近田 春夫
Haruo Chikada
OTHERS
その他
2021.03.15
アルバム「超冗談だから」ひとこと解説とエピソードなど
アルバム「超冗談だから」の業界向け紙資料のみに掲載したひとこと解説とエピソードを今公開!
1.ご機嫌カブリオレ
秋元 康が作詞を手がけたオールディーズ風テクノニューウェイブなドライブソング。男性アイドルポップスの味もあり。待望のソロアルバムの 1 曲目!という割には、肩透かしさえ感じさせる超肩の力が抜けたボーカル。この肩透かし感こそ大人のテクニック。ちなみに「近田さんの歌詞だったら、他を差し置いてでも真っ先に書きますよ!」と豪語した秋元氏から歌詞が届いたのは依頼してから 6 ヵ月後だった。秋元先生、超忙しい中誠にありがとうございます!
2.超冗談だから
POP 職人 AxSxE(NATSUMEN、ex.BOaT)によるタイトルトラック。超炸裂するヘビーなギターサウンドとトリッキーなリズムの中で超疾走するボーカルが聴きもの。児玉雨子描く歌詞は、大人の恋の駆け引きなのか?冗談なのか?それとも超冗談に見せかけた超マジなのか?コーラスで姫乃たま参加。超めまぐるしく変わる展開のわりにはジャスト3分に収めているのが大人のテクニックだという。
3.0 発 100 中
ハードボイルドな歌詞にまるで CCB「ROMANTIC が止まらない」のようなサウンドが超融合。近田本人的には「この歌詞さー、ホモのカップルの歌だと思うんだよねー。若い頃から付き合ってさー、年とって再会したホモの恋人同士の歌だと思わない?俺はそう思うなー」という解釈をレコーディング中に力説。果たしてそうなのか?解釈は各自に委ねざるを得ない。以前にも増して超凄くなったビブラートが聴きもの。
4.ミス・ミラーボール
謎のディスコサウンドと寺尾聰サウンドの超融合。もともとオクターブ上が本来のメロディーだったが、リハーサルでオクターブ下げてメロディを確認していたところ、その歌が妙に雰囲気があったのでそのままオクターブ下げでレコーディング。低音ボイスの魅力を探っているうちに寺尾聰ふうに全編ダブルにしたところ「ルビーの指環」の味が突然現われてしまったという。ドラムのリズムがよれたりしているがあえて一切直さないのが聴きもの。
5.ラニーニャ 情熱のエルニーニョ
もともとは、2018 年 3 月にリリースされたジューシィ・フルーツの 34 年ぶりのニューアルバムに近田春夫が提供した楽曲のセルフカバー。ジューシィ・フルーツにデモを渡す際に仮歌を近田自身が吹き込み、その超良い加減な歌いっぷりに担当ディレクターが惚れ込み、アルバム制作のひとつのきっかけとなった。ちょっと酔っ払ったような湯加減の歌声が大人の味わい。そしてサビの裏声ボーカルは灰田勝彦を髣髴させなくもない。しかし 34 年ぶりといい、38 年ぶりといい、人生は超あっという間過ぎる。
6.途端・途端・途端
「曲書くのめんどくさいんだよねー」という近田氏の意向により、本アルバムの楽曲は作家事務所などを通じて半分はコンペで曲を集めて制作された。そんな中、「筒美京平を研究し続けてはや半世紀ですわー」という作家の楽曲がこの曲。「昔の歌謡曲のバランスに超こだわりたい」との事でベースもドラムも他の曲に較べて超奥に引っ込んでおり、「もう少し今風にベースとドラム前に出してもらえませんかねえ」という注文にも一切耳を貸さず完成。歌も大きめにミックスされ、他の曲とのバランスに若干違和感があるがあえてそのままにしてあるのが聴きもの。
7.夢見るベッドタウン
まるで男性アイドルグループがユニゾンで踊りながら歌うかのようなポップス。歌入れ中、近田氏は急に歌が超小さくなって途中で歌をやめてしまい、「どうしましたか?」と訊くと、「いやさー、歌詞の世界が入ってきちゃって歌えなくなっちゃってさー」と言って超涙ぐんだ。「年取るとさー、涙腺が弱くなっちゃってさー」との事でこの曲は 2 回レコーディングされた。先日トラックダウン時に確認したところ「今はもう大丈夫よー!もう泣かないよー」との事でひと安心。ところで児玉雨子氏は何故ここまですべての男たちを勇気付ける歌詞が書けるのか。中年男性諸氏は泣かないように心して聴いて欲しい。
8.ああ、レディハリケーン
レコード会社側の要請によりセルフカバー。他にも「ワン・シーン」などセルフカバーのリクエストはあったのだが「1 曲でいいよ 1 曲で!」との事でこの曲が選ばれた。基本的にオリジナルに忠実なアレンジだが、テンポのみ BPM155 に落としている(オリジナルの BPM は 160)。この曲に限らずだが、アルバム全体的に近田春夫独特のビブラートが前にも増して超凄くなっている。レコーディングではビブラートを一切セーブする事はせず、好きなだけビブラートをかけて歌唱してもらった。本人の気持ち良さが聞き手にも気持ち良さとして伝わるだろうという意図であったが、いま冷静に聴くと少しセーブしてもらった方が良かったのか?
9.今夜もテンテテン
ここに来て超王道のシティポップ登場。さすがにビブラートは多用せず雨上がりの⻘空のようなさわやかなボーカルを聴かせる。児玉雨子氏の描く大人の恋のかけひきの世界に唸らされるが、なぜ二十代の娘さんがこうした詞の世界を描けるのかは今後の研究課題。アレンジも絶好調で、弦も管も超いい感じ。ちなみにアレンジした坂東邑真氏もまた二十代の娘さんであり、姫乃たまちゃんといい、次の曲の のんちゃんといい、二十代の娘さんの力にオヤジが超助けられるという図が結果的に本アルバムの裏テーマとなった。
10.ゆっくり飛んでけ
「のんに曲頼めないかなー」という近田春夫の一声により、のん氏に依頼。快諾頂いたのん氏から届いたデモは、本人ギター弾きまくって歌いまくった超ロックンロール。そのギタープレイにもほれ込んだ近田氏が「ギターも弾いてもらえないかなー」との事で、ギターに のん、そしてバックバンドに近田氏が曲を提供した縁のあるバンド SOLEIL(ソレイユ)が演奏を担当。ドラムのそれいゆは現在 15 歳の中学三年生。超冗談のようだが、ドラマーとしての仕事は今回が初めてにも関わらず、超勢いあるドラムを披露。後から近田本人がハモンドオルガンをオーバーダビング。ブッカー・T のようなハモンドプレイが超炸裂した。