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セバスチャン・グレインジャー&ザ・マウンテンズ海外バイオグラフィー翻訳

セバスチャン・グレインジャー&ザ・マウンテンズは実際のところ、バンドではない。バンドとしてのひとつのアイディアなのだ。グレインジャーが初のソロ・レコード制作に取り掛かったとき、片手にギターとマイクを握り、もう片方の手には何でもかんでもつかんでいないとならない状況になっていた。時々ステージには上がっていたが、そうした最中の昨年、数多くのデビュー曲で構成されることになる作品群の手直しをし、スタジオ作業にずっと携わっていたのだ。

 4人組のバンドとしてツアーをしながら、夜のしじまの中、ひっそりとひとりで書きためてきた楽曲の数々が、ついに形となったのである。より生き生きとした作品は、グレインジャー色の層を成す、”音の壁”プロダクションへと生まれ変わるべく、スタジオに戻されていった。以前からの彼の音楽ファンたちが、その新しい音を聞いたらきっと驚くだろう。これは、明らかな、メロディによる声明なのだ。その一方、こうした新曲はかつてのバラードと類似点を持ってもいるが、グレインジャーは今の時代に合ったものを生み出すことに成功している。

 しかし、グレインジャーは謙虚に語っている。「どの曲も自分が解決しなくちゃならない問題であり方程式なんだ。」出来上がった作品は明らかに、単なる可能性と言うより、さらにリッチで、ソウルフルだ。新作でやっと自分自身を表現し得たかのように、グレインジャーは一日も早くツアーに戻り、文化的構造の中に溶け込んで行きたいと燃えている。自分自身を、”家庭的な人間”と表現しているものの、支えてくれるファンの情熱に応えるべく、グレインジャーは大声で歌ったり、汗びっしょりでパフォーマンスするのが大好きなのだ。

 7インチ・シングルと、デジタルEP、フル・レンス・アルバムはすべて2ヶ月以内に発売される予定だ。セバスチャン・グレインジャーのさらなる勇姿を、世界が目の当たりにすることは疑いない。新作アルバムについて彼はこうコメントしている。「このレコードはまだ幕開けに過ぎないけど、これから起きることの地図と言うか…‘開始地点’…かな。世界に踏み込む、確固たる一歩になるといいけど。」さらに彼は付け加えた。「まだ”サンダー・ロード”を書いてないんだ。」あらゆる職人たちが自らの作品に夢中になるように、セバスチャン・グレインジャーは、たとえ完成させたとしても、その手を止めることはないだろう。

ベン・ポブジョイ
モントリオール、QC
5月、2008年

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