masumi with 6 pianists

Duo

2005.05.25
アルバム / VICL-61654
¥2,096(税込)
amelos

  1. 01

    小夜啼鳥 ~SHIMAKEN Version~

  2. 02

    雲の回廊 ~KUBOTA Version~

  3. 03

    Misty ~SENOO Version~

  4. 04

    HEAVEN ~SAYAMA Version~

  5. 05

    Someone to watch over me ~IKURO Version~

  6. 06

    めぐり逢い ~KOKUBU Version~

  7. 07

    小夜啼鳥

どんなものでも、シンプルになればなるほど、本質が現われる。削られ磨かれして初めて、漆も深みを増し、ダイアモンドも輝く。音楽とて例外ではない。ゴージャス、リッチな響きと音量で迫る管弦楽やビッグバンドも魅力的だが、必ずそこにはソロや小編成の研ぎ澄まされた音楽が、存在の前提として認識されている。個がなければ全体はないのは当然である。
 確かに、ビル・エバンス「自己との対話」のようにソロ演奏も成立するとはいえ、音楽の魅力は、コラボレーション、対話が基本の一つである。個では生まれにくい音楽の何かを、複数の才能がぶつかり合う化学変化によって誕生させる。本質に向かって最も磨き込み甲斐のある編成はたった二人きりのデュオといっていいのではないか。
 特にボーカルは、現代音楽的なアプローチでもない限り、まず楽器の助けが必要であり、コラボレーションの意味や重要性はますます大きくなる。それを伴奏としての役割でなく、「対話の相手」として位置づけた場合、そのボーカルのそのものの在り方が、大きく変貌するのだ。
 masumiのこのミニアルバム「Duo」は、そんな「ボーカルの在り方」にまで踏み込んだ作品である。masumiのオリジナル4曲とスタンダード2曲を、第一線のピアニスト……基本的にジャズ畑が多いがそれを気にする必要はない。大きな何かを求めるために小さなジャンル分けなぞ意味はない。まさに、「そのこと」を証明するようなアルバムなのだから……と「対話」していく。
 まず、そのピアニストの語り口の違いに驚かされる。ピアノという楽器(使用される楽器は同じ個体である!)が、弾き手によってここまで色を変化させるものなのか。そしてその素朴なエクスクラメーションマークは、そのまま、彼らと「対話」するmasumiの歌唱に移動する。
 masumiが看過できないボーカリストであることは、01年のデビュー以来知られるところであるが、その本質的な部分まで届いていたか、疑問であった。それは届け方もさることながら、歌を歌うという行為に、どこかしら、取り巻く他者や流行の環境、もちろん無視できないものではあるものの、そういった雑物の辛さを感じさせるところがあったからである。
 ところが、今回は素裸の「対話」である。手練れたちと全く対等にしかも「声」だけで立ち向かわねばならない。覚悟だけでは、あるいは頑張りとか意気込みだけでどうにかなるものではない。大げさに言えば「生き死ににかかわる対話」である。すべてが明からさまになる、と冒頭でしるしたように。そして、彼女は、すべてを削り切り明らかにした、「ボーカリストである」証明を。このアルバムは「ミニ」などではない。masumiの歌唱の「真」を表わす「最大級」のアルバムであると言い切りたい。感じる部分は、聴き手それぞれであろう。だが、確信を持って断定できるのは、これによって彼女が本当のボーカリストである為の必要条件を満たした、ということである。 
【毎日新聞学芸部・川崎浩】

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