近田 春夫
Haruo Chikada
OTHERS
その他
2018.11.22
LUNASUNアルバム「Organ Heaven」に、近田春夫による超ロングライナーノーツ収録!
LUNASUN「Organ Heaven」についてのセルフライナーノーツ 近田春夫(途中まで)
38年ぶりのソロアルバム『超冗談だから』から2カ月弱というのだから、それこそまぁホントに超冗談みたいなペースでのリリースである。矢継ぎ早にLUNASUN名義のフルアルバム『Organ Heaven』発表と相成った経緯などについても、追い追い触れていければと思うが、いずれにせよこの二枚が相当に別物であることだけは――聴けば一目瞭然の筈だ――誰に問うたとて異論の出ぬところではあろう。今回どちらのCDもお買い求め頂いたお客様には、そのあたりのダイナミズム(笑)など、存分に楽しんでいただければとは思うのだが、さて。
LUNASUNは、DJにしてトラックメーカーでもある山岸大介(OMB)と、キーボード担当の俺の二人からなる――"ディスコミュージックファクトリー"とでも呼べばよろしいか――ユニットで、このカタチでの制作を始めたのは去年の夏前だった。
実はOMBとの付き合いは長い。かれこれ二十年にも及ぶ。今年42歳といっていたから、出会ったときは本気で若造だった訳である。ちなみにその時分の俺は、もうすでに今のOMBよりもかなり年上だったのかと思えば、不思議なというか、なんだか複雑な気持ちにもさせられる。二十年前というと、ビブラストーンを解散し、一人でゴア/サイケデリックトランスのトラックを手探りで作り始めていた頃だ。ビブラストーンをやめたのは、やはり煮詰まっていたからということに尽きるが、とにかく歌詞を書くことに飽きた。ラップにして発表すべくテーマというかネタが――技術的には再生産も充分可能だったが――もう底をついた感じだったのだ。そんなこともあって、純粋に音響のフィジカルな刺激だけで勝負の出来る世界に自身の活動の場を移そうと、あれこれサウンド作りには本当に四苦八苦していたことを思い出す。それは丁度、我が国におけるいわゆるレイブ/パーティー黎明の期でもあった。縁あって旧友が主催するオーガナイザー集団"ANOYO"に所属することとなった俺は、新島の海岸や渋谷のクラブ、その他各地の"パーティー現場"で、サイケデリックの実験(実践かな?)にいそしむようになっていった。時はまだ21世紀に入る前――フジロックフェスティバルやレインボー2000も始まったか始まらないか――だ。思い起こせば我が国の野外ダンス系イベントのシーンも随分と貧弱であった。オーガナイズする側も、パーティーにふさわしいアーティストを探すのにはひと苦労していた。いやオーバーな話なんぞではない。トランスに限らない。ハウスやテクノをも含めた、いわゆる"四つ打ち"をやる人間の数など知れたものだったのである。 ・・・・・
※この続きはCDブックレットに掲載した本文でお楽しみ下さい。