歌の都市伝説~青山ムーンライト
歌の都市伝説~青山ムーンライト

アルバム / VICL-64068
¥2,619(税込)
Victor
夜の深淵に舞った歌の蜉蝣たち・・・
70~90年代前半、東京で興隆を極めた“サパークラブ”に
象徴される夜の盛り場で愛好された名曲たちを「再発見」。
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01
WOMAN / フランク永井
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02
あなたしか見えない / 伊東 ゆかり
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03
ヘッド・ライト / 黒沢 明とロス・プリモス
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04
片想い / 中尾 ミエ
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05
甘ったれ / 森 進一
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06
酒場にて / 江利 チエミ
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07
待っている女 / 五木 ひろし
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08
赤いグラス / アイ・ジョージ/志摩 ちなみ
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09
クスリ・ルンバ / アントニオ古賀
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10
九時からのリリィ / カプチーノ
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11
おんな占い / 南 有二とフル・セイルズ
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12
硝子坂 / 高田 みづえ
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13
女の部屋 / 松崎 しげる
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14
ジョーのダイヤモンド / 朱里 エイコ
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15
あなたのすべてを / 佐々木 勉
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16
決心 / 岩崎 宏美
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17
今は幸せかい / 佐川 満男
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18
いにしえ / 日暮し
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19
別れのサンバ / 長谷川 きよし
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20
グッド・バイ・マイ・ラブ / アン・ルイス
桃源郷を飛び交った歌謡曲の蜉蝣たち
監修・解説:川崎 浩
今は昔、「サパークラブ・ミュージック」なる音楽ジャンルがあったという。
サパークラブとは、メトロポリスの盛り場……赤坂、六本木、青山、霞町……の奥深く潜む大人の社交場。ひとしきり夜の遊びを堪能した紳士淑女やまだ遊び足りぬという猛者が、朝まで憩う御食事処である。格も規模も千差万別。今も存在すると言う人もいれば、バブル崩壊とともに消え去ったと言う人もいる。
では、24時間営業のファミレスと何が違うのか。そこには例外なく「生の音楽」が用意されていたのだ。贅沢にビッグバンド級の店もあれば、エレキバンドやジャズコンボ、小さい所はキーボードやギター1本。同伴女性とチークダンスを楽しむ少壮社長。アナウンサーにデュエットを命じるプロデューサー、ハウスバンドと一緒に演奏を始める仕事帰りのミュージシャン……。未明のサパークラブは、まるで桃源郷の様相を呈し音楽が満ち溢れていたと聞く。
そこで好まれ聴かれ演奏されていた音楽を「サパークラブ・ミュージック」と呼んでみるのである。
それは、お洒落なムード音楽、都会的センスの歌謡曲、軽快なAORポップ……。なぜか、世間一般が知る直球ど真ん中の大ヒット曲はない。微妙に主流からずれ、偏った、歌謡史の表舞台から消え去った音楽たち。Jポップ全盛時代に大切に匿(かくま)われていた歌謡曲。言わば歌謡史のミッシング・リンク。それを支えたのは、サパークラブに棲息していた音楽家や客たちの意地と見識、そして深夜的趣味なのだろう。歌謡曲は、ここで命を長らえていたのだ。
だが、平成も四半世紀経た今聴くと、何とも情緒と風情がある。危険な香りの緊張感がいい。陽が上ると同時に消え去る蜉蝣の儚さの佇まい。歌が生まれた時代は、戦前から1990年代までの長きに渡るのに、共通した色気が漂う。これがサパークラブ・ミュージックなのか……。
こんな、都会の地下に埋もれた音楽たちを発掘し、光を当て、まとめたのが「歌の都市伝説」シリーズである。この凝縮感、実体感は、ほかで望めるものではない。知っている人にはほろ苦く、知らない人には濃厚な甘さ。秘められた歌謡史を、とっくりと楽しんでいただきたい。
★青山に潜む名曲たち
青山はどちらかというとショッピングの街であり、渋谷に近いので行き交う人々の年齢も若い。ただ、深夜の顔は、昼とはちょっと違ったようだ。六本木ではワイルド過ぎる、赤坂は熟し過ぎている、と感じる“夜の新興勢力”は、青山に自分たちの“巣”を作った。モダニズム、ミニマリズムの格好よさは青山に移ったのだ。この「青山ムーンライト」編は、どこかに若さを感じる曲が選ばれている。
<同時発売>
歌の都市伝説~六本木アンダーグラウンド(テイチク/TECE-3180)
歌の都市伝説~赤坂ミッドナイト(ユニバーサル/TOCT-29189)