャンソンにも造詣を深めつつ見事に佐山流ジャズに仕上げている。
4.Donna Lee
一曲まるまる単音という珍しい演奏。コルトレーンへの憧れとチャレンジだという。
5.Tag
オリジナルバンドGomboでの盟友、道下和彦(g)とのデュオ。軽快なサンバが名手二人のコラボレーションでやはり見事にジャズに昇華している。
6.So Long
バラード3部作(M-12、M-1、M-6)の終曲。10年ごとに作られたその間の心情・作風の変化が興味深く、この曲においてひとつの到達点が垣間見える。この後 Dream A Whileなどの大曲に向かい、それがオーケストラとの共演などクラッシック志向にもつながって行く。
7.Nica’s Dream
21世紀早々のNY録音でのミノ・シネル(perc)、マーク・イーガン(b)との幸福な出会いは村田陽一のプロデュースの妙とともに新境地を開かせた。
8.Above Horizons
本アルバム中の愁眉ともいえるトラック。村田のホーン・アレンジの妙、NYミュージシャンたちの質の良さ、録音(ジム・アンダーソン)の素晴らしさなど全てが相俟って上質のケミストリー(化学変化)を生んでいる。
9.Creopatra's Dream~Anthony's Scream
ご存知M’sのデビュー曲。バド・パウエルの名曲と、それにかぶせた小井政都志(b)の別曲組み合わせという洒落たアレンジとハードなインプロビゼーションの狭間に大坂昌彦(ds)のブラッシュワークが天才のきらめきをみせる。
10.Extended Play
大坂昌彦のM’sのための書き下ろし作品。パーマネントバンドならではの緊密さを見せる。佐山の特質として、我を捨ててメンバーにからだごと預けてしまうところがあり、時には優柔不断さとなるきらいもあるのだが、この曲においてはその美点と成果が最大限に出ている。
11.Spain
Play only what you hear 聞こえた音だけを弾け、というチックコリアの教えは、その会話のあと20年近く経っても佐山の座右の銘になっている。限りないリスペクトがあればこその大胆なアレンジが小気味良い。
12.Summer Afternoon
佐山が24歳でプリズムのライブレコーディングのために生まれて初めて作った曲だとは知る人ぞ知る話。クロニクル的には冒頭に位置するべきこの曲をラストにして思い深くアルバムが終わる。リピート再生の場合に(M-1)とのつながりが理想的な曲間になるようにも工夫されている。
2006 Feb 武本 忠