DR. DRAGON & THE ORIENTAL EXPRESS
THE BIRTH OF A DRAGON +4

我が国を代表する職業作曲家にしてヒットソングメーカーの筒美京平が、自作はもとより、国内外のポピュラーヒットに独自の編曲を施した演奏を集めたのが本シリーズ「筒美京平ソロ・ワークス・コレクション」である。
筒美自身の名義で発表されたアルバムを中心に、企画盤のみに収録されていた演奏や未発表録音など、その大半が初CD化となるものだ。いずれも1960年代後半から1970年代半ばにかけて音楽界を席巻した、イージーリスニング・ブームのさなかに録音されたもので、当時はこうしたインストゥルメンタルやイージーリスニング・ヴォーカルの企画盤が数多く制作されていたのである。時期的にステレオ装置の一般家庭への普及と重なることから、同傾向の企画盤は、リスナーに好意的に受け入れられ、常に安定したセールスを記録していたという。とりわけ人気を呼んだのは、サックスやピアノ、ギターなどの楽器をフィーチャーしたもので、由紀さおりの「夜明けのスキャット」のヒット以降は、スキャットやハミング、コーラスを意欲的に採用したアルバムが数多く制作されている。音楽ジャンルでいえば“イージーリスニング”、“ムード音楽”、あるいは“歌のない歌謡曲”、近年では“ラウンジ・ミュージック”と称される傾向の作品群だが、その魅力は編曲の意外性や流行のサウンドをいかに取り入れるかという実験精神に溢れた点にある。
本シリーズによって、作曲家・筒美京平の演奏家として、そして編曲家としての神髄を堪能して頂きたい。